イベント — NECRONOMICON PROVIDENCE 2026

NecronomiCon Providence 2026

ラヴクラフトの故郷プロヴィデンスで隔年開催される怪奇幻想文学の祭典。2026年は「クトゥルフの呼び声」執筆100周年にあたり、生演奏付きの朗読劇と手描きガラス板による幻灯上映が行われる。

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概要

「NecronomiCon Providence」は、H・P・ラヴクラフトの故郷であるロードアイランド州プロヴィデンスで開催される、怪奇幻想文学(Weird Fiction)を軸にした国際フェスティバルです[1]。2026年大会は8月13日(木)から16日(日)までの4日間、複数の会場で開催されました[2]。会期は2026年8月16日に終了しています。以下のプログラム紹介は、開催前および会期中の公式サイト記載に基づく記録です。次回大会の日程は、2026年8月21日時点の公式サイトでは告知が確認できていません(公式サイトは同大会を「隔年(biennial)」開催と説明しています[1])。

主催は非営利団体「Lovecraft Arts & Sciences Council」。パネル討論・講演・朗読・ワークショップ・映画上映・ゲーム・展示など、文学と学術、ファンダムが交差する催しが並びます[3]。

100周年プログラム

2026年はラヴクラフトの代表作「クトゥルフの呼び声」の執筆100周年にあたり、これを冠したプログラムが複数組まれています。公式サイトのスケジュールで確認できたのは以下の通りです。

  • 8月13日(木) 13:30〜15:00「The Call of Cthulhu LIVE」(演劇イベント) — 会場: Black Box / AS220(95 Empire Street, Providence)。声優のアンドリュー・レマンによる朗読に、作曲家クリス・ボッツォーンによるオリジナルスコアの生演奏が加わる公演[4]。
  • 8月14日(金) 14:00〜15:00 幻灯上映(Magic Lantern) — 会場: AS220 Black Box Theater。TL Wiswellが手描きのガラス板(magic lantern)を用いて「クトゥルフの呼び声」を新しい形式で再演する催し[5]。
  • 8月15日(土) 8:00〜「A Century of Cthulhu: The Greatest Great Old One」(パネル討論) — 会場: Biltmore Ballroom, Graduate 17th Floor。司会ケネス・ハイト、パネリストにプレマ・アラス、ティモシー・ブラル、レスリー・S・クリンガー、ウィル・マーレイ[6]。
  • 8月15日(土) 15:30〜「The Call of Cthulhu at 100: A Deep Dive into the Story that Launched the Mythos」(パネル討論) — 会場: Capital Ballroom, Graduate 2nd Floor。司会エドワード・ギモント、パネリストにショーン・ブラニー、ティム・ロネガン、デヴィッド・キロズJr、フレッド・ヴァン・レンテ[7]。

なお、ユーザー情報にあった「8月13日の原作朗読+生演奏」「8月14日の幻灯上映」という日程は、公式サイトの記載と一致することを確認しています。

NecronomiConとは

NecronomiCon Providenceは、公式サイトが明言する通り「隔年(biennial)」開催のイベントです[3]。公式サイトのアーカイブページからは、2013年・2015年・2017年・2019年・2022年・2024年に開催されたことが確認できます[8]。主催のLovecraft Arts & Sciences Councilは、プロヴィデンスを拠点に、大会本体のほかにも講演・ウォーキングツアー・美術展・映画上映・演劇・コンサートなどを年間を通じて開催している非営利団体です[3]。

一篇の小説が100年生きるということ

「クトゥルフの呼び声」は、原典記事にある通り1926年の夏にプロヴィデンスで執筆され、1928年に専門誌「ウィアード・テイルズ」で発表されました。公式サイトのパネル紹介文も「The Call of Cthulhu was published in 1928, but was written in the Summer of 1926, right here in Providence, RI.」と、これと同じ執筆地・執筆年・発表年を記しています[6]。

一篇の小説が100年後に生きているとはどういうことか——今回のプログラムはそれを具体的な形で示しています。原典は活字だけの媒体でしたが、100周年の会場では声優の朗読と生演奏によって音の作品になり、手描きのガラス板を光にかざす幻灯という一世紀前の見世物の技法によって、もう一度別の像を結び直されます。文字で「読む神話」だったものが、朗読・音楽・幻灯という体験を通じて「体験する神話」へと開かれていく——このサイトが三層ガイドで整理してきた「原典/ダーレス系拡張/TRPG設定」という広がりに、もう一つ別の軸として「上演・体験としての神話」が重なっていく様子を、プロヴィデンスの現地イベントは見せてくれます。

なお、TRPGファンにとっても今回のNecronomiConは無縁ではありません。Chaosium社もブースを出展し、「クトゥルフの呼び声」TRPG(Call of Cthulhu TTRPG)関連のゲームイベントを40件以上開催すると案内しています[9]。原典・TRPG双方の文脈から、この一篇が今なお現役で語り継がれていることがうかがえます。

ゲームの卓でも100周年——公式ゲーミング・プログラム

NecronomiConは研究発表だけの集まりではありません。公式ゲーミング・プログラムにはChaosium提供の『Call of Cthulhu』セッションが多数組まれており、第7版のルールを共同で手掛けたポール・フリッカーが1920年代アーカムを舞台にした初心者向け卓「Dark Swamp」を、同じく第7版共同デザイナーのマイク・メイソンが「If I Had A Hammer」を、それぞれ自らキーパーとして立卓すると公式プログラムに記載されています。第7版の定番入門シナリオ「The Haunting」の卓もあります。

原典のクトゥルフが「断片的な目撃談の中の暗示」だったのに対し、TRPGの卓に呼び出されるクトゥルフ神話は、プレイ可能なルールと数値を与えられた別の系譜です。原典を書いた街プロヴィデンスで、原典の研究発表とTRPGの卓が同じ屋根の下に並ぶ——この光景そのものが、当サイトの言う「神話の三層」が現在も同時に生きていることの証明といえます。

最終日: 「怪物をどう分類するか」という問い

最終日8月16日(日)朝のArmitage Symposium(研究発表)第8セッション(9:30〜、Providence Ballroom, Omni 3rd Floor、司会Byron J. Nakamura)には、Matthew Buffington氏(共同発表者Zachary Griebenow氏)による “Towards a classification of the HP Lovecraft creature-universe”(ラヴクラフトの怪物世界を分類する試み)という発表が組まれていることを、公式サイトのプログラムページ(https://necronomicon-providence.com/core-programming/)で確認しました。同じセッションにはDaniel Zygiel-Clague氏による「Climate of Cthulhu: The Cosmic Horror of Environmental Disaster」(環境災害と宇宙的恐怖)という発表もあります。続く第9セッション(11:00〜、同会場、司会Heather Miller)では、Nathaniel Wallace氏がAIによるグリモワール生成を扱う「Eidolic Augmentation: Machine Generated Grimoires and Stage Plays」を発表する予定が組まれていました。「神格分類はそもそもラヴクラフト自身の体系なのか」という問いは、当サイトが三層ガイドで述べてきた——原典には体系だった神格分類が存在せず、「旧支配者」「外なる神」といった分類はダーレス以降やTRPGが後から与えたものだという整理——と正面から重なるものです。分類用語そのものの整理は「旧支配者・外なる神・旧神——神格の分類用語を整理する」にまとめています。

出典

  • [1] NecronomiCon Providence公式サイト トップページ・Welcomeページ「NecronomiCon Providence is a biennial multi-faceted exploration of the weird fiction literary genre…」 — https://necronomicon-providence.com/welcome ↩
  • [2] 同上「August 13-16, 2026」 — https://necronomicon-providence.com/welcome ↩
  • [3] 公式サイト About Usページ「The Lovecraft Arts & Sciences Council, a nonprofit organization based in Providence, Rhode Island, organizes the convention」「present events throughout the year, including lectures, walking tours, art exhibits, film screenings, plays, and concerts」 — https://necronomicon-providence.com/about-us ↩
  • [4] 公式サイト Extended Programmingページ「1:30 to 3:00pm – THEATRICAL EVENT, The Call of Cthulhu LIVE performed by Andrew Leman and Chris Bozzone – Black Box / AS220, 95 Empire Street, Providence 02903」 — https://necronomicon-providence.com/extended-programming ↩
  • [5] 同上「TL Wiswell turns her hand to the magic lantern, bringing ‘Call of Cthulhu’ to life in a new and original format」(手描きガラス板・照明の記述含む) — https://necronomicon-providence.com/extended-programming ↩
  • [6] 公式サイト Core Programmingページ「A Century of Cthulhu: The Greatest Great Old One」「The Call of Cthulhu was published in 1928, but was written in the Summer of 1926, right here in Providence, RI.」司会・パネリスト表記含む — https://necronomicon-providence.com/core-programming ↩
  • [7] 同上「The Call Of Cthulhu at 100: A Deep Dive into the Story that Launched the Mythos」司会・パネリスト表記含む — https://necronomicon-providence.com/core-programming ↩
  • [8] 公式サイトのアーカイブページ群(2013-archives / 2015-archives / 2017-archives / 2019-archives / core-programming-2022 / core-programming-2024など)の実在により、当該年の開催を確認 — https://necronomicon-providence.com/ ↩
  • [9] Chaosium Inc. 公式ブログ「We have a booth, and over 40 game events featuring the Call of Cthulhu TTRPG and Board Games!」 — https://www.chaosium.com/blogchaosium-is-coming-to-necronomicon-2026-the-international-festival-of-weird-fiction-art-and-academia-providence-ri-1316-august ↩

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