概要
『DREDGE』は、トロール船を操って魚を釣り、売り、船を強化していくアドベンチャーである。Steam公式ストアページによれば、開発は Black Salt Games、発売元は Team17、配信開始は 2023年3月30日[1]。
公式は、拡張コンテンツの説明の中で本作のジャンルをこう呼んでいる[1]。
不気味な深層海流が蠢く海域を舞台とした コスミックホラー・フィッシングアドベンチャー『DREDGE』
「コズミックホラー・フィッシングアドベンチャー」——版元自身がこう名乗っている。釣りと宇宙的恐怖を同じ語の中に並べた作品は、ほかにない。
基本情報
Steam公式ストアページの記載による[1]。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開発 | Black Salt Games |
| 発売元 | Team17 |
| 配信開始 | 2023年3月30日 |
| ジャンル | アドベンチャー / RPG |
| 対応プラットフォーム | Windows / macOS |
| 対応言語 | 英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、日本語、韓国語、ロシア語、中国語(簡体字/繁体字)、ポルトガル語(ブラジル)、ポーランド語 |
| Steam実績 | 60 |
| 価格(Steam日本) | 2,800円 |
| 公式サイト | dredge.game |
日本語に対応している[1]。
ストーリーの枠組み
公式紹介文が語る内容は、次のとおりである[1]。
人里離れた諸島 「マローズ」 の新たな家から出航し、海を探索して 125種以上の魚 と収集アイテムを発見する[1]。釣った魚は地元の住民に売り、クエストを進めて各地域の「悩ましい過去」を知っていく[1]。船に装備を付け足せば、深海の海溝で釣りをしたり、遠い島まで行けるようになる[1]。
そして公式は、条件をひとつ付ける[1]。
ただし、時間には注意。暗闇の中では、望ましくない何かが見つかるかもしれない…
さらに続けてこう書く[1]。
危険はどこにでも潜んでいる。鋭い岩や浅瀬に注意しよう。しかし 最大の脅威はすべて、夜の海を包み込む霧の中に潜んでいる…
昼は釣りのゲーム、夜はホラー。この切り替えが本作の骨格である。
クトゥルフ神話との関係
海と、引き上げてしまうもの
本作の「dredge(浚渫する、引き上げる)」という題名は、そのまま神話の主題と重なる。海の底から何かを引き上げてしまう——これはラヴクラフトが繰り返し書いた筋である。
公式紹介文の「海の底まで探索しよう」の節には、次の一文がある[1]。
過去を掘り起こしてほしがっている人がいるが、信頼できるのだろうか? そして終わりはあるのか?
依頼を受けて過去を掘り起こす。依頼者の意図は分からない。これは神話の物語が採ってきた構造そのものである。
固有名を借りない
クトゥルフもダゴンも、本作には出てこない。地名も「マローズ」という架空のものである[1]。
当サイトの神話の三層でいえば、本作は原典(第1層)でも拡張(第2層)でもない、2020年代のゲームによる翻案にあたる。借りているのは固有名ではなく、海と血統と「知らなければよかったもの」という枠組みのほうである。深きものの記事で扱う主題と、扱う領域は近い。
遊びの設計
生活のゲームの中に恐怖を置く
本作の中心にある行動は、釣る・売る・強化する である[1]。これは生活と経営のゲームの文法であって、ホラーのそれではない。
公式が挙げる特徴も、その調子で並ぶ[1]。
- 謎を解き明かす: トロール船を操縦し、人里離れた諸島へ。島ごとに住民・野生生物・物語がある
- 海の底まで探索: 隠された宝物を求めて深海を探り、クエストで奇妙な新アビリティを得る
- クラフトを研究: 特別な装備を研究し、船の能力を上げて珍しい魚や深海の宝を得る
- 釣りをしてサバイバル: 発見物を売って各エリアを知り、船を強化してさらに奥へ
- 深淵と戦う: 覚悟を決め、アビリティを使って夜の海を生き抜く
最後の一項だけが、ホラーの言葉で書かれている。日常の作業を積み上げた先に、夜が来る。この配置が本作の設計である。
遊びやすさへの配慮
Steamのカテゴリ表示には、アクセシビリティ関連の項目が並ぶ[1]。
カメラの快適性 / 色のオプション / カスタム音量調整 / 難易度の調整 / キーボードのみのオプション ——当サイトが調べた神話系タイトルの中で、ここまでの項目が立っているのは本作だけである[2]。
ホラーを扱いながら、遊ぶ側の条件を広く取る作りになっている。
動作環境の最低要件は、Windows 10、Intel Core i3-2100 / AMD Phenom II X4 965 相当、メモリ4GB、Nvidia 8800 GT 512MB / Radeon HD 6570 1GB 相当、DirectX 11、ストレージ2GB[1]。
追加コンテンツ
Steamには複数のDLCが登録されている[4]。
| DLC | 配信 | 価格(Steam日本) |
|---|---|---|
| DREDGE – Blackstone Key | 2023年3月30日 | 520円 |
| DREDGE – The Pale Reach | 2023年11月16日 | 700円 |
| DREDGE – The Iron Rig | 2024年8月15日 | 1,400円 |
| DREDGE – Original Soundtrack | 2023年3月30日 | 520円 |
公式が「オフィシャル・エクスパンションの第二弾」と呼ぶのが『The Iron Rig』で、拡張可能な新拠点と専用のイベントストーリー、新アイテム、任意のタイミングで挑める試練を追加する[1]。本体の配信が2023年3月30日、拡張の第二弾が2024年8月15日[1][4]——1年半かけて海域が広がっていったことになる。
なお本体と同日配信の『Blackstone Key』は、本編に小さな追加を加えるもので、上記の二つの拡張とは規模が違う[4]。
海の恐怖という系譜
海を舞台にした神話ゲームは、本作だけではない。当サイトが扱っている範囲でも、複数が並ぶ[2]。
| 作品 | 海の扱い | Steam評価 |
|---|---|---|
| DREDGE | 釣りと交易の海。夜に霧が出る | 圧倒的に好評(96%) |
| Call of the Sea | 南太平洋の島。明るい熱帯 | 非常に好評(88%) |
| Sunless Sea | 地下の暗い海。蒸気船で航行 | 非常に好評(83%) |
三本とも「船で海を行く」ゲームだが、海の色が違う。DREDGEは昼と夜で切り替わり、『Call of the Sea』は終始明るく、『Sunless Sea』は最初から暗い[1][2]。
ラヴクラフト原典において、海は一貫して 境界 だった。陸の秩序が届かない場所であり、深きもののように人間と人間でないものが混ざる領域でもある。釣りという最も日常的な海との関わり方を選んだ点に、本作の工夫がある。
評価
数字は Steam公式のレビュー集計 による[3]。ここに書く以外の点数は当サイトでは扱わない。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| Steamのレビュー評価 | 圧倒的に好評(Overwhelmingly Positive) |
| レビュー総数 | 56,952件 |
| 肯定的 | 54,578件 |
| 否定的 | 2,374件 |
肯定率は約96%である。
当サイトが調べた神話系タイトルの中で、評価も規模も突出している[2]。
| 作品 | Steam評価 | レビュー総数 | 肯定率 |
|---|---|---|---|
| DREDGE | 圧倒的に好評 | 56,952 | 96% |
| 恐怖の世界 | 非常に好評 | 9,850 | 90% |
| Call of the Sea | 非常に好評 | 6,402 | 88% |
| Cultist Simulator | やや好評 | 14,193 | 80% |
| Call of Cthulhu (2018) | やや好評 | 13,917 | 79% |
| Stygian | 賛否両論 | 2,524 | 66% |
レビュー総数は2位の4倍近く、肯定率は唯一の90%台後半である[2][3]。「圧倒的に好評」という評価文言が付いているのも、調べた範囲では本作だけだった[2]。
ホラーの純度で押すのではなく、釣りという遊びの器に恐怖を入れたことが、この規模につながったと見える。なお本作のストアページにはMetacriticスコアの表示がない[1]。
どんな人に向くか
- 日本語で遊べる神話系ゲームを探している人[1]
- 釣り・収集・強化といった積み上げ型の遊びが好きな人
- ホラーが苦手でも、難易度とアクセシビリティの設定で調整できる[1]
- 逆に、直接的な恐怖演出を求めるなら物足りない可能性がある。基本は静かな海である
より暗い神話ゲームなら『SONG OF HORROR』や『Stygian』がある。全体の見取り図はクトゥルフ神話ゲーム総覧にまとめてある。
関連記事
- 深きもの — 海と血統を扱う原典の系譜
- 宇宙的恐怖 — 公式がジャンル名に使っている概念
- Call of the Sea — 同じく海を舞台にした明るい画面の神話ゲーム
- クトゥルフ神話ゲーム総覧
出典
- [1] Steam公式ストアページ『DREDGE』(appid 1562430、該当ページ)。Steam公式のappdetails API(
store.steampowered.com/api/appdetails?appids=1562430&l=japanese&cc=jp)で取得した内容を確認した。開発 Black Salt Games、発売元 Team17、配信開始2023年3月30日、ジャンル「アドベンチャー/RPG」、対応プラットフォーム Windows・macOS、対応言語に日本語を含む、Steam実績60、Steam日本価格2,800円、公式サイト dredge.game、DLC(appid 2561450 The Iron Rig・2561440 The Pale Reach・2104240・2198580 Original Soundtrack)。紹介文の「不気味な深層海流が蠢く海域を舞台としたコスミックホラー・フィッシングアドベンチャー『DREDGE』」「人里離れた地にある諸島「マローズ」の新たな家から出航し、海を探って興味深い収集アイテムや125以上の魚を発見しよう」「ただし、時間には注意。暗闇の中では、望ましくない何かが見つかるかもしれない…」「過去を掘り起こしてほしがっている人がいるが、信頼できるのだろうか? そして終わりはあるのか?」「最大の脅威はすべて、夜の海を包み込む霧の中に潜んでいる…」および「ゲームの特徴」の各項目。カテゴリ表示に「カメラの快適性」「色のオプション」「カスタム音量調整」「難易度の調整」「キーボードのみのオプション」が並ぶこと、最低動作環境。ストアページにMetacriticスコアの表示はない(2026年9月16日確認)。 ↩ - [2] Steam公式ストアページおよびレビュー集計。『恐怖の世界/WORLD OF HORROR』(appid 913740、Very Positive、9,850件・肯定8,822件)、『Call of the Sea』(appid 1042490、Very Positive、6,402件・肯定5,613件)、『Cultist Simulator』(appid 718670、Mostly Positive、14,193件・肯定11,344件)、『Call of Cthulhu』(appid 399810、Mostly Positive、13,917件・肯定11,029件)、『Stygian: Reign of the Old Ones』(appid 779290、Mixed、2,524件・肯定1,675件)、『SONG OF HORROR COMPLETE EDITION』(appid 1096570、Mostly Positive、3,090件・肯定2,418件)。肯定率は当サイトが肯定件数÷総数で算出した(2026年9月16日確認)。 ↩
- [3] Steam公式のレビュー集計API(
store.steampowered.com/appreviews/1562430?json=1&language=all&purchase_type=all)。レビュー評価「Overwhelmingly Positive」、総数56,952件(肯定54,578件/否定2,374件)(2026年9月16日確認)。 ↩ - [4] Steam公式ストアページ。『DREDGE – Blackstone Key』(appid 2104240、2023年3月30日配信、520円)、『DREDGE – The Pale Reach』(appid 2561440、2023年11月16日配信、700円)、『DREDGE – The Iron Rig』(appid 2561450、2024年8月15日配信、1,400円)、『DREDGE – Original Soundtrack』(appid 2198580、2023年3月30日配信、520円)。いずれもSteam公式のappdetails APIで取得して確認した(2026年9月16日確認)。 ↩

