知的種族 — HOUNDS OF TINDALOS

ティンダロスの猟犬

原典

時間の「角(角度)」から侵入する、鋭角の接点を通じて標的を追尾する次元の捕食者。

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ティンダロスの猟犬

「彼らは角度を通ってゆっくりと動く。彼らには肉体がなく、途方もない角度を通ってゆっくりと動くのだ」

— フランク・ベルナップ・ロング「ティンダロスの猟犬」("The Hounds of Tindalos", Weird Tales 1929年3月号)。ラヴクラフト自身の創造ではなく、この存在を創造したロング自身の原典(パブリックドメイン)からの引用

編集部注(著作権について): 本項の初出典であるフランク・ベルナップ・ロング「The Hounds of Tindalos」(1929年)は、現代作家の著作物として著作権が現在も存続している可能性が高いため、本記事では原文の引用を行わず要約と書誌情報のみで構成しています。例外的に本文中で引用するラヴクラフト『闇に囁くもの』の一文についても、Weird Tales誌1931年8月号の著作権更新記録(Catalog of Copyright Entries登録番号R230424)により米国では2026年末まで著作権が継続している可能性があるため、論評目的の短い一節に限定しています。

時間が「曲線」から成るのに対し、この存在だけは非現実的な「角」の次元から生まれるとされる、フランク・ベルナップ・ロング創造の追跡者である。

概要

「ティンダロスの猟犬」は、ラヴクラフトと同時代に活動した作家フランク・ベルナップ・ロングが創造し、後にクトゥルフ神話の体系に編入された存在である。ロングの原作では、進化論的な思想実験から、万物は本来「曲線」を通して進化したが、この猟犬のみは直線と鋭角を本質とする太古の混沌から生まれたという独自の宇宙論が描かれる。麻薬によって時間を遡る実験を行った人間の意識の「におい」を嗅ぎつけ、物理空間上の鋭角が存在する限り、いかなる時代・場所であっても執拗に追跡してくるとされる。

基本プロフィール

  • 分類: 異次元的存在(拡張系 — ラヴクラフト自身の作品には直接登場しない)
  • 欧文表記: HOUNDS OF TINDALOS
  • 初出・出典: フランク・ベルナップ・ロング「The Hounds of Tindalos」(Weird Tales誌1929年3月号)
  • 創造者: フランク・ベルナップ・ロング
  • 区分: 拡張系(ラヴクラフトサークルの同時代作家による創造。後にラヴクラフトが自作で言及し神話体系に接続)
  • 主な居住域: 時間の「角」の次元(部屋の隅など、現実空間の鋭角そのものが侵入口となる)
  • canon層: 拡張

形態と特徴

ロングの原作では、具体的な外見は明確には描かれず、主に青い霧状の不定形の体として鋭角から滲み出すように現れるに過ぎないとされる。現代のクトゥルフ神話作品群では、細長い鼻面や舌で獲物の体液を舐め取る場面が強調されることが多いが、これらは後年の派生作品やTRPG設定での肉付けであり、ロングの原作自体の描写と完全に一致するかは確認できない点に注意が必要である。

性質・生態

時間旅行を試みた者の意識の「におい」を、遥かな時空を越えても嗅ぎつけ、部屋の四隅のような90度以下の鋭角を侵入口として具現化するとされる。逆に、部屋の角を丸く漆喰で塗り固めるなどして曲線のみで構成すれば、猟犬は侵入できないとされる。被害者は極度の恐怖と共に命を落とすとされるが、こうした具体的な被害描写の大部分はロングの原作に基づくものであり、本記事では原文を引用せず一般的に知られる範囲での要約にとどめる。

他の存在との関係

ラヴクラフト自身は「ティンダロスの猟犬」を自作に登場させたことはないが、『闇に囁くもの』の中で、主人公が地底人の声から宇宙の真相を聞かされる場面に、ロングの創造したこの存在への言及が一度だけ登場する[1]。これはラヴクラフトサークル内で他作家の創造を相互に取り入れ合う、共有世界的な創作態度の早い事例の一つとしてしばしば言及される。

主要登場作と読みどころ

  • 「The Hounds of Tindalos」(Weird Tales誌1929年3月号): ロングの代表作であり、クトゥルフ神話に幾何学的恐怖という新しい地平をもたらした作として評価される。クトゥルフ神話TRPGのモンスター項目にも早くから採用され、セッション・シナリオでも頻繁に登場する存在の一つとなっている
  • 角度という日常的な建築構造そのものを恐怖の侵入口に変えるという発想は、後続の怪奇小説やTRPGシナリオにおいて、時間旅行や次元跳躍をテーマとする作品の定番ギミックとして繰り返し引用されている

ロングは同時代のラヴクラフトサークルの中でも、ヨグ=ソトースへの言及や独自の宇宙的恐怖観で知られた書き手であり、本作はその代表作としてクトゥルフ神話関連のアンソロジーに繰り返し収録されてきた。ラヴクラフト自身の作品ではないにもかかわらず、猟犬という発想の強度そのものによって神話体系に定着した、外部発の設定拡張の代表例といえる。

よくある誤解

Q. ティンダロスの猟犬はラヴクラフトの創造ですか?

A. いいえ、違います。初出はラヴクラフトサークルの作家フランク・ベルナップ・ロングの単独作品「The Hounds of Tindalos」(1929年)です。ラヴクラフトは後に自著『闇に囁くもの』の中でこの存在に一度だけ言及し、自らの神話体系に取り込んだにすぎません。

Q. 部屋の角を丸くすれば本当に猟犬を防げるのですか?

A. これはロングの原作で描かれた対抗策として広く知られていますが、あくまで作中設定です。曲線のみで構成された空間には鋭角という侵入口が存在しないため猟犬が具現化できない、という理屈に基づく創作上のルールであり、実在する対抗策として提示されているわけではありません。

出典

  • [1] “The nature of the Doels was plainly revealed, and I was told the essence (though not the source) of the Hounds of Tindalos.”(訳: 「ドエルたちの正体は明確に明かされ、私はティンダロスの猟犬の本質(ただしその根源ではない)を教えられた。」) — H. P. Lovecraft, “The Whisperer in Darkness”, 公式アーカイブ

用語集にもティンダロスの猟犬(概略)として簡潔な解説があります。

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