概念 — ELDER SIGN

古の印

原典

旧支配者やその眷属たちの力を退け、封印するために使用される、星形または木の枝に似た防護の記号。

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概要

ラヴクラフト自身の作品でElder Signの語が確認できるのは4作あるが(下記「原典での描写」参照)、いずれも身振りとしての言及にとどまり、形状の説明はない。「木の枝に似た図形」「灰色の石に刻まれた記号」といった具体的な図像は、後世の設定によって付け加えられたものである。

原典での描写

ラヴクラフトの作品で Elder Sign の語が確認できるのは以下の4作である。いずれも身振りとしての言及にとどまり、星形の石や護符としての具体的な図像は描かれていない。

末裔(1926年?)

未完の掌編「末裔」は、語り手の家系に伝わる伝説として〈古の印〉に触れる。伝承によれば、第三アウグスタ軍団の軍事護民官としてブリタニアのリンドゥムに駐屯していたグナエウス・ガビニウス・カピトーは、いかなる既知の宗教とも無縁の儀式に加わった廉で軍を追われ、その後崖の洞窟で見知らぬ者たちが闇の中で〈古の印〉を作っている場に行き当たったという。「ガビニウスは、噂によれば、崖の洞窟で見知らぬ者たちが集まり、闇の中で〈古の印〉を作っているところに行き当たったのだという」。作中ではこの一族の由来自体が確かなことのない漠然とした伝承として提示されており、印の形状や機能についての説明は無い[2]。

未知なるカダスを夢に求めて(1926年秋?~1927年1月22日)

探索者ランドルフ・カーターの旅を描く「未知なるカダスを夢に求めて」でも、〈古の印〉は身振りとしてのみ現れる。ある農家で神々について、また彼らがしばしばレリオンの上で踊るのかどうか尋ねられた農夫とその妻は、答える代わりに〈古の印〉を作ってみせ、ニルとウルタールへの道を教えるにとどまった[1]。図像や材質についての記述は無い。

最後の実験(1927年)

アドルフ・デ・カストロとの合作「最後の実験」では、小文字表記の elder sign として一度だけ登場する。義兄クラレンドンが星々とその彼方の深淵に向けて呪詛を吐いたとき、東洋人スラマは思わず身震いし、「いかなる歴史書にも記されていない elder sign」を作って、笑うのを忘れたと記される[3]。他の3作に見られる固有名詞的な用法とは異なり、この箇所では特定の宗派や図像と結びつけられた描写ではない。

銀の鍵の門を越えて(1932年10月~1933年4月)

E・ホフマン・プライスとの合作「銀の鍵の門を越えて」では、ランドルフ・カーターが思い起こす「狂えるアラビア人」の書いた文章の中に語が現れる。その文章は、案内者(HE)の彼方に広がる深淵に踏み込む危険を説き、待ち構える数々の脅威の一つとして「〈古の印〉に逆らう悪しきもの」を挙げている[4]。〈古の印〉自体がどのようなものかは説明されず、脅威を退ける対抗手段として名指されるにとどまる。

以上の4作を通じて、〈古の印〉は一貫して身振り・言及として現れるのみであり、星形の石や護符としての描写は原文のどこにも無い。

基本プロフィール

  • 分類: 概念
  • 欧文表記: ELDER SIGN
  • 初出・出典: 未知なるカダスを夢に求めて(1926–1927年執筆/1943年発表)

由来と歴史 / 詳細設定

ラヴクラフト自身の作品では「末裔」「未知なるカダスを夢に求めて」「最後の実験」「銀の鍵の門を越えて」の4作で語が確認できるが(「原典での描写」参照)、いずれも身振りとしての言及にとどまる。『狂気の山脈にて』には「古の印」という語自体は登場しない。後世のオーガスト・ダーレスによる神話体系化や、クトゥルフ神話TRPGにおいて「五芒星の中心に一本の眼(または炎)が描かれたデザイン」として視覚化され、強力な魔除けとして広く知られるようになった。

性質と影響

絶望的な神話生物に対抗する唯一の、しかし限定的な物理的・視覚的盾として機能し、探索劇にサスペンスと防衛手段の駆け引きをもたらす。

関連する用語

防護呪文、古き神、五芒星、クトゥルフ神話TRPG

出典

  • [1] “At another house, where people were stirring, he asked questions about the gods, and whether they danced often upon Lerion; but the farmer and his wife would only make the Elder Sign and tell him the way to Nir and Ulthar.”(訳: 「別の家では、人々が起きて動いていたので、彼は神々について、そして彼らがしばしばレリオンの上で踊るのかどうか尋ねた。だが農夫とその妻はただ古の印を作ってみせ、ニルとウルタールへの道を教えるばかりだった」) — H. P. Lovecraft, “The Dream-Quest of Unknown Kadath”(1926–1927年執筆/1943年発表), hplovecraft.com ↩
  • [2] “Gabinius had, the rumour ran, come upon a cliffside cavern where strange folk met together and made the Elder Sign in the dark.”(訳: 「ガビニウスは、噂によれば、崖の洞窟で見知らぬ者たちが集まり、闇の中で〈古の印〉を作っているところに行き当たったのだという」) — H. P. Lovecraft, “The Descendant”(1926年?執筆), hplovecraft.com ↩
  • [3] “…he called down imprecations from the stars and the gulfs beyond the stars; so that even Surama shuddered, made an elder sign that no book of history records, and forgot to chuckle.”(訳: 「……彼は星々と、星々の彼方の深淵に向けて呪詛を吐いた。それによってスラマでさえ身震いし、いかなる歴史書にも記されていないelder signを作り、笑うのを忘れたほどだった」) — H. P. Lovecraft with Adolphe de Castro, “The Last Test”(1927年執筆), hplovecraft.com ↩
  • [4] “Nor may those who pass ever return, for in the Vastnesses transcending our world are Shapes of darkness that seize and bind. The Affair that shambleth about in the night, the Evil that defieth the Elder Sign, the Herd that stand watch at the secret portal each tomb is known to have…”(訳: 「一度通り過ぎた者が戻ることはない。この世を超えた広漠たる深淵には、捕らえて縛りつける闇の形あるものどもがいるからだ。夜闇をのそのそと徘徊するもの、〈古の印〉に逆らう悪しきもの、あらゆる墓が備えるという秘密の門を見張る群れ……」) — H. P. Lovecraft with E. Hoffmann Price, “Through the Gates of the Silver Key”(1932年10月~1933年4月執筆), hplovecraft.com ↩
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