編集部注(著作権について): 本記事が扱う『破風の窓』(原題: The Gable Window、1957年発表)は、パブリックドメインであるとは断定できません(同時代・同著者の他作品に著作権更新登録の実例が確認されているため)。本記事は原文からの引用を行わず、あらすじ・論評のみで構成しています。
概要
亡き従兄の屋敷にある古い円形の曇りガラス窓が、異世界への扉と化す一編。神話存在を多数動員する「キッチンシンク」的展開で知られる。
作品情報
- 原題: The Gable Window(初出時題名: The Murky Glass)
- 執筆・発表年: 1957年発表(「Saturn」誌5月号に『The Murky Glass』の題で初出、同年アーカムハウス『The Survivor and Others』に『The Gable Window』として収録)
- 主題タグ: 異世界へ通じる窓、多数の神話存在の動員、砂の住人という独自種族の初出
登場神格・用語
あらすじ
フレッド・アクリーは、ミスカトニック大学で考古学・人類学を修めていた亡き従兄ウィルバー・アクリーの屋敷を相続する。屋敷で異彩を放つのは、破風(切妻)の部屋にある古めかしい円形の曇りガラス窓である。ウィルバーが遺した最後の手紙には、特定の書類を処分し蔵書をミスカトニック大学へ寄贈し、そして窓ガラスを「取り外す」のではなく必ず「叩き割る」よう指示されていた。フレッドはウィルバーが床に星形の印を描いて行っていた儀式を再現し、ガラス越しに異世界の砂漠、洞窟、コウモリ、「砂の住人」、そして触手を持つ怪物が窓の中からこちらへ近づいてくる幻視を目にする。恐怖の中、床の星形をこすり消し靴を投げつけて窓を叩き割り、あわやという所で異次元からの侵入を断ち切る。
読みどころと注目テーマ
異世界への窓というモチーフ、多数の神話存在を動員する終末的な幻視描写、「砂の住人」という後年TRPGにも採用された独自種族の誕生
執筆背景と影響
本作はラヴクラフトのコモンプレイス・ブック中にある「現実を歪める窓」に関する2つのメモを基にダーレスが構想したとされる。多数の神話存在を詰め込む「キッチンシンク」的手法や、光と闇の単純な二元対立として描く姿勢が、ラヴクラフト原典の宇宙的恐怖の繊細さを損なっているとの批判がある一方、本作が生んだ「砂の住人」という小規模な神話種族は、後年TRPG『クトゥルフの呼び声』に採用されるなど一定の影響を残した。












