概要
『Cultist Simulator』は、Weather FactoryのAlexis Kennedy が2018年にKickstarterで成功させ、開発したインディーズゲームです。PC、Mac、iOS、Androidで利用可能です。カードの配置と組み合わせで物語が紡がれる、テキストベースのストーリーゲームです。プレイヤーは邪教団の指導者となり、信仰者を集め、秘密の儀式を実行し、不死性や超越的な力を求めていきます。1920年代の架空の都市を背景に、複数のエンディングと無限の変奏が生成されるゲーム構造が特徴です。
クトゥルフ神話との関係
本作は直接的にラヴクラフト宇宙を題材としており、プレイ中に登場するテキストやカード名はクトゥルフ神話の要素を豊富に含んでいます。プレイヤーが行う儀式は魔導書の知識に基づき、招来しようとする存在は旧支配者的な超越的存在であり、その過程における信仰者の狂信化と精神的変質は、原典における邪教団の描写を直接ゲーム化したものです。また、ゲーム内における夢見のシステムは、ラヴクラフト宇宙における次元間の接触を象徴しており、超越的なエルドリッチ存在への接近を表現しています。
独自の要素・原典との違い
本作最大の独自性は、プレイヤーが邪教団の側として物語を進めるという道徳的な転倒です。通常のクトゥルフ関連メディアでは、邪教団は敵対者あるいは怪物として描かれますが、本作ではプレイヤーが彼らの心理を内部から体験します。このプレイヤーパースペクティブの転換により、邪教に惹かれる人間の心理的・哲学的動機が探索され、原典における単純な悪/善の二項対立が複雑化されます。また、カードベースのメカニクスにより、テキストと組み合わせパターンから無限の物語変奏が生成され、毎プレイで異なる邪教団の歴史が構築されます。さらに、複数のエンディング(成功、失敗、逮捕、昇天など)が用意されており、プレイヤーの選択による分岐がゲーム進行に大きく影響する構造により、高い再プレイ性と物語的複雑性が実現されています。

