ゲーム — SONG OF HORROR

SONG OF HORROR

AI駆動の超常的な脅威「Presence」とキャラクターのパーマデスにより、先の読めない恐怖を演出するサバイバルホラー。

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概要

『SONG OF HORROR』は、三人称視点・固定カメラのサバイバルホラーである。Steam公式ストアページによれば、開発・発売元はともに Protocol Games、配信開始は 2019年10月31日、現在Steamで配信されているのは COMPLETE EDITION である[1]。

公式の紹介文は、恐怖の対象をこう説明する[1]。

戦うことのかなわぬ謎の存在、「それ」を恐れよ。常に警戒し、身を隠し、息を潜めろ。

戦えない相手が出てくる、と最初に宣言している。

基本情報

Steam公式ストアページの記載による[1]。

項目 内容
開発・発売元 Protocol Games
配信開始 2019年10月31日
ジャンル アドベンチャー / インディー
対応プラットフォーム Windows
対応言語 英語(フル音声)、フランス語、ドイツ語、スペイン語、日本語、韓国語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)
Steam実績 44
価格(Steam日本) 3,180円
公式サイト protocolgames.com

日本語に対応している。神話系のPCゲームでは多数派ではない[2]。

ストーリーの枠組み

Steam公式の紹介文が語る導入は、次のとおりである[1]。

高名な作家 セバスチャン・P・ハッシャー が、家族全員とともに行方不明になった。身を案じた編集者が、彼を探すために自宅へアシスタントを遣る。だが、そのアシスタントも戻ってこなかった[1]。

一連の失踪が引き金となり、やがて恐ろしい何か——ただ 「それ」 と呼ばれる、名もなき闇の存在が姿を現す[1]。

作家が消え、探しに行った者も消える。入れ子になった失踪から始まる構成は、ラヴクラフト作品の語り手が「先に調べた人間の記録」を追う形と重なる。

クトゥルフ神話との関係

名前を与えない

本作の敵に固有名はない。公式が一貫して使う呼称は 「それ(It)」 だけである[1]。

神格の名前を借りる神話ゲームは多い。『Stygian』は原典の概念を土台にすると書き[2]、『恐怖の世界』は「旧き神」を掲げる[2]。本作はそのどちらも避けた。

名指しできないものを名指しできないまま置く——これはラヴクラフトが繰り返し使った手つきである。分類も命名もできないから恐ろしい、という構造のほうを取っている。

SF Encyclopediaは、ラヴクラフトが目指した効果を次のように説明する[5]。

He aimed to evoke “cosmic terror”, the dark side of Sense of Wonder, from these entities’ unconcern for such small fry as humanity in a vast Universe: foolish enquirers are withered or destroyed almost incidentally. (彼は「宇宙的恐怖」——センス・オブ・ワンダーの暗い面——を、広大な宇宙における人類のような小物への、それら存在の無関心から引き出そうとした。愚かにも問いを発する者は、ほとんどついでのように枯らされるか滅ぼされる)

「ほとんどついでのように」という点が重要である。悪意をもって狙ってくるのではなく、相手にとって人間が取るに足らないから壊れる。

本作の「それ」は、公式紹介文では「悪意ある超自然的な存在」と書かれており[1]、この点ではラヴクラフトの無関心な宇宙とは違う。プレイヤーの動きに反応し、追い詰めにくる[1]。名前を与えないという選択は原典に近いが、振る舞いは追跡者のそれである。

同じ索引で並べれば、本作は原典の語法を借りつつ、ゲームとして成立させるために「こちらを見ている敵」を置いた作品だといえる。追われる緊張は、無関心な宇宙からは生まれないからである。

層としてはどこか

当サイトの神話の三層でいえば、本作は原典(第1層)でも拡張(第2層)でもなく、2010年代のゲームによる翻案である。ただし借りているのは設定ではなく、宇宙的恐怖という効果のほうにあたる。

遊びの設計

死んだら戻らない13人

本作の中心にあるのは、13人のプレイアブルキャラクター という構造である[1]。

公式は、この設計を次のように説明する[1]。

どのキャラクターも独自の視点で調査を行うことで、ほかとは異なる手掛かりやアイテムを見つけることができる。(中略)だが、どの人物も「それ」に捕まれば死ぬ。そして、二度と生き返ることはない。彼らは死ぬと、プレイヤーはほかのキャラクターとして物語の断片を集め、彼らの死を無駄にしないために、調査を続けなくてはならない。

設計 内容
キャラクター数 13人
死亡時 恒久的に失われる(蘇生なし)
続行 別のキャラクターに切り替えて調査を継続
視点の違い キャラクターごとに見つかる手掛かり・アイテムが異なる
一部の能力 超自然的な現象に対して有効な手段を取れる者がいる

やり直すのではなく、別の人間が続きをやる。失敗が巻き戻らないという点では『恐怖の世界』のセーブ仕様と同じ思想だが、本作は「代わりの人間が来る」という形でそれを実装している[2]。

決まった出方をしない敵

もうひとつの特徴が、敵の制御である。公式はこう書く[1]。

ただ「それ」と呼ばれる、悪意ある超自然的な存在を、プレイヤーの行動や決定に対応しうる高度なAIが制御している。(中略)異界の存在は、プレイヤーの動きに対応し、予期せぬ方法で追い詰めてようとする。シナリオのないゲームプレイに、緊張は否応なしに高まる。

ホラーゲームの恐怖は、覚えてしまうと薄れる。どこで何が出るか分かれば、次からは作業になる。本作はそこに手を入れて、出方を固定しないことを設計の柱に据えた[1]。

エピソード配信だった

本作は最初から一本の完成品として出たわけではない。Steamには、いまも エピソード単位の商品 が並んでいる[4]。

商品 配信開始 価格(Steam日本)
SONG OF HORROR COMPLETE EDITION(本体) 2019年10月31日 3,180円[1]
SONG OF HORROR – Episode 2 2019年10月31日 780円
SONG OF HORROR – Episode 3 2019年12月13日 780円
SONG OF HORROR – Episode 4 2020年1月30日 780円
SONG OF HORROR – Episode 5 2020年5月28日 780円

2019年10月から2020年5月まで、7か月かけて5話が出そろった[1][4]。本体のジャンル表記に「無料プレイ」が含まれているのは、この構造の名残にあたる[1]。

いま買う場合に選ぶのは COMPLETE EDITION で、エピソードを個別に買い足す必要はない[1]。ただしストアの検索結果には個別商品も出てくるため、取り違えないよう注意してほしい。

エピソード配信という形式は、本作の「13人が順に死んでいく」構造とも相性がよかった。1話ごとに人が減っていくという体験が、配信の区切りと重なっていたことになる。

舞台

公式は探索場所として「あやしげな骨とう品店、忘れ去られた孤児院、遺棄された精神病院」などを挙げる[1]。いずれも現実の建物である。異界でも南極でも火星でもない。

動作環境の最低要件は、Windows 7/8/10 64bit、Intel/AMDの64bit 2.6GHz、メモリ8GB、GeForce GTX 660 / Radeon HD 7950相当[1]。

評価

数字は Steam公式のレビュー集計 による[3]。ここに書く以外の点数は当サイトでは扱わない。

指標 数値
Steamのレビュー評価 やや好評(Mostly Positive)
レビュー総数 3,090件
肯定的 2,418件
否定的 672件

肯定率は約78%である。本作のストアページにはMetacriticスコアの表示がない[1]。

作品 Steam評価 レビュー総数 肯定率 日本語
恐怖の世界 非常に好評 9,850 90% あり
Call of Cthulhu (2018) やや好評 13,917 79% あり
SONG OF HORROR やや好評 3,090 78% あり
Moons of Madness やや好評 2,938 77% なし
Stygian 賛否両論 2,524 66% なし

日本語で遊べる神話系ホラーの中では、中位の評価に落ち着いている[2][3]。

どんな人に向くか

  • 日本語で遊べるサバイバルホラーを探している人[1]
  • 固定カメラの三人称ホラー——1990年代から2000年代の作法——が好きな人
  • 取り返しのつかない死を受け入れて進められる人。13人は補充されない[1]
  • 逆に、戦って切り抜けたい人には向かない。公式が「戦うことのかなわぬ」と明記している[1]

神話ゲーム全体の見取り図はクトゥルフ神話ゲーム総覧にある。

関連記事

出典

  • [1] Steam公式ストアページ『SONG OF HORROR COMPLETE EDITION』(appid 1096570、該当ページ)。Steam公式のappdetails API(store.steampowered.com/api/appdetails?appids=1096570&l=japanese&cc=jp)で取得した内容を確認した。開発・発売元 Protocol Games、配信開始2019年10月31日、ジャンル「アドベンチャー/インディー」、対応プラットフォーム Windows、対応言語に日本語を含む、Steam実績44、Steam日本価格3,180円、公式サイト protocolgames.com。紹介文の「三人称視点、カメラ固定のサバイバルホラーアドベンチャーゲーム」「戦うことのかなわぬ謎の存在、「それ」を恐れよ」「高名な作家セバスチャン・P・ハッシャーが、その家族全員とともに行方不明になった」「プレイヤーの行動や決定に対応しうる高度なAIが制御している」「シナリオのないゲームプレイに、緊張は否応なしに高まる」「13人のプレイアブルキャラクター」「どの人物も「それ」に捕まれば死ぬ。そして、二度と生き返ることはない」「あやしげな骨とう品店、忘れ去られた孤児院、遺棄された精神病院」、および最低動作環境。ストアページにMetacriticスコアの表示はない(2026年9月16日確認)。 ↩
  • [2] Steam公式ストアページおよびレビュー集計。『恐怖の世界/WORLD OF HORROR』(appid 913740、Very Positive、9,850件・肯定8,822件、日本語対応)、『Call of Cthulhu』(appid 399810、Mostly Positive、13,917件・肯定11,029件、日本語対応)、『Moons of Madness』(appid 1012840、Mostly Positive、2,938件・肯定2,277件、日本語非対応)、『Stygian: Reign of the Old Ones』(appid 779290、Mixed、2,524件・肯定1,675件、日本語非対応)。肯定率は当サイトが肯定件数÷総数で算出した(2026年9月16日確認)。 ↩
  • [3] Steam公式のレビュー集計API(store.steampowered.com/appreviews/1096570?json=1&language=all&purchase_type=all)。レビュー評価「Mostly Positive」、総数3,090件(肯定2,418件/否定672件)(2026年9月16日確認)。 ↩
  • [4] Steam公式ストアページ。『SONG OF HORROR – Episode 2』(appid 1151730、配信開始2019年10月31日、780円)、『同 Episode 3』(appid 1157230、2019年12月13日、780円)、『同 Episode 4』(appid 1158110、2020年1月30日、780円)、『同 Episode 5』(appid 1158111、2020年5月28日、780円)。いずれもSteam公式のappdetails APIで取得して確認した(2026年9月16日確認)。 ↩
  • [5] SF Encyclopedia「Cthulhu Mythos」(2026年9月7日更新、該当ページ)。「He aimed to evoke “cosmic terror”, the dark side of Sense of Wonder, from these entities’ unconcern for such small fry as humanity in a vast Universe: foolish enquirers are withered or destroyed almost incidentally.」を確認した(2026年9月16日確認)。 ↩
公式トレーラー
出典: Steam公式トレーラー「Song of Horror Official Trailer JP」 ストアページ ↗

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