| 疑問 | 回答の方向性 |
|---|---|
| SAN値とは | 探索者(プレイヤーキャラクター)の精神的な安定度を数値化した指標(Sanity Points) |
| SANチェックとは | 神話的な存在や凄惨な光景に遭遇した際、現在SAN値を基準に行う百分率ダイス判定 |
| 初期値 | 使用する版・キャラクター作成ルールにより算出方法が異なる(本記事では扱わない。探索者の作り方を参照) |
| 一時的狂気 | 1回のSANチェックで5点以上のSANを一度に失うとINTロールが課され、成功すると発症(第7版) |
| 不定の狂気 | ゲーム内の1日のうちに、複数回のSANチェックの合計でその日の開始時点のSAN値の5分の1以上を失うと、判定なしで自動的に発症(第7版) |
| 最大SAN | クトゥルフ神話技能の値が上がるほど、正気度の回復できる上限が下がっていく |
数値の詳細や具体的な狂気の内容は版・シナリオによって異なります。本記事は主に第7版のルールを基準に解説しており、断定的な数値は最小限にとどめています。実際に遊ぶ際は必ず使用しているルールブックの該当箇所を確認してください。
概要
「クトゥルフ神話TRPGとは」で触れたとおり、SAN値(正気度、Sanity)はこのゲームの核心をなす仕組みです。ここでは「正気度チェック」がどう発動し、正気度を失うとどうなり、なぜクトゥルフ神話技能とトレードオフの関係にあるのかを、もう一段詳しく解説します。数値の細部はエディション(版)によって異なるため、以下では主に第7版のルール(2014年、Mike Mason/Paul Fricker設計)を基準にしつつ、版差がある箇所には注記を添えます。
正気度チェック(SANチェック)とは
探索者が人智を超えた神話的存在を目撃したり、凄惨な光景に遭遇したりすると、キーパーは「正気度チェック」を求めます。これはPOW(パワー、精神力)を基準にした百分率(パーセンタイル)のダイス判定で、成功・失敗いずれの場合も、あらかじめ定められた量のSAN値を失います(多くの場合、失敗時のほうが失うSAN値は大きくなります)。
失うSAN値の量は、遭遇した対象ごとに「成功時1d/失敗時1d10」のような形で個別に定められています。この具体的な数値は版・シナリオ・怪異の種類によって大きく異なるため、本記事では特定の数値を断定的には示しません。実際に遊ぶ際は、使用しているルールブックの該当表を必ず参照してください。
一時的狂気——単発の大きな喪失で起きる
第7版のルールでは、1回のSANチェックで5点以上のSAN値を一度に失うと、INT(知性)ロールが求められます。これに成功すると「一時的狂気」の状態に陥ります[1]。
一時的狂気は、ゲーム内時間で1d10時間続くとされ、静かで安全な環境で休息を取ることで回復に向かうとされています[1]。この間に発作(一時的な錯乱行動)を起こすこともあり、キーパーが具体的な症状を演出します。
不定の狂気——1日の累積喪失で起きる
より深刻なのが「不定の狂気」です。一時的狂気が「1回のSANチェックでの単発の大きな喪失」を条件とするのに対し、不定の狂気は1回のチェックの大小ではなく、ゲーム内の1日のうちに行われた複数回のSANチェックの合計で判定される点が異なります。
第7版のルールでは、ゲーム内の1日のうちに、その日の開始時点の現在SAN値の5分の1以上をSAN値の合計として失うと、自動的に不定の狂気に陥るとされています[2][3]。一時的狂気がINTロールという「判定」を要するのに対し、不定の狂気は判定を経ずに自動で発生する点も異なります[2]。
不定の狂気は一時的狂気よりもはるかに長く——シナリオ全体、あるいはキャンペーンの1章分ほどの期間——続くとされ、より深刻な精神の変調として扱われます[2]。
「基底の狂気」という危うい期間
発作そのものが収まったあとも、一時的狂気・不定の狂気の期間が続いている間は「基底の狂気」と呼ばれる、精神的に非常に脆い状態にあるとされます。この期間中にわずか1点でもSAN値を追加で失うと、再び発作(狂気の症状)を引き起こすとされており[2]、一度大きくSANを失った探索者は、その後もしばらく綱渡りの状態が続くことになります。
クトゥルフ神話技能との関係——なぜ知るほど戻れなくなるのか
「クトゥルフ神話TRPGとは」でも触れたとおり、SAN値と対をなすのがクトゥルフ神話技能(神話度)です。この技能の値が上がるほど探索者は神話の真相に近づけますが、引き換えに正気度の回復できる上限が下がっていくという設計になっています。
つまりSAN値は単に増減するだけの数値ではなく、「神話技能が高いほど、もう二度と満点の正気には戻れない」という、不可逆な下方修正を伴う仕組みです。この「知識の獲得と引き換えに、恒久的に正気の可能性を差し出す」というトレードオフこそが、SAN値システム最大の発明とされる部分です。
数値は版によって異なる——参照版明記の重要性
SAN値の初期値の算出方法、各狂気の発症条件となる具体的な数値(何点失うと一時的狂気になるか等)、SAN値減少表の個々の数値は、第6版と第7版とで異なり、さらに版内でもサプリメントごとに個別の数値が追加されていきます。本記事で示した「5点以上」「5分の1」という基準は第7版のルールに基づくものです[1][2][3]。他の版のルールを参照する場合は、必ずその版のルールブックで確認してください。
版そのものの違いについては「第6版と第7版はどう違う?」、キャラクター作成全般については「探索者の作り方」、判定そのものの仕組みについては「プッシュロールと成功度」を参照してください。
出典
- [1] “If a Sanity loss of 5 or more points occurs from a single source… the Keeper calls for an Intelligence roll. Success means the investigator immediately gains temporary insanity… Temporary insanity lasts 1D10 hours.” — Let’s Study: Call of Cthulhu 7th Edition, Part 4: Sanity, philgamer.wordpress.com ↩
- [2] “The amount of sanity you have to lose in one game day in order to be indefinitely insane is one-fifth of the current sanity… Indefinite Insanity is automatic whereas Temporary Insanity requires a test.” / “While in the fragile state of underlying insanity… any further loss of Sanity points (even a single point) will result in another bout of madness.” — Call of Cthulhu 7th Ed – Insanity Q&A, 21st Century Philosopher ↩
- [3] 「On losing a fifth or more of current Sanity points in one game ‘day,’ the investigator becomes indefinitely insane.」(『Call of Cthulhu』第7版キーパー・ルールブックp.155の記述として引用) — System Rules: Call of Cthulhu 7th – Sanity, TRPGLine ↩

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