新商品ラインナップ
COSPAは2026年9月17日、「ミスカトニック大学購買部」シリーズの新商品3点を発表しました。Tシャツ「宇宙からの色」、Tシャツ「「名状しがたいもの」ハスター」、ニュースペーパーバッグ「アーカム・アドヴァタイザー」の3種で、東京ゲームショウ2026での先行販売も合わせて告知されています[1]。「ミスカトニック大学購買部」は、ラヴクラフト作品の舞台であるミスカトニック大学が実在する大学であるかのように、その大学生協グッズを模して展開しているシリーズです。実在の大学名がロゴに入るTシャツやトートバッグと同じ体裁を借りながら、中身の意匠には架空の大学の周辺にある固有名詞や神格名を配置する作りになっています。発表文は今回の3点をこう紹介しています。
「モノクロームの風景に浮かぶは宇宙からの色、混沌の色が艶やかにデザインされたTシャツ。」[1]
「そしてイエローサインのような、黄色みがかったプリントデザインのハスターTシャツ。」[1]
「そしてアーカムで広告を打ちたい方必見アーカム・アドヴァタイザーのニュースペーパーバッグの3種がラインナップ。」[1]
宇宙からの色 Tシャツ
価格は3,300円(税込)。カラーはBLACK、素材は綿100%で、サイズはS・M・L・XLの4展開です[2]。実寸は(いずれも約)S 身丈65cm・身幅49cm・袖丈19cm、M 身丈69cm・身幅52cm・袖丈20cm、L 身丈73cm・身幅55cm・袖丈22cm、XL 身丈77cm・身幅58cm・袖丈24cmです[2]。ジーストアの商品説明にはこうあります。
「それは宇宙の果てから来たりし混沌の色。」[2]
このデザインが典拠とする小説「宇宙からの色」は、1927年3月執筆、同年9月に『アメージング・ストーリーズ』誌で発表された中編です。アーカム西方の農場に落ちた隕石から、地上のどの色にも属さない「色」が滲み出し、井戸水と作物と一家を内側から灰へ変えていく話で、当サイトの宇宙からの色記事では、作中の一文を「それは、ただ宇宙より来たる色だった。」と引いています。COSPAの商品説明にある「宇宙の果てから来たりし混沌の色」というコピーは、この一文の言い回しに近く、Tシャツのデザインが原典の核にある「名前のつけようがない色」という設定をそのまま踏まえていることが分かります。
「名状しがたいもの」ハスター Tシャツ
価格は同じく3,300円(税込)。カラーはBLACK、素材は綿100%で、サイズはS・M・L・XLの4展開です[3]。実寸は(いずれも約)S 身丈65cm・身幅49cm・袖丈19cm、M 身丈69cm・身幅52cm・袖丈20cm、L 身丈73cm・身幅55cm・袖丈22cm、XL 身丈77cm・身幅58cm・袖丈24cmです[3]。ジーストアの商品ページに掲載されている説明文は次の通りです。
「「ミスカトニック大学購買部」から、「「名状しがたいもの」ハスター Tシャツ」が登場です。いあ!はすたあ!」[3]
実際に商品ページを開いて確認したところ、実寸・カラー・素材の表記はいずれも「宇宙からの色 Tシャツ」と同一で、共通のパターンで作られていることが分かります[2][3]。
商品説明にある「いあ!はすたあ!」という掛け声のうち、「いあ!」から始まる呼びかけの形式自体は、ラヴクラフト自身の原典にも見られます。『インスマスの影』の結末近くでは、変容を自覚した語り手が「Iä-R’lyeh! Cthulhu fhtagn!」と口にする場面があり、当サイトのクトゥルフ(用語)記事で原文とともに確認できます。つまり「いあ!+神格名」という掛け声の型自体は原典由来ですが、それを「はすたあ」に当てはめて使う組み合わせ方は、原典の一文には存在しません。ここでも、原典の型と、その型を別の神格に流用する後発の遊び方が、1着のTシャツの中に同居しています。
アーカム・アドヴァタイザー ニュースペーパーバッグ
価格は3,960円(税込)。カラーはSAND KHAKI、素材は綿100%で、本体サイズは約45×36×16cm、ポケットサイズは約13×19cmです[4]。ジーストアの商品説明にはこうあります。
「より現代的でアグレッシブな記事をお求めの方は「アーカム・アドヴァタイザー」を!」[4]
「アーカム・アドヴァタイザー」は、ラヴクラフトの作品世界でアーカムの町を舞台にした物語に繰り返し登場する、架空の地元紙です。バッグの商品名はこの新聞名をそのまま採っており、コピーの「より現代的でアグレッシブな記事」という一文は、実際には存在しない新聞の論調を茶化す形で書かれています。3点の中でこのバッグだけが唯一、神格名を前面に出さず、地名でも人名でもない「新聞」という日常の道具立てを商品名に選んでいる点も、ラインナップとしての幅を広げています。
予約と発売のスケジュール
3点はいずれもジーストアで予約受付中です。基本予約受付期間は2026年10月12日(月)までで、期間後は準備数がなくなり次第、予約終了となる旨が各商品ページに明記されています[2][3][4]。一般販売は2026年11月下旬を予定しており、コスパ公式発表でも「一般販売分は2026年11月下旬発売予定で〈コスパ オンラインショップ〉ほかにて予約受付中。」と案内されています[1]。
予約商品に共通する注意点として、各商品ページには「※キャンセル・返品はできません。」という一文があります[2][3][4]。3点はいずれも予約商品であり、注文後に気が変わっても取り消せない点は、購入を検討するうえで押さえておく必要があります。
東京ゲームショウ2026での先行販売
3点は東京ゲームショウ2026のコスパブースで先行販売されます。会期は2026年9月17日(木)から21日(月・祝)までです[1]。Tシャツ2点のジーストア商品ページには「※Sサイズにつきましては先行販売はございません」という注記があり、Sサイズは先行販売の対象から外れています[2][3]。この他、複数のイベントおよび一部店舗でも先行販売する場合がある旨が各商品ページに記載されています[2][3][4]。
3点の意匠は神話のどの層から来ているか
深淵書架では、クトゥルフ神話にまつわる記述を、ラヴクラフト本人が書いた原典(1917〜1937年)、オーガスト・ダーレス以降の拡張、TRPGによる拡張という3つの層に分けて記録しています(→ 神話の三層)。今回の3点をこの枠組みで並べると、同じシリーズの中に異なる層の意匠が同居していることが分かります。「宇宙からの色」と「アーカム・アドヴァタイザー」はいずれも第1層、ラヴクラフト本人の原典に直接由来する意匠です。一方、「ハスター」Tシャツが採用した「イエローサインのような、黄色みがかったプリントデザイン」は、ハスターという名前こそラヴクラフトの原典に一度登場するものの、そのデザインを成り立たせているイメージ自体をラヴクラフトが作ったわけではありません。3点並べて見たときに、この違いが見えてくることが、深淵書架としてこのラインナップを取り上げる理由です。なお「ミスカトニック大学購買部」というシリーズ名自体は、ラヴクラフトの原典に「大学生協」という組織が登場するわけではなく、COSPAが商品ラインの体裁として与えた名前です。実在する大学の生協グッズを模した見た目の中に、原典由来の固有名詞と後発の意匠を混在させて並べる、という構成そのものが、このシリーズの性格を表しています。
「宇宙からの色」は、ラヴクラフトが1927年に発表した中編小説そのものが出典です。隕石とともに落ちてきた、既存の色名では言い表せない色が農場と一家を蝕んでいく物語で、Tシャツのコピーにある「混沌の色」は、この作品の核にある設定をそのまま踏まえています。当サイトの宇宙からの色の記事で、作品の筋立てを確認できます。「アーカム・アドヴァタイザー」も、ラヴクラフトの作品世界に繰り返し登場するアーカムの地元紙で、この新聞名自体が原典由来の固有名詞です。ミスカトニック大学を含め、シリーズ名の「ミスカトニック大学購買部」という舞台設定自体がラヴクラフトの創造した架空の大学に由来します。
一方、「ハスター」と「イエローサイン(黄の印)」を結びつけるTシャツのデザインは、ラヴクラフト一人が作った組み合わせではありません。ハスターの名を最初に書いたのはアンブローズ・ビアスで、黄の印やカルコサとハスターを結びつけたのはロバート・W・チェンバースです。ラヴクラフト自身が両者の名を並べて挙げたのは「闇に囁くもの」の一文だけで、そこに詳しい説明はありません。「敵同士」という後世でおなじみの構図も含め、この成立史の詳細は当サイトのハスターとクトゥルフはなぜ「敵同士」になったのかにまとめてあります。今回のTシャツが採用した「黄色みがかったプリントデザイン」は、原典で一度名前が触れられただけのハスターに、ラヴクラフトより前に活動したチェンバースと、ラヴクラフトの死後に定着していった通俗的なイメージの両方が積み重なってできたものであり、ラヴクラフト自身が描いた絵柄ではありません。ハスターや黄の印の記事も合わせて参照できます。
なお、「「名状しがたいもの」ハスター Tシャツ」という商品名について、当サイトはラヴクラフト原典87本・661,775語を対象に「名状しがたい」に相当する語群の出現を実測しており、該当語の合計は340回、最多はunnamableではなくnamelessの195回だったと報告しています。詳しくは「名状しがたい」はどこから来たのかにまとめてあります。商品名がこの語群の分布を意識して選ばれたのかどうかは公表資料からは分からず、ここでは同じ言葉が商品名と当サイトの集計の両方に出てくる、という事実を並べて示すにとどめます。
購入にあたって確認しておきたい点
ここまでの情報を整理すると、購入を検討する際に押さえておくべき点は次の4つです。第一に、基本予約受付期間は2026年10月12日(月)までで、それ以降は準備数がなくなり次第、順次予約終了となります[2][3][4]。第二に、3点はいずれも予約商品であり、注文後のキャンセル・返品はできません[2][3][4]。第三に、東京ゲームショウ2026のコスパブースでは9月17日から21日まで先行販売がありますが、Tシャツ2点についてはSサイズが先行販売の対象外です[2][3]。第四に、一般販売はジーストアを含む「コスパ オンラインショップほか」で行われる予定で、購入経路はジーストア1店舗に限られません[1]。
価格面では、Tシャツ2点がともに3,300円(税込)で揃えられているのに対し、ニュースペーパーバッグは3,960円(税込)とやや高い価格帯に設定されています[2][3][4]。バッグは本体サイズが約45×36×16cmとTシャツよりも大きな面積の生地とプリントを要する商品であり、価格差はその分の違いとして理解できます。
関連記事
- 宇宙からの色 — 「宇宙からの色」Tシャツの原典
- ミスカトニック大学 — シリーズ名の由来となった架空の大学
- ハスター — 商品名に採られた神格そのものの記事
- ハスターとクトゥルフはなぜ「敵同士」になったのか — ビアス・チェンバース・ダーレスを経た成立史の詳細
- 黄の印 — Tシャツのデザインが参照するモチーフの概略
- 「名状しがたい」はどこから来たのか — 原典87本での語彙実測
出典
- [1] COSPA公式「『ミスカトニック大学購買部』より“宇宙からの色”“ハスター”をイメージしたTシャツなど登場!東京ゲームショウ2026先行販売も決定!」https://cospa.jp/?p=19288 (取得日 2026-09-17) ↩
- [2] ジーストア「宇宙からの色 Tシャツ」https://www.geestore.com/detail/id/00000148395 (取得日 2026-09-17) ↩
- [3] ジーストア「「名状しがたいもの」ハスター Tシャツ」https://www.geestore.com/detail/id/00000148399 (取得日 2026-09-17) ↩
- [4] ジーストア「アーカム・アドヴァタイザー ニュースペーパーバッグ」https://www.geestore.com/detail/id/00000148402 (取得日 2026-09-17) ↩


