概要
『クトゥルフの呼び声 ラヴクラフト傑作集』は田辺剛による漫画で、2019年12月20日にKADOKAWAよりビームコミックスとして刊行された。原作は1928年発表、クトゥルフ神話全体の起点となる代表的短編「クトゥルフの呼び声」である。
クトゥルフ神話との関係
彫刻家ウィルコックスの悪夢、各地のカルト教団への警察の強制捜査、そしてノルウェー人航海士ヨハンセンが遭遇した海底都市ルルイエと、そこに眠る旧支配者クトゥルフそのものという、神話全体の骨格をなす三つの証言を漫画として再構成している。神格の名や設定を後年拡張した他作家の要素は加えず、原作の記述のみに基づいて描かれている。
独自の要素・原典との違い
断片的な手記の寄せ集めという原作の構成上、視覚化が難しいとされてきた作品だが、田辺剛は三つの証言それぞれに異なる画面の密度・タッチを与えることで、伝聞が積み重なっていく原作の構造をそのまま漫画の演出に落とし込んでいる。クトゥルフ自身が姿を現す終盤の場面も、原作の抑制的な描写を大きく逸脱しない範囲で描かれている。