編集部注(拡張神話): 本記事が扱うシアエガは、H・P・ラヴクラフト存命期のパブリックドメイン原典には登場しません。ベルギーの作家エディ・C・ベルタンによって創造された、後年の拡張神話に属する存在です。初出作品「Darkness, My Name Is」(1976年)は現時点でパブリックドメインではないため、本記事は原文からの引用を行わず、公知の設定情報の要約のみで構成しています。
概要
シアエガ(Cyäegha)は、ベルギーの作家エディ・C・ベルタンが短編「Darkness, My Name Is」(1976年、アンソロジー『The Disciples of Cthulhu』収録)で創造した旧支配者。「破壊の目(The Destroying Eye)」「待つ闇(The Waiting Dark)」とも呼ばれる。分類は資料によって割れている。日本語版『クトゥルフ神話TRPG』の神格一覧では「旧支配者」だが、後年のマイソス解説では「地の精霊」として紹介されることもある。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 分類 | 旧支配者(日本語版クトゥルフ神話TRPGの神格一覧による。後年の解説では「地の精霊」とされることもある――詳細はTRPGでの扱い参照) |
| 欧文表記 | CYAEGHA / Cyäegha |
| 初出 | エディ・C・ベルタン「Darkness, My Name Is」(1976年10月、アンソロジー『The Disciples of Cthulhu』〈エドワード・P・バーグランド編、DAW Books〉収録)[1] |
| 主要事典項目 | ダニエル・ハームズ『The Encyclopedia Cthulhiana』第2版(Chaosium、1998年)[3]。掲載頁(71頁)は当サイト未確認 |
| 主な異名 | 破壊の目(The Destroying Eye)、待つ闇(The Waiting Dark) |
| 象徴 | 月の空に現れる巨大な目、滲み出す漆黒の闇、触手、ドイツの山ドゥンケルヒューゲルの地下洞窟、満月 |
初出作品
シアエガという名前が最初に現れるのは、ベルギーの作家エディ・C・ベルタンの短編「Darkness, My Name Is」である。書誌データベースISFDBの記録によれば、初出は1976年10月、エドワード・P・バーグランド編のアンソロジー『The Disciples of Cthulhu』(DAW Books、DAW Collectors #213)[1]。1996年には同シリーズの増補改訂版『The Disciples of Cthulhu: Second Revised Edition』(Chaosium、Cthulhu Cycle第10巻)にも再録されたことが、同じくISFDBの記録で確認できる[1]。同作は現時点でパブリックドメインではないため、本記事は原文からの引用を行わず、公知の設定情報の要約のみで構成する。
原典での描写
H・P・ラヴクラフト自身の作品にシアエガへの言及はない。ラヴクラフト公式サイト(hplovecraft.com)が公開する作品一覧にも「シアエガ」「Cyaegha」に該当する作品名は見当たらない[2]。シアエガが創造されたのはラヴクラフトの没後(1937年)40年近く経った1976年であり、原典との接点を持たない存在である。原典に直接の記述はない。
ダーレス以降の変化
シアエガはオーガスト・ダーレスの手によるものではなく、ダーレス以降の拡張神話期にエディ・C・ベルタンが独自に創造した神格である。初出作品「Darkness, My Name Is」で示された設定は次の通りとされる。
- 太古から存在し、ドイツの山「ドゥンケルヒューゲル(闇の丘、Dunkelhügel)」の地下深くの洞窟で眠っている
- 出現時は月の周りの空に巨大な目が現れ、その周囲で空が裂けて漆黒の闇が滲み出し、ねっとりとした触手のかたちを取っていく場面として描かれる
- 満月の夜ごと、催眠的・テレパシー的な引力によって、かつての教団員の子孫たちを闇の丘へ引き寄せる
- 5体の下位の悪魔「ヴァイエン」――「緑の月」「夜よりも暗い白い炎」「翼ある女」「炎よりも赤い白い闇」「黒い光」――によって守られると同時に封じられており、その霊は5体の禿鷲(はげたか)を象った石像に宿るとされる
- 眷属として、ヒキガエルに似た怪物「ナガーエ」がいる
- 教団は17世紀からドイツの村フライハウスガルテンで活動し19世紀まで存続したが、1860年、教団と戦って命を落とした若い司祭によって解散させられた。それでもなお、かつての教団員の子孫たちは満月の夜ごとに闇の丘へ引き寄せられるという
ベルタンの原作を離れた後年の体系化として、ダニエル・ハームズ『The Encyclopedia Cthulhiana』第2版(Chaosium、1998年)に独立項目が立てられているとされる[3]。項目の掲載頁(71頁)や項目本文の具体的な記述内容は、当サイトでは同書を直接確認できていない。この系統の解説ではシアエガを「地の精霊(earth elemental)」に分類し、ニョグタの「いとこ」筋にあたるとする。この地の精霊としての分類は、ダレル・シュヴァイツァー編『Discovering H. P. Lovecraft』(Wildside Press、2001年)[4]を原資料とする、ベルタンの原作を離れた後年の体系化によるものとされるが、同書内の該当記述そのものは当サイトで照合できていない。同じ系統の解説では、他の地の精霊と同様、アンク(エジプト十字)、ヴァク=ヴィラジの儀式、ティッコウン秘薬に弱いという耐性設定も付与されている。両分類の関係を体系的に整理した記述は、本記事の情報源には見当たらない。
TRPGでの扱い
日本語版『クトゥルフ神話TRPG』(クトゥルフの呼び声)の神格一覧では、シアエガは旧支配者のカテゴリーに分類されている。
一方、前節の通り後年のマイソス関連の解説では「地の精霊」に分類されるとも紹介されており、クトゥルフ神話TRPGの公式設定と、原作を離れた事典的体系化の間で扱いが食い違っている。この食い違いを解消する記述は、本記事の情報源には見当たらない。日本語表記は本記事が参照した収集資料の範囲では「シアエガ」で一貫しており、これ以外のカタカナ表記のゆれは確認できなかった。
登場作品一覧
| 作品 | 年 | 作者 | この作品が足したもの |
|---|---|---|---|
| Darkness, My Name Is | 1976 | エディ・C・ベルタン | 初出。姿・伝承・教団設定の確立 |
| The Encyclopedia Cthulhiana 第2版 | 1998 | ダニエル・ハームズ | 独立項目として体系立てて紹介。地の精霊分類・耐性設定の出典 |
| Arcaea サイドストーリーDLC「Absolute Reason」 | 2017 | lowiro | キャラクター「沙夜(Saya)」の命名。収録楽曲の1曲が「Cyaegha」と題される |
Arcaeaの項について: 本記事の情報源で確認できる小説作品への登場はベルタンの初出作品1作のみで、他の小説作品への再登場・言及は未確認。
関連神格・地域・書物
神格・種族
- ニョグタ — 地の精霊としての分類上「いとこ」筋にあたるとされる(旧支配者分類との食い違いは未整理)
- オサイエグ(Othuyeg) — 外見や習性が似ることから関連づけられているとされるが、本サイトのvaultには未収録
- ヴァイエン — シアエガを守ると同時に封じているとされる5体の下位の悪魔
- ナガーエ — シアエガに仕えるとされる、ヒキガエルに似た怪物
地域
- ドゥンケルヒューゲル(闇の丘、Dunkelhügel) — シアエガが地下深くの洞窟で眠っているとされるドイツの山
- フライハウスガルテン — シアエガの教団が17世紀から19世紀まで活動したとされるドイツの村
書物
- ネクロノミコン
- 無名祭祀書(Unaussprechlichen Kulten)
- ルルイエ異本(ドイツ語訳『Liyuhh』)
- クタート・アクアディンゲン
分類の考え方
参考文献
- [1] Eddy C. Bertin, “Darkness, My Name Is”(1976年10月、アンソロジー『The Disciples of Cthulhu』〈エドワード・P・バーグランド編、DAW Books、DAW Collectors #213〉収録)。著者・初出年月・収録アンソロジー・出版社は、書誌データベースISFDB「Darkness, My Name Is」Title Record #59674で確認済み(該当ページ)。同記録によれば、1996年刊行の増補改訂版『The Disciples of Cthulhu: Second Revised Edition』(Chaosium、Cthulhu Cycle第10巻)にも再録されている。一方、作中でシアエガがどのように描写されているかという本文の内容そのものは、当サイトでは原文を確認していない。同作は著作権存続作品であり、本文の入手・全文照合もしていない。
- [2] H・P・ラヴクラフト公式サイト(hplovecraft.com)「Complete Fiction」作品一覧(該当ページ)。2026年9月時点で確認した一覧に「シアエガ」「Cyaegha」に該当する作品名が無いことを、原典に本項目が登場しないという本文の記述の裏付けとした。
- [3] ダニエル・ハームズ『The Encyclopedia Cthulhiana』第2版(Chaosium、1998年)。著者・出版社・初版年は、書誌データベースISFDB「Encyclopedia Cthulhiana: Second Edition」Publication Record #292305で確認済み(該当ページ)。ただし本記事が言及する「シアエガ」項目の掲載頁(71頁)および項目本文の内容は、当サイトでは同書を直接確認できておらず、複数の二次的な紹介記事が伝える情報にとどまる。
- [4] ダレル・シュヴァイツァー編『Discovering H. P. Lovecraft』(Wildside Press、2001年)。編者・出版社・刊行年は、書誌データベースISFDB「Discovering H. P. Lovecraft」Title Record #36499で確認済み(該当ページ)。同書は1976年発表の論集『Essays Lovecraftian』のバリアント版としてISFDBに記録されている。ただし、シアエガを「地の精霊」に分類する記述が同書のどの論考に基づくのかは、当サイトでは本文を確認できていない。
FAQ
Q. シアエガはラヴクラフト自身の創造ですか? A. いいえ。シアエガはH・P・ラヴクラフト存命期のパブリックドメイン原典には登場せず、ベルギーの作家エディ・C・ベルタンが1976年の短編「Darkness, My Name Is」で創造した、後年の拡張神話に属する存在です。
Q. シアエガは「旧支配者」と「地の精霊」のどちらに分類されるのですか? A. 資料によって扱いが異なります。日本語版『クトゥルフ神話TRPG』の神格一覧では「旧支配者」に分類される一方、後年のマイソス関連の解説では「地の精霊」としてニョグタの近縁とされています。両者の関係を体系的に整理した記述は、本記事の情報源には見当たりません。
Q. シアエガはクトゥルフ神話の原典(パブリックドメイン)作品に登場しますか? A. いいえ。初出のアンソロジー『The Disciples of Cthulhu』(1976年)は現時点でパブリックドメインではないため、本記事は原文からの引用を行わず、公知の設定情報の要約のみで構成しています。



