概要
『狂気の山脈からの脱出』は、リアル脱出ゲームの草分けであるSCRAPが手がけた、同社初のクトゥルフ神話題材の体験型イベントです。2025年10月9日に東京・新宿の東京ミステリーサーカスで開幕し、前売券1万枚を突破する人気を受けて会期延長。その後も大阪・心斎橋、東京・原宿、名古屋と巡回し、東名阪で延べ5万人以上を動員しました。2026年9月11日から10月25日には岡山公演が予定されています。参加者は1〜4人ごとにテントを割り当てられ、約80分(謎解き時間50分)の体験に挑みます。ひとり参加向けのマッチングチケットや、ホラー演出が苦手な人向けの「びっくり演出軽減チケット」も用意された、間口の広い設計が特徴です。
クトゥルフ神話との関係
物語の下敷きは、ラヴクラフトが南極の禁断の山脈を描いた長編『狂気の山脈にて』です。原作はミスカトニック大学の南極探検隊が太古の遺跡と恐怖に遭遇する物語ですが、本イベントの参加者は2025年10月に南極へ派遣された「第37次狂気山脈踏査隊」の一員となります。ベースキャンプに巨大な昆虫のような怪物が現れ、隊員が次々と犠牲になるなか、調査の成果を守りながら謎を解いて生還を目指すという筋立てで、人智を超えた存在を前にした人間の無力と狂気という宇宙的恐怖の主題を、テントという閉鎖空間の緊張感で体感させる構成になっています。
体験型ならではの要素
小説やビデオゲームと決定的に違うのは、恐怖が「自分の身体の周りで」起きることです。テントの布一枚を隔てて怪物の気配が迫る演出は、活字で読む南極の孤絶を肌で味わわせるもので、参加者の間では「脱出ゲームの概念が変わる」という感想も聞かれました。また、謎が解けなくても物語の結末まで到達できる「真エンド保証チケット」の存在は、勝敗よりも物語体験を重視する本作の姿勢をよく表しています。クトゥルフ神話の実写化・ゲーム化が相次ぐなかで、「体験する神話」という新しい入口を大規模に提示したイベントとして記録に値する公演です。開催情報は変動するため、参加を検討する場合は公式サイトで最新の公演予定を確認してください。



