概要
H・P・ラヴクラフトの短編「祭事」(The Festival、*Weird Tales* 1925年1月号)に、名もなき「緑の焔」として登場する存在[1]。地底の巨大な川のほとりで燃え続けるこの焔に「タルザーシャ」の名を与え、外なる神の一柱として体系化したのは、Chaosium社のTRPG『クトゥルフの呼び声』の設定資料集『Malleus Monstrorum』である[2]。原典「祭事」の本文中に「タルザーシャ」という名称は一度も登場しない。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 分類 | 外なる神(TRPG『クトゥルフの呼び声』設定資料集『Malleus Monstrorum』による体系化。原典に分類の記述はない) |
| 欧文表記 | TULZSCHA |
| 異名 | 緑の焔 |
| 名称の出典 | Chaosium社『Malleus Monstrorum』(TRPG設定資料集)[2] |
| 焔の原典描写の出典 | H・P・ラヴクラフト「祭事」(*Weird Tales* 1925年1月号)[1] |
| 舞台 | キングスポートの地底 |
初出作品
タルザーシャという名称そのものは、クトゥルフ神話の原典には存在しない。
原典において該当する存在が最初に(そして唯一)登場するのは、H・P・ラヴクラフトの短編「祭事」(The Festival、*Weird Tales* 1925年1月号)である。主人公が先祖の血に導かれて禁忌の地下祭儀へ足を踏み入れる物語の終盤、地底の巨大な川のほとりで燃え続ける名もなき焔として描かれる[1]。
この焔に「タルザーシャ」という固有の名を与え、独立した神格として体系化したのは、はるか後年のTRPG『クトゥルフの呼び声』の設定資料集『Malleus Monstrorum』である[2]。
原典での描写
ラヴクラフト自身がこの焔について書いたのは、「祭事」の一場面のみである。
原典が描くのは、菌類に覆われた広大な岸辺を照らす「不健全な緑がかった焔」であり、健全な炎が本来落とすはずの影を落とさず、周囲の硝石を帯びた岩肌を不快で毒々しい緑青色に染め上げるという異形の炎である[1]。暖かさではなく、死と腐敗の冷たさだけをもたらすとされる[1]。
原典に、この焔の名前も、権能も、他の神格との関係も書かれていない。現在流通する「タルザーシャ」という神格像は、この場面の異様さに後年のTRPG資料が名前と体系を与えたものである。
ダーレス以降の変化
タルザーシャの名称・体系化を行ったのはオーガスト・ダーレスではなく、TRPG『クトゥルフの呼び声』の設定資料集『Malleus Monstrorum』である。ダーレス自身、あるいはダーレス以降・TRPG化以前の時期にこの焔へ言及した作家は、現行資料からは確認できていない。
TRPGでの扱い
TRPG『クトゥルフの呼び声』の設定資料集『Malleus Monstrorum』は、「祭事」の名もなき緑の焔に「タルザーシャ」(異名:緑の焔)の名を与え、アザトースの宮廷で舞う下級の外なる神々の一柱として位置づけた[2]。
- 下級の外なる神々よりも強い力を持ち、アザトースの眠りに影響を与える存在とされる(設定資料集による体系化。原典にこの権能の記述はない)
- 原典で同じ「祭事」の場に登場したもう一つの音楽的な存在、トゥルネンブラと関連づけて語られることもある
- 版・発行年など『Malleus Monstrorum』の書誌情報は、現行資料からは確認できていない
登場作品一覧
| 作品 | 年 | 作者 | この作品が足したもの |
|---|---|---|---|
| 祭事(The Festival) | 1925(*Weird Tales* 1月号) | H・P・ラヴクラフト | 焔そのものの原典描写。ただし名前は無い[1] |
| Malleus Monstrorum(TRPG設定資料集) | 未確認 | Chaosium社 | 「タルザーシャ」の名称、外なる神としての体系化[2] |
関連神格・地域・書物
神格
地域
- キングスポート — 「祭事」の舞台。主人公が先祖の血に導かれて禁忌の地下祭儀へ足を踏み入れる
参考文献
- [1] “a vast fungous shore litten by a belching column of sick greenish flame”(試訳: 「菌類に覆われた広大な岸辺を、不健全な緑がかった焔の柱が照らしていた」) — H. P. Lovecraft, “The Festival,” *Weird Tales* (1925年1月号), 公式アーカイブ。本記事中の他の描写(影を落とさない、岩肌を緑青色に染める等)は要約・意訳であり、逐語引用ではない
- [2] 「タルザーシャ」の名称、および外なる神の一柱としての体系化(アザトースの宮廷に連なる下級の外なる神々という位置づけを含む)は、Chaosium社のTRPG『クトゥルフの呼び声』設定資料集『Malleus Monstrorum』による。版・発行年などの書誌情報は現行資料からは確認できていない
FAQ
Q. 「タルザーシャ」という名前は、ラヴクラフトの原典「祭事」にも登場するのですか。A. 登場しません。原典「祭事」の本文中に「タルザーシャ」という名称は一度も出てきません[1]。原典が描くのは名もなき「不健全な緑がかった焔」であり、この名前を与えて体系化したのはTRPG『クトゥルフの呼び声』の設定資料集『Malleus Monstrorum』です[2]。
Q. タルザーシャが「アザトースの眠りに影響を与える」というのは原典の設定ですか。A. いいえ。これはTRPGの設定資料集『Malleus Monstrorum』による体系化であり、原典「祭事」にこうした権能に関する記述はありません[2]。
Q. タルザーシャは外なる神なのですか。A. その分類自体、TRPG『クトゥルフの呼び声』の設定資料集『Malleus Monstrorum』によるものです[2]。原典「祭事」には、この焔を神格として分類する記述そのものがありません。
Q. トゥルネンブラとはどういう関係ですか。A. トゥルネンブラは、原典「祭事」の同じ場面に登場するもう一つの音楽的な存在です。両者を関連づけて語る扱いがありますが、原典自体が両者の関係を明記しているわけではありません。




