魔道書 — SEVEN CRYPTICAL BOOKS OF HSAN

サンの七秘聖典

原典

H・P・ラヴクラフトの「異形の神々の峰」と「未知なるカダスを夢に求めて」に名前だけが登場する架空の書物です。ウルタールの賢者バルザイが精通していたと語られ、プナコティック写本と並んで地上の神々に関する知識の出典として引用されますが、書物の内容や著者についての記述は原典にありません。

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概要

「サンの七秘聖典」は、H・P・ラヴクラフトの短編「異形の神々の峰」と長編「未知なるカダスを夢に求めて」に名前だけが登場する架空の書物です。公式アーカイブの本文を確認した限り、ラヴクラフト自身の作品でこの書名が現れるのはこの2箇所だけでした。どちらの場面でも、プナコティック写本と並べて言及される点が共通しています。

「異形の神々の峰」では、ウルタールの老賢者バルザイがこの書物に深く通じていたと紹介され、地上の神々についての知識の出どころとして位置づけられます。「未知なるカダスを夢に求めて」では、その知識が実際には十分な手がかりにならなかったという文脈で、書名だけが再び触れられます。書物そのものの中身や著者、成立の経緯については、両作品とも語っていません。

基本プロフィール

  • 分類: 魔道書(架空)
  • 欧文表記: SEVEN CRYPTICAL BOOKS OF HSAN(公式アーカイブ本文の綴り)
  • ラヴクラフト作品での言及: 異形の神々の峰(1921年8月14日執筆)、未知なるカダスを夢に求めて(1926年秋?〜1927年1月22日執筆)[1][2]

「異形の神々の峰」での位置

バルザイの学識としての書物

物語の冒頭近く、ウルタールに住む老人バルザイが紹介される場面に、この書物の名が出てきます。原文では「サンの七秘聖典に深く通じ、遠く凍てついたロマールのプナコティック写本にも親しんでいた」人物としてバルザイが描かれており[1]、これが書物の名指しされる原典中唯一の場面です。村人たちは、彼が地上の神々についてこれほど多くを言い当てられることから、半ば神に等しい者と見なすようになったと語られます。書物そのものの中身は語られませんが、バルザイという人物の学識を裏づける文献として機能しています。

峰への挑戦とその結末

バルザイは、積み重ねた知識が神々の怒りから自分を守ってくれると信じ、若い弟子の神官アタルを連れてハテグ=クラの頂を目指します。満月の夜、雲間から地上の神々の踊りを見ようと登り続けた末、それを守る「異形の神々(the other gods)」でした。バルザイは恐怖の叫びをあげながら姿を消し、アタルだけが山を下ります。七秘聖典に通じた学識は、神々の秘密に迫る手がかりにはなっても、破滅を防ぐ力にはならなかった、と読める結末です。書物そのものが直接に彼を破滅させたとまでは書かれておらず、ここは慎重に扱うべき点になります。

「未知なるカダスを夢に求めて」での言及

「未知なるカダスを夢に求めて」では、夢の国を旅するランドルフ・カーターが、ウルタールの神官アタルに地上の神々について尋ねる場面があります。アタルは、かつてバルザイと共に体験したことをもとに、神々には礼を尽くした祈り以外で関わらないほうがよいと忠告します。カーターはこの忠告にも、プナコティック写本とサンの七秘聖典から得られた「わずかな助け」にも失望させられますが、探索そのものをあきらめはしません[2]。

ここでも書物の内容には踏み込まれず、地上の神々を追う者に十分な手がかりを与えてはくれなかった文献、という位置づけだけが示されます。

性質と影響

資料から確認できるのは、この書物が地上の神々に関する知識と結びつけられた文献として、2つの物語にまたがって名前だけを引用されているという事実です。著者が誰か、「サン」という語が人名を指すのか他の何かを指すのか、「七」という数が何を意味する構成なのか、書物の実際の記述内容がどのようなものかは、いずれの資料からも読み取れません。当サイトでは確認していません。バルザイの結末と書物の知識との因果関係も、推測を交えずに書ける範囲はここまでです。

綴りの異同について

公式アーカイブ(hplovecraft.com)の本文では、この書物は “the seven cryptical books of Hsan” と固有名詞つきで綴られています[1]。初出誌『The Fantasy Fan』(1933年11月)の本文に綴りの異同があるという指摘がありますが、当サイトでは同誌の原文を確認できていません。本記事の表記は公式アーカイブに従っています。

関連する用語

出典

[1] H. P. Lovecraft, “The Other Gods” (本文). The H. P. Lovecraft Archive. https://www.hplovecraft.com/writings/texts/fiction/og.aspx[2] H. P. Lovecraft, “The Dream-Quest of Unknown Kadath” (本文). The H. P. Lovecraft Archive. https://www.hplovecraft.com/writings/texts/fiction/dq.aspx執筆時期はいずれも “Lovecraft’s Fiction”(作品年譜) https://www.hplovecraft.com/writings/fiction/ による。訳文は当サイトの試訳。

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