人物 — OBED MARSH

オベド・マーシュ

「インスマスの影」に登場する船長。南洋の島で深きものどもとの契約を持ち帰り、インスマスにエソテリック・オーダー・オブ・ダゴンを興した張本人。1846年の投獄を境に狂信を深め、ダゴンの誓いを町全体に課した。

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オベド・マーシュ

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概要

オベド・マーシュは、H・P・ラヴクラフト「インスマスの影」に登場する船長。ゼイドック・アレンの回想によれば、すべての発端はデビル・リーフであり、彼は南洋の島々で「彼にとって良くないほど多くのこと」を知ってしまった[1]。老首長ワラキアから深きものどもとの契約を聞き出してインスマスに持ち帰り、1846年の投獄を境に狂信を深めて、ダゴンの誓いを町全体に課した人物である[2][3]。1878年に没したが[4]、語り手自身がその血を引く可能性に気づく場面が、物語の結末を導く[5]。

基本プロフィール

  • 分類: 人物
  • 欧文表記: OBED MARSH
  • 初出・出典: 「インスマスの影」(1931年11月?-12月3日執筆/1936年、ペンシルベニア州エヴェレットのVisionary Publishing Co.より単行本として発表)[6]
  • 船: ブリガンティン船コロンビー号・ブリッグ船ヘティ号・バーク船スマトラ・クイーン号の3隻を所有し、インスマスで唯一東インド・太平洋交易を続けた船主だった[7]
  • 事業: マーシュ家の使われなくなった縮絨工場を金の精錬所に転用した[8]
  • 家族: 最初の妻との間に長男オネシフォラス(のちに精錬所を継ぐバーナバス・マーシュの父)をもうけ、1846年に二人目の妻(深きもの)を娶った[9][10]
  • 没年(作中): 1878年[4]

原典での描写

インスマスの影(1931年11〜12月執筆)――切符係の噂

物語の冒頭、語り手はニューベリーポート駅の切符係からインスマスの名を初めて聞かされる。地元の人間ではないというこの切符係は、精錬所を営む「老マーシュ」ことバーナバス・マーシュについて、「事業を興したオベド・マーシュ船長の孫だ」と紹介する[35]。

切符係はさらに、マーシュ家の富の出所を誰も知らない謎だと語りながら、「老船長が死んでもう六十年、南北戦争このかた大きな船もこの町から出ていないのに、マーシュ家は今も先住民交易向けの品――ガラスや護謨のがらくたが主だ――を買い続けている」と付け加える[36]。オベドの死後も途絶えないこの奇妙な購買は、切符係自身にも説明のつかない噂の一つとして語られる。

ニューベリーポート歴史協会を辞去する際にも、案内役の女性から、マーシュ家の財産にまつわる海賊説は「この地方の知識層の間でも広く信じられていた」と聞かされる[37]。切符係の噂も歴史協会の見立ても、いずれも真相を知らない者たちの伝聞にとどまる。

インスマスの影(1931年11〜12月執筆)――ゼイドック・アレンの証言

インスマス滞在中、語り手は96歳の酔漢ゼイドック・アレンからオベドの半生を聞き出す。ゼイドックはまず、深きものどもがもとより人身供犠を好んだと語り、島民が捧げた若者たちの身に何がなされたかについては、「犠牲になった者らに何がなされたかを言うのはわしの柄じゃない、オベドもあまり深くは尋ねなかったろう」と述べて詳細を避けている[38]。

混血の果てに何が起こるかについても、ゼイドックは念を押すように語る。「魚のようなものへ変わって水に入った者たちは、決して死ぬことがない。あの生き物どもは、無理やり殺されない限り死ぬことがなかった」という一節は、オベドが持ち帰った契約に、金儲けを超えた代償が付いていたことを物語る[39]。

もっとも、語り手はゼイドックの話を鵜呑みにしているわけではない。「この話に本当に確かな根拠があるとは、片時も信じなかった。それでもこの語りには、本物の恐怖を思わせるものがあった」と振り返っており、ゼイドックの証言は一人の老いた酔漢の主張として、距離を置いて記されている[40]。

ゼイドック自身の来歴にも触れる場面がある。「南北戦争の頃になると事態は悪化した、四十六年以降に生まれた子どもらが育ち始めたからだ……わしは怖くなり、あの夜以降は詮索をやめ、あやつらに間近で出くわしたことは生涯一度もない」と語っており、町の変容を見届けながらも深入りを避けてきた証言者自身の立場がうかがえる[41]。

インスマスの影(1931年11〜12月執筆)――語り手の結末で語られる血縁

物語の結末近く、語り手は自分の曾祖母がマーシュ家の血筋であり、その夫がアーカムに住んでいたことを思い出す。アーカムの博物館の学芸員からも「お前は正真正銘のマーシュの目をしている」と告げられていたことを振り返り[42]、オベド・マーシュが自分自身の高祖父ではないかという疑念に至る[5]。

さらに終盤の夢の中で、語り手は死んだ祖母と海の底で再会する。祖母は、自死した息子(語り手の伯父)が知っていた場所へ去っていったのだと明かし、これに続けて語り手自身も「これは自分自身の行く末でもあり、逃れられない。自分も決して死なず、人類が地上を歩く前から生きてきた者たちとともに生きていくことになる」と悟るに至る[43]。

別名・呼称

作中でオベド以外の固有の別名は与えられていない。ゼイドック・アレンは彼を「old limb o’ Satan(老いぼれ悪魔の手先)」と呼び[11]、正気を失いつつある終盤の場面でも「Cap’n Obed」という船長の敬称を外さないまま「オベド・マーシュは地獄にいる」と口走る[12]。ニューベリーポート駅の切符係や町の人々の間では、単に「老オベド船長(old Captain Obed)」として語られる[13]。

人物像・性格

ゼイドックは、オベド船長ほどの者は他にいなかったと繰り返し語る[11]。彼の際立った特質は人を見抜く目で、老首長ワラキアの口から契約の真実を聞き出せたのはオベドだからこそだとされ、ゼイドック自身、語り手の目つきをオベドのそれになぞらえている[2]。

その一方で、儲けに敏感な性分もうかがえる。一等航海士マット・エリオットが取引に強く反対したにもかかわらず、オベドは金めいた品を安値で仕入れられると分かるや、これを専門にすることを決めた[14]。1838年の島民絶滅で通常の交易が傾くと、教会に通い重荷に耐えるだけの町の人々を「愚かな羊」と呼んで詰り、何も助けてくれないキリスト教の天国ではなく、本当に必要な物を与えてくれる神々に祈るべきだと説き始めた[15]。

ただしゼイドックは念を押す。オベドが当初から南洋の島とまったく同じ混血や不死の仕組みをこの町に持ち込むつもりだったわけではなく、望んでいたのはあくまで金であり、そのために重い代価を払う覚悟があっただけだという[16]。事態が一変したのは1846年の投獄以降である。投獄から数週間後のある夜、深きものどもの大群がデビル・リーフから港へ押し寄せ[30]、牢は打ち破られ、住民の約半数が姿を消した。人々はのちにこれを「疫病」と呼び、町にはオベドの側に加わるか沈黙する者しか残らなかった[31]。この夜を境にオベドは「その話になるとまるで狂人のよう」と評されるほどに変わり、混血を止める気はないと公言するようになる[3]。

生涯・経歴

ニューベリーポートでは、老オベド船長がどこか異教徒の港で謎の宝飾品を仕入れ、先住民交易用のガラス玉や小間物を大量に注文しているという噂が語られていた[13]。ニューベリーポート歴史協会のティルトン嬢も、同協会が所蔵する宝冠を、オベドが発見した異国の海賊の財宝の一部だろうと見ていた[17]。

オベドは3隻の船(コロンビー号・ヘティ号・スマトラ・クイーン号)を動かし、インスマスで唯一、東インド・太平洋交易を続けていた[7]。一等航海士マット・エリオットの反対を押し切って南洋のある島との取引に深入りする過程で、二人は器量のよい若者たちが年々姿を消し、老人が少なく、住民の一部が異様な容貌をしていることに気づいた[18]。

真実を聞き出せたのはオベドだけだった。彼は住民の身に着ける金めいた装身具を交易の糸口にして、老首長ワラキアから話を引き出した[2]。ワラキアはオベドに深きものどもにまつわる儀式や呪文を見せ、変容の進んだ島民の姿も見せたうえで、正しい祈りとともに沈めればどこの海であれ深きものどもの巣を呼び寄せられるという、鉛のような道具を与えた[19]。

この交易でオベドは何年もかけて金めいた品を蓄え、マーシュ家の縮絨工場に精錬所を開いた[8]。だが1838年ごろ、彼は航海の合間に島の住民が皆殺しにされているのを発見する。近隣の島民が事情を知り、自らの手で決着をつけたものと見られた[20]。島民の絶滅はオベドの通常の交易だけでなく、インスマス全体の景気にも打撃を与えた[21]。

これを機にオベドは、キリスト教の天国に祈っても何も得られない「愚かな羊」だと町の人々を罵り始め[15]、仲間になる者があれば豊漁と富をもたらす力を手にできるかもしれないと説いた。ゼイドックは、オベドと20人あまりの仲間が夜な夜なデビル・リーフまで漕ぎ出し、風向きによっては町中に聞こえるほど大声で何かを唱えていたことを暴露するように語り手に問い詰める[22]。屋根裏の物見台から見た光景として、ボートから重い物が投げ込まれた翌日に若者が姿を消す出来事が繰り返され、ハイラム・ギルマン、ニック・ピアース、ルーリー・ウェイト、アドニラム・サウスウィック、ヘンリー・ギャリソンら複数の名がその犠牲として挙げられる[23]。

やがて漁は殺しきれないほど港に押し寄せ、支線鉄道が敷かれるほどに町は潤った。この頃、エソテリック・オーダー・オブ・ダゴンが組織され、カルバリー・コマンダリーからメイソニック・ホールが買い取られる。メイソンとしてこの売却に反対したマット・エリオットは、まさにその頃姿を消した[24]。

ゼイドックはここで念を押す。オベドが当初から島と同じ混血や不死の仕組みを望んでいたわけではなく、望んだのはあくまで金だったという[16]。だが1846年、増えすぎた行方不明者や異様な説教、リーフをめぐる噂に町が疑いを深めたころ、ある晩デビル・リーフまでオベドの一団を尾行した一団との間で銃撃が起こり、翌日オベドと32人が投獄された[25]。

投獄から数週間後のある夜、深きものどもの大群が町を襲った。ゼイドックは屋根裏の物見台からそれを見、父親はマスケット銃を持って様子を見に出たきり戻らなかった[30]。町には死者と瀕死の者が積み重なり、牢は打ち破られ、住民の約半数が消えた[31]。その後オベドは「その話になるとまるで狂人のよう」と評されるほどに一変し、深きものどもとの混血を止める気はないと明言する[3]。これを機に、犠牲と貢ぎ物と町での宿泊を差し出せば町に手を出さないという盟約――ダゴンの誓い――が全住民に課され、盟約に加わった子どもたちは死なず、母なるヒュドラと父なるダゴンのもとへ還っていくとされた[26]。

1846年、オベドは町の誰も姿を見たことのない二人目の妻(深きもの)を娶り[9]、3人の子をもうけたが、2人は幼くして姿を消し、ヨーロッパで教育を受けた一人娘だけが、策略によって事情を知らないアーカムの男に嫁がされた。精錬所を現在営むバーナバス・マーシュは、最初の妻との間にできた長男オネシフォラスの息子、すなわちオベドの孫にあたる[10]。オベド・マーシュは1878年に世を去った[4]。

他の人物・存在との関係

一等航海士マット・エリオットとは、南洋との取引をめぐって当初から対立していた。エリオットは島に関わらないよう望んだが、オベドは利益を優先してこれを退け[14]、後年メイソニック・ホールの売却に反対したエリオットは、その直後に姿を消している[24]。

老首長ワラキアとは、深きものどもの秘密を明かした側の人物である。オベドはワラキアから儀式と鉛の道具を得て[2][19]、インスマスにその契約を持ち帰った。

ゼイドック・アレンは、オベドの半生をもっとも詳しく語る証言者である。町の北端の救貧院に住む96歳の酔漢で[32]、1846年当時は15歳の少年として[33]、父の望遠鏡を持って屋根裏の物見台からデビル・リーフを見張っていた[34]。船員としてオベドの近くにいたという記述は原典に無い。その立場から彼はオベドの強欲さと狂信への転落を語る一方、正気を失いかけた終盤では「オベド・マーシュは地獄にいる」と口走る[12]。

孫バーナバス・マーシュは最初の妻の血筋を継ぎ、現在も精錬所を営む[10]。インスマス駅の切符係も、この「老マーシュ」をオベド船長の孫だと語っている[27]。一方、語り手は、老いた酔漢ゼイドックが語った「怪物じみた母親との間の娘がアーカムの男に嫁がされた」という話や、自分の目つきがオベドに似ていると呟かれたことを思い出し、オベド・マーシュが自分自身の高祖父ではないかと疑い始める[5]。語り手の高祖母プス=ヤ=リィは、オベドの死後イハ=ンスレイへ帰っていったと夢の中で語られる[28]。

主要登場作と読みどころ

  • 「インスマスの影」(1931年執筆/1936年発表): オベドの唯一の登場作。本人はすでに亡く、その半生はゼイドック・アレンの回想と、駅の切符係・歴史協会員・語り手自身の伝聞を通じて語られる。南洋での契約の発端から、1846年の投獄と粛清、ダゴンの誓いの制度化までを追う。
  • あわせて読む「マーシュ家」: オベドが興した一族そのものを主語にした記事。孫バーナバスの代までの系譜や、精錬所の由来を扱う。
  • あわせて読む「インスマス」: オベドの契約が町全体をどう変えたかを、港町という舞台の側から読み直すための記事。
  • あわせて読む「深きものども」: ワラキアがオベドに明かした契約の相手そのものを扱う記事。
  • あわせて読む「エソテリック・オーダー・オブ・ダゴン」: オベドが1846年以降に町へ制度化した教団を扱う記事。

よくある誤解

Q. オベドは自ら深きものになったのか?A. 原典本文にオベド自身が深きものへ変容したという記述は無い。オベドは1878年に死去したと語られており[4]、ゼイドックも正気を失いかけた場面で「オベド・マーシュは地獄にいる」と口にする[12]。深きものどもとの混血・不死の系譜として明確に描かれるのは二人目の妻とその子孫の側であり、オベド本人が変容した姿を見せる場面は原典に見当たらない。

Q. 1846年に何が起きたのか?A. 増えすぎた行方不明者や異様な説教に町が疑いを深めるなか、ある晩デビル・リーフまでオベドの一団を尾行した一団との間で銃撃が起こり、翌日オベドと32人が投獄された[25]。数週間後のある夜、深きものどもが町を襲い、牢が破られ、住民の約半数が姿を消した[30][31]。混乱の後、オベドは混血を止める気はないと公言し、ダゴンの誓いを全住民に課した[3][26]。

Q. 語り手はオベドの子孫なのか?A. 原典は断定していない。語り手は、ゼイドックの語った「怪物じみた母親との間の娘がアーカムの男に嫁がされた」という話と、自分の目つきをオベドになぞらえられた記憶から、オベド・マーシュが自分自身の高祖父ではないかと疑うにとどまる[5]。夢の中では、語り手の高祖母プス=ヤ=リィがオベドの死後にイハ=ンスレイへ帰ったと語られており[28]、状況証拠は重なるものの、原典本文はこの系譜を明言では結んでいない。

出典

  • [1] “kin tech. Ol’ Cap’n Obed done it—him that faound aout more’n was good fer him in the Saouth Sea islands. “Everybody was in a bad way them days. Trade fallin’ off, mills”(訳: ……のせいだ。年寄りのオベド船長がやったことだ――南洋の島々で、自分にとって良くないほど多くのことを知ってしまった男だよ。『当時はみんな苦しい暮らしをしとった。交易は落ち込み、工場は……』) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [2] ““It took Obed to git the truth aout o’ them heathen. I dun’t know haow he done it, but he begun by tradin’ fer the gold-like things they wore. Ast ’em whar they come from, an’ ef they cud git more, an’ finally wormed the story aout o’ the old chief—Walakea, they called him. Nobody but Obed ud ever a believed the old yeller devil, but the Cap’n cud read folks like they was books. Heh, heh! Nobody never believes me naow when I tell ’em, an’ I dun’t s’pose you will, young feller—though come to look at ye, ye hev kind o’ got them sharp-readin’ eyes like Obed had.””(訳: あの異教徒どもから真実を聞き出せたのはオベドだからこそだ。どうやったのかは分からんが、彼らが身に着けている金めいた品を交易の糸口にすることから始めた。どこで手に入れたのか、もっと入手できないかと尋ね、ついには老首長――ワラキアと呼ばれていた――から話を聞き出した。あの老いぼれ黄色い悪魔の言うことなど、オベド以外の誰も信じなかっただろうが、船長は人を本のように読めた。へっ、へっ! 今わしが話しても誰も信じてくれん、お前さんも信じないだろうが――だがよく見りゃ、お前さんもオベドが持っていたような、あの鋭く人を見抜く目をしとるな) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [3] “they wanted to mix like they done with the Kanakys, an’ he fer one didn’t feel baound to stop ’em. Far gone, was Obed . . . jest like a crazy man on the subjeck. He says they brung us fish an’ treasure, an’ shud hev what they hankered arter. . . . “Nothin’ was to be diff’runt on the aoutside, only we was to keep shy o’ strangers ef we knowed what was good fer us. We all hed to take the Oath o’ Dagon, an’ later on they was secon’ an’ third Oaths that some on us took. Them as ud help special, ud git special rewards—gold an’ sech—No use balkin’, fer they was millions of ’em daown thar. They’d ruther not start risin’ an’ wipin’ aout humankind, but ef they was gave away an’ forced”(訳: 彼らはカナカ族の島でやったのと同じように混血したがっていて、彼自身はそれを止める義理があるとは思わなかった。オベドはひどく取り憑かれていた……その話になるとまるで狂人のようだった。彼は、あれらが我々に魚と財宝をもたらしてくれるのだから、望むものを与えてやるべきだと言った……。『表向きは何も変わらない、ただ身のためを思うなら余所者には近づかないようにするだけだ。わしらは皆ダゴンの誓いを立てねばならず、後には第二・第三の誓いを立てた者もいた。特に力を貸した者は特別な報酬――金など――を得た。抗っても無駄だ、あそこの底には奴らが何百万といるのだから。奴らも好んで浮かび上がり人類を一掃したいわけではないが、もし正体を暴かれ追い詰められたら……』) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [4] “year’. Dun’t know haow his poor wife kin feel—she come from Ipswich, an’ they nigh lynched Barnabas when he courted her fifty odd year’ ago. Obed he died in ’seventy-eight,”(訳: ……年前だ。彼の哀れな妻がどんな気持ちでいるものか分からん――彼女はイプスウィッチの出で、五十年ほど前にバーナバスが彼女に求婚したときには、危うくリンチにあうところだった。オベドは七十八年に死んだ) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [5] “the daughter of Obed Marsh by a monstrous mother was married to an Arkham man through a trick? What was it the ancient toper had muttered about the likeness of my eyes to Captain Obed’s? In Arkham, too, the curator had told me I had the true Marsh eyes. Was Obed Marsh my own great-great-grandfather?”(訳: 怪物じみた母親との間にできたオベド・マーシュの娘が、策略によってアーカムの男に嫁がされた、という話だったか? あの年老いた酔漢が、わしの目とオベド船長の目がよく似ていると呟いていたのは何だったのか? アーカムでも学芸員から、お前は正真正銘のマーシュの目をしていると言われたではないか。オベド・マーシュは自分自身の高祖父だったのだろうか?) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [6] “The Shadow over Innsmouth (November?–3 December 1931)”(訳: 『インスマスの影』(1931年11月?-12月3日執筆))/ “The Shadow over Innsmouth. Everett, PA: Visionary Publishing Co., 1936. 13–72, 74–125, 127–42, 144–58.”(訳: 『インスマスの影』エヴェレット、ペンシルベニア州:Visionary Publishing Co.、1936年、13-72、74-125、127-42、144-58頁) — H. P. Lovecraft, 作品一覧(The H. P. Lovecraft Archive)および Data Page(The H. P. Lovecraft Archive) ↩
  • [7] “brig an’ the Ranger snow—both of ’em Gilman venters. Obed Marsh he had three ships afloat—brigantine Columby, brig Hetty, an’ barque Sumatry Queen.”(訳: ……ブリッグ船と、スノー船レインジャー号――どちらもギルマン家の出資船だった。オベド・マーシュは3隻の船を動かしとった――ブリガンティン船コロンビー号、ブリッグ船ヘティ号、バーク船スマトラ・クイーン号だ) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [8] “went on that way fer years, an’ Obed got enough o’ that gold-like stuff to make him start the refinery in Waite’s old run-daown fullin’ mill. He didn’t dass sell the pieces like they was, fer folks ud be all the time askin’ questions. All the”(訳: そんな具合が何年も続き、オベドはあの金めいた品を十分に手に入れて、ウェイト家の使われなくなった古い縮絨工場で精錬所を始めるまでになった。品物をそのまま売りさばく度胸はなかった――そんなことをすれば人々がしょっちゅう詮索してくるからだ) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [9] ““In ’forty-six Cap’n Obed took a second wife that nobody in the taown never see—some says he didn’t want to, but was made to by them as he’d called in—had three children by her—two as disappeared young, but one gal as looked like anybody else an’ was eddicated in Europe. Obed finally got her”(訳: 四十六年、オベド船長は町の誰一人として見た者のない二人目の妻を娶った――本人は望んでいなかったが、自分が呼び寄せた者たちに強いられたのだという話もある――彼女との間に三人の子をもうけたが、二人は幼いうちに姿を消し、残る一人娘は誰とも変わらない容姿でヨーロッパで教育を受けた。オベドは最終的に彼女を……) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [10] “married off by a trick to an Arkham feller as didn’t suspect nothin’. But nobody aoutside’ll hev nothin’ to do with Innsmouth folks naow. Barnabas Marsh that runs the refin’ry naow is Obed’s grandson by his fust wife—son of Onesiphorus, his eldest son, but his mother was another o’ them as wa’n’t never seed aoutdoors.”(訳: 策略によって、何も疑わないアーカムの男に嫁がせた。だが今では余所者は誰もインスマスの者たちと関わろうとしない。今精錬所を営むバーナバス・マーシュは、オベドの最初の妻との間の孫にあたる――長男オネシフォラスの息子だが、彼の母親もまた、決して戸外で姿を見られなかった女の一人だった) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [11] “Sumatry Queen. He was the only one as kep’ on with the East-Injy an’ Pacific trade, though Esdras Martin’s barkentine Malay Pride made a venter as late as ’twenty-eight. “Never was nobody like Cap’n Obed—old limb o’ Satan!”(訳: ……スマトラ・クイーン号だ。二八年になってもエズラス・マーティンのバーケンティン船マレー・プライド号が一度航海したことはあったが、東インド・太平洋交易を続けていたのは彼だけだった。『オベド船長ほどの者は他にいなかった――老いぼれ悪魔の手先め!』) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [12] ““Curse ye, dun’t set thar a-starin’ at me with them eyes—I tell Obed Marsh he’s in hell, an’ hez got to stay thar! Heh, heh . . .”(訳: くたばれ、そんな目でわしを見つめて座ってるんじゃない――言っといてやる、オベド・マーシュは地獄にいる、そこにとどまるほかないんだ! へっ、へっ……) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [13] “enormous lot of ingots. “Used to be talk of a queer foreign kind of jewellery that the sailors and refinery men sometimes sold on the sly, or that was seen once or twice on some of the Marsh womenfolks. People allowed maybe old Captain Obed traded for it in some heathen port, especially since he was always ordering stacks of glass beads and trinkets such as seafaring men used to”(訳: おびただしい量の地金。『船乗りや精錬所の男たちが時折こっそり売っていた、あるいはマーシュ家の女たちが一度か二度身に着けているのが見られた、奇妙な外国風の宝飾品の噂もあった。人々は、老オベド船長がどこか異教徒の港でそれを交易で手に入れたのだろうと考えていた。特に彼はいつも、船乗りが先住民交易に使うようなガラス玉や小間物を大量に注文していたから』) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [14] “a nest an’ bring ’em up ef they was wanted. “Matt he didn’t like this business at all, an’ wanted Obed shud keep away from the island; but the Cap’n was sharp fer gain, an’ faound he cud git them gold-like things so cheap it ud pay him to make a specialty of ’em. Things”(訳: 巣を見つけて、望むなら引き上げてこられる、と。『マットはこの商売がまるで気に入らず、オベドに島から離れていてほしいと望んでいた。だが船長は儲けに敏感で、あの金めいた品をひどく安く仕入れられると分かると、それを専門にする値打ちがあると悟った』) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [15] ““Then’s the time Obed he begun a-cursin’ at the folks fer bein’ dull sheep an’ prayin’ to a Christian heaven as didn’t help ’em none. He told ’em he’d knowed of folks as prayed to gods that give somethin’ ye reely need, an’ says ef a good bunch o’ men ud stand by him, he cud mebbe git a holt o’ sarten paowers as ud bring plenty o’ fish an’ quite a bit o’ gold. O’ course them as sarved on the Sumatry Queen an’ seed the island knowed what he meant, an’ wa’n’t none too anxious to git clost to sea-things like they’d heerd tell on, but them as didn’t know what ’twas all abaout got kind o’ swayed by what Obed had to say, an’ begun to ast him what he cud do to set ’em”(訳: その頃からオベドは、人々を愚かな羊呼ばわりし、何も助けてくれないキリスト教の天国に祈っていると罵り始めた。彼は、本当に必要な物を与えてくれる神々に祈る人々を知っていると語り、もし気心の知れた男たちが自分についてくれば、豊漁とかなりの金をもたらす何らかの力を手に入れられるかもしれないと言った。もちろんスマトラ・クイーン号に乗り組んで島を見た者たちは彼の言う意味が分かっており、噂に聞いていたような海の生き物に近づくことにあまり乗り気ではなかったが、事情を知らない者たちはオベドの言葉にいくらか心を動かされ、自分たちをどうしてくれるのかと尋ね始めた) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [16] ““Remember, I ain’t sayin’ Obed was set on hevin’ things jest like they was on that Kanaky isle. I dun’t think he aimed at fust to do no mixin’, nor raise no younguns to take to the water an’ turn into fishes with eternal life. He wanted them gold things, an’ was willin’ to pay heavy, an’ I guess the others was satisfied fer a while. . . . “Come in ’forty-six the taown done some lookin’ an’ thinkin’ fer itself. Too many folks missin’—too much wild preachin’ at meetin’ of a Sunday—too much talk abaout that reef. I guess I done a bit by tellin’ Selectman Mowry what I see from the cupalo. They was a party one night as follered Obed’s craowd aout to the reef, an’ I heerd shots betwixt the dories. Nex’ day Obed an’”(訳: 言っとくが、オベドが最初からあのカナカ族の島とまったく同じことをこの町でやろうとしていた、というわけではない。彼は最初から混血をやらせるつもりだったとも、子どもらを水に連れていって永遠の命を持つ魚に変えさせるつもりだったとも、わしは思わん。彼が欲しかったのはあの金めいた品で、そのために重い代価を払う覚悟があっただけだ。他の連中もしばらくはそれで満足していたと思う……。四十六年になって、町は自分なりに考え、詮索を始めた。行方不明者が多すぎる――日曜の集会での狂った説教が多すぎる――あのリーフについての噂が多すぎる。わしがモウリー参事会員に望楼から見たことを話したのも、多少は関わっとるだろう。ある晩、一団がオベドの一味をリーフまで尾行して、ボートとボートの間で銃声がしたのをわしは聞いた。翌日、オベドと……) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [17] “presence in New England, was inclined to believe that it formed part of some exotic pirate hoard discovered by old Captain Obed Marsh. This view was surely not weakened by the insistent offers of purchase at a high price which the Marshes began to make as soon as they knew of its presence, and which they repeated to this day despite the Society’s unvarying determination not”(訳: ニューイングランドに現存することから、老オベド・マーシュ船長が発見した異国の海賊の財宝の一部をなすものだろうという見方に傾いていた。この見方は、マーシュ家がその存在を知るや高値での買い取りをしつこく申し出るようになり、協会側の一貫した拒絶にもかかわらず今日まで繰り返している事実によって、確かに弱められることはなかった) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [18] “Matt he got to wonderin’ too, an’ so did Cap’n Obed. Obed he notices, besides, that lots of the han’some young folks ud drop aout o’ sight fer good from year to year, an’ that they wa’n’t many old folks araound. Also, he thinks some of the folks looks durned queer even fer Kanakys. “It took Obed to git the truth aout o’ them heathen. I dun’t”(訳: マットも訝しみ始め、オベド船長も同じだった。オベドはさらに、器量のよい若者たちが年々すっかり姿を消していくこと、年寄りがほとんど見当たらないことに気づいた。それに、カナカ族にしてもいくらか妙な顔つきの者がいると彼は思った。『あの異教徒どもから真実を聞き出せたのはオベドだからこそだ。どうやったのかは分からんが……』) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [19] ““Walakea he shewed Obed a lot o’ rites an’ incantations as had to do with the sea-things, an’ let him see some o’ the folks in the village as had changed a lot from human shape. Somehaow or other, though, he never would let him see one of the reg’lar things from right aout o’ the water. In the end he give him a”(訳: ワラキアは海の生き物にまつわる数々の儀式や呪文をオベドに見せ、村の中で人間の姿からすっかり変わり果てた者たちも見せてやった。だがどういうわけか、水の中から出てきたばかりの本物の生き物だけは決して見せようとしなかった。最後に彼はオベドに、ある物を与えた) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [20] “old—Obed he faound the island people all wiped aout between v’yages. Seems the other islanders had got wind o’ what was goin’ on, an’ had took matters into their own hands. S’pose they musta had, arter all, them old magic signs as the sea-things says was the only things they was afeard of. No tellin’ what any o’ them Kanakys will chance to git a holt of when the sea-bottom throws up some island with ruins older’n the deluge. Pious cusses, these was—they didn’t leave nothin’ standin’ on either the main island or the little volcanic islet excep’ what parts of the ruins was”(訳: ……の年だ――オベドは航海の合間に島民が皆殺しにされているのを見つけた。他の島民たちが何が起きているのか嗅ぎつけて、自分たちの手で始末をつけたらしい。結局のところ、海の生き物どもが唯一恐れると言っていた、あの古い魔除けの印を彼らも手にしていたのだろう。海底が大洪水よりも古い遺跡のある島を隆起させたとき、カナカ族の誰が何を手に入れるかは分かったものではない。信心深い連中で――本島にも小さな火山島にも、遺跡の一部を除いて何一つ立ったまま残さなかった) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [21] ““That naturally hit Obed pretty hard, seein’ as his normal trade was doin’ very poor. It hit the whole of Innsmouth, too, because in seafarin’ days what profited the master of a ship gen’lly profited the crew proportionate. Most o’ the folks araound the taown took the hard times kind o’ sheep-like an’ resigned,”(訳: それは当然オベドに大きな打撃を与えた、通常の交易がひどく不振だったからだ。それはインスマス全体にも響いた。船乗りの時代には、船主が儲かればそれに応じて乗組員も潤うのが常だったからだ。町の人々の多くは、羊のようにおとなしく苦境を受け入れていた) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [22] “young feller, why Cap’n Obed an’ twenty odd other folks used to row aout to Devil Reef in the dead o’ night an’ chant things so laoud ye cud hear ’em all over taown when the wind was right? Tell me that, hey? An’ tell me why Obed was allus droppin’ heavy things daown into the deep water t’other side o’ the reef whar the bottom shoots daown like a cliff lower’n ye kin saound? Tell me what he done with that funny-shaped lead thingumajig as Walakea give him? Hey, boy? An’ what did they all haowl on May-Eve, an’ agin the next Hallowe’en? An’ why’d the new church parsons—fellers as used to be sailors—wear them queer robes an’ cover theirselves with them gold-like things Obed brung? Hey?””(訳: 若いの、なぜオベド船長ともう二十人余りが夜更けにデビル・リーフまで漕ぎ出して、風向きがよければ町中に聞こえるほど大声で何かを唱えていたのか、説明してみろ? え? それに、なぜオベドはいつも、底が崖のように切れ落ちて測深もできないほど深い、リーフの向こう側の海に重い物を投げ込んでいたのか説明してみろ? ワラキアが彼にくれた、あの妙な形の鉛の道具で彼が何をしたのか言ってみろ? え、坊主? それに五月前夜と、次のハロウィーンに彼らみんなで何を吠えていたんだ? なぜ新しい教会の牧師どもが――かつて船乗りだった連中だが――あんな奇妙な法衣を着て、オベドが持ち帰ったあの金めいた物で身を覆っていたんだ? え?) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [23] “that of mirth. “S’pose one night ye seed somethin’ heavy heaved offen Obed’s dory beyond the reef, an’ then larned nex’ day a young feller was missin’ from home? Hey? Did anybody ever see hide or hair o’ Hiram Gilman agin? Did they? An’ Nick Pierce, an’ Luelly Waite, an’ Adoniram Saouthwick, an’ Henry Garrison? Hey? Heh, heh, heh, heh. . . . Shapes talkin’ sign language with their”(訳: ……愉快そうな笑い。『ある晩、リーフの向こうでオベドのボートから重い物が投げ込まれるのを見て、その翌日、若者が一人家からいなくなったと知ったとしたら? え? ハイラム・ギルマンの消息をその後誰か目にしたか? したか? ニック・ピアースは? ルーリー・ウェイトは? アドニラム・サウスウィックは? ヘンリー・ギャリソンは? え? へっ、へっ、へっ、へっ……手で合図の言葉を交わす人影たちが……』) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [24] “folks were prosp’rin’, too—fish begun to swarm into the harbour fit to kill, an’ heaven knows what sized cargoes we begun to ship aout to Newb’ryport, Arkham, an’ Boston. ’Twas then Obed got the ol’ branch railrud put through. Some Kingsport fishermen heerd abaout the ketch an’ come up in sloops, but they was all lost. Nobody never see ’em agin. An’ jest then our folks organised the Esoteric Order o’ Dagon, an’ bought Masonic Hall offen Calvary Commandery for it . . . heh, heh, heh! Matt Eliot was a Mason an’ agin’ the sellin’, but he dropped aout o’ sight jest then.”(訳: 人々も潤い始めた――魚は殺しきれないほど港に押し寄せ、ニューベリーポート、アーカム、ボストンへどれほどの量の積荷を送り出したものか。ちょうどその頃、オベドは古い支線鉄道を通させた。キングスポートの漁師の何人かがその漁の噂を聞きつけてスループ船でやって来たが、皆行方知れずになった。二度と誰も彼らを見ていない。そしてまさにその頃、わしらの町の者たちはエソテリック・オーダー・オブ・ダゴンを組織し、カルバリー・コマンダリーからメイソニック・ホールを買い取った……へっ、へっ、へっ! マット・エリオットはメイソンでその売却に反対していたが、まさにその頃姿を消した) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [25] “at meetin’ of a Sunday—too much talk abaout that reef. I guess I done a bit by tellin’ Selectman Mowry what I see from the cupalo. They was a party one night as follered Obed’s craowd aout to the reef, an’ I heerd shots betwixt the dories. Nex’ day Obed an’ thutty-two others was in gaol, with everbody a-wonderin’ jest what was afoot an’ jest what charge agin’ ’em cud be got to holt. God, ef anybody’d look’d ahead . . . a couple o’ weeks later, when nothin’ had ben throwed into the sea fer that long. . . .””(訳: ……日曜の集会での――あのリーフについての噂が多すぎる。わしがモウリー参事会員に望楼から見たことを話したのも、多少は関わっとるだろう。ある晩、一団がオベドの一味をリーフまで尾行して、ボートとボートの間で銃声がしたのをわしは聞いた。翌日、オベドと他32人が牢に入れられ、誰もが一体何が起きているのか、彼らにどんな容疑をかけられるのか分からず戸惑っていた。ああ、もし誰かが先を見通していたら……その二週間ほど後、あれほど長い間何も海に投げ込まれていなかった時に……) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [26] “secrets. “Yield up enough sacrifices an’ savage knick-knacks an’ harbourage in the taown when they wanted it, an’ they’d let well enough alone. Wudn’t bother no strangers as might bear tales aoutside—that is, withaout they got pryin’. All in the band of the faithful—Order o’ Dagon—an’ the children shud never die, but go back to the Mother Hydra an’ Father Dagon what we all come from onct—Iä!”(訳: ……秘密を。『十分な生贄と粗野な装身具、そして望む時には町での宿を差し出せば、奴らはそれ以上手を出さずにおいてくれる。外へ話を漏らしかねない余所者にも、詮索してこない限りは手を出さない。信仰の仲間――ダゴンの教団――に加わった者の子どもらは決して死なず、かつて我々全員がそこから来たという母なるヒュドラと父なるダゴンのもとへ還っていく――イア!』) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [27] “his home. He’s supposed to have developed some skin disease or deformity late in life that makes him keep out of sight. Grandson of Captain Obed Marsh, who founded the business. His mother seems to’ve ben some kind of foreigner—they say a South Sea islander—so”(訳: 彼の家だ。晩年になって皮膚病か奇形を患い、人目を避けるようになったとされている。事業を興したオベド・マーシュ船長の孫だ。彼の母親は何か外国人らしい――南洋の島民だという話だ――だから) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [28] “had lived in Y’ha-nthlei, and thither she had gone back after Obed Marsh was dead. Y’ha-nthlei was not destroyed when the upper-earth men shot death into the sea. It was hurt, but not destroyed.”(訳: ……イハ=ンスレイに暮らしており、オベド・マーシュが死んだ後そこへ帰っていった。地上の人間たちが海に死をもたらす砲撃を放ったときも、イハ=ンスレイは滅ぼされなかった。傷つきはしたが、滅ぼされはしなかった) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [30] “That awful night . . . I seed ’em . . . I was up in the cupalo . . . hordes of ’em . . . swarms of ’em . . . all over the reef an’ swimmin’ up the harbour into the Manuxet. . . . God, what happened in the streets of Innsmouth that night . . . they rattled our door, but pa wouldn’t open . . . then he clumb aout the kitchen winder with his musket to find Selectman Mowry an’ see what he cud do. . . .”(訳: あの恐ろしい夜……わしは見た……物見台に上がっていた……やつらの大群……群れが……礁の上一面に、港を泳いで上ってマナクセット川へ……神よ、あの夜インスマスの通りで何が起きたか……やつらはうちの戸を叩いたが親父は開けなかった……それから親父は台所の窓から這い出て、マスケット銃を持って町会議員のモウリーを探しに、何ができるか見に行った……) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [31] “Maounds o’ the dead an’ the dyin’ . . . shots an’ screams . . . shaoutin’ in Ol’ Squar an’ Taown Squar an’ New Church Green . . . gaol throwed open . . . proclamation . . . treason . . . called it the plague when folks come in an’ faound haff our people missin’ . . . nobody left but them as ud jine in with Obed an’ them things or else keep quiet . . . never heerd o’ my pa no more. . . .”(訳: 死者と瀕死の者の山……銃声と悲鳴……旧広場と町広場とニューチャーチ・グリーンでの叫び……牢は開け放たれ……布告……反逆……人が戻ってきて住民の半分が消えているのを見て「疫病」と呼んだ……残ったのはオベドとやつらに加わる者か、さもなくば黙っている者だけ……親父の消息は二度と聞かなかった……) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [32] “The only one who would talk was a very aged but normal-looking man who lived at the poorhouse on the north rim of the town and spent his time walking about or lounging around the fire station. This hoary character, Zadok Allen, was ninety-six years old and somewhat touched in the head, besides being the town drunkard.”(訳: 口を開いてくれたのは、町の北端の救貧院に住み、歩き回るか消防署のあたりでぶらつくかして過ごしている、たいそう年老いた、しかし見た目は普通の男だけだった。この白髪の人物ゼイドック・アレンは96歳で、少し頭がおかしいうえに) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [33] “God, what I seen senct I was fifteen year’ old— Mene, mene, tekel, upharsin! —the folks as was missin’, an’ them as kilt theirselves—them as told things in Arkham or Ipswich or sech places was all called crazy, like you’re a-callin’ me right naow—but God, what I seen— They’d a kilt me long ago fer what I know, only I’d took the fust an’ secon’ Oaths o’ Dagon offen Obed, so”(訳: 神よ、15歳のときから見てきたものときたら――メネ、メネ、テケル、ウパルシン!――行方知れずになった連中、自ら命を絶った連中、アーカムやイプスウィッチやそんな所で話した連中はみんな、あんたが今わしを呼んでいるように、頭がおかしいと言われた――だが神よ、わしが見たものは――) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [34] “Haow abaout the night I took my pa’s ship’s glass up to the cupalo an’ seed the reef a-bristlin’ thick with shapes that dove off quick soon’s the moon riz? Obed an’ the folks was in a dory, but them shapes dove off the far side into the deep water an’ never come up. . . . Haow’d ye like to be a little shaver alone up in a cupalo a-watchin’ shapes as wa’n’t human shapes?”(訳: 親父の船用望遠鏡を物見台に持ち上がって、月が昇るとすぐに飛び込んで消える姿で礁がびっしり埋まっているのを見た夜はどうだ? オベドとその仲間はボートに乗っていたが、その姿は向こう側の深い水へ飛び込んで二度と浮かんでこなかった……屋根裏に一人でいる小さな子どもだったら、どんな気がするか) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [35] “Grandson of Captain Obed Marsh, who founded the business.”(訳: 事業を興したオベド・マーシュ船長の孫だ) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [36] “The old Captain’s ben dead these sixty years, and there ain’t ben a good-sized ship out of the place since the Civil War; but just the same the Marshes still keep on buying a few of those native trade things—mostly glass and rubber gewgaws, they tell me.”(訳: 老船長が死んでもう六十年、南北戦争このかた大きな船もこの町から出ていないのに、それでもマーシュ家は今なお先住民交易向けの品――大半はガラスや護謨のがらくたらしいが――を買い続けている) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [37] “the pirate theory of the Marsh fortune was a popular one among the intelligent people of the region.”(訳: マーシュ家の財産にまつわる海賊説は、この地方の知識層の間でも広く信じられていた) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [38] “Them things liked human sacrifices. . . . What they done to the victims it ain’t fer me to say, an’ I guess Obed wa’n’t none too sharp abaout askin’.”(訳: あの生き物どもは人身供犠を好んだ……犠牲になった者らに何がなされたかを言うのはわしの柄じゃない、オベドもあまり深くは尋ねなかったろう) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [39] “them as turned into fish things an’ went into the water wouldn’t never die. Them things never died excep’ they was kilt violent.”(訳: 魚のようなものへ変わって水に入った者たちは、決して死ぬことがない。あの生き物どもは、無理やり殺されない限り死ぬことがなかった) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [40] “Not for a moment did I believe that the tale had any really substantial foundation; but none the less the account held a hint of genuine terror”(訳: この話に本当に確かな根拠があるとは、片時も信じなかった。それでもこの語りには、本物の恐怖を思わせるものがあった) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [41] “It got wuss araound Civil War time, when children born senct ’forty-six begun to grow up —some of ’em, that is. I was afeard—never did no pryin’ arter that awful night, an’ never see one of— them —clost to in all my life.”(訳: 南北戦争の頃になると事態は悪化した、四十六年以降に生まれた子どもらが育ち始めたからだ……わしは怖くなり、あの夜以降は詮索をやめ、あやつらに間近で出くわしたことは生涯一度もない) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [42] “In Arkham, too, the curator had told me I had the true Marsh eyes.”(訳: アーカムでも、学芸員から「お前は正真正銘のマーシュの目をしている」と言われた) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
  • [43] “This was to be my realm, too—I could not escape it. I would never die, but would live with those who had lived since before man ever walked the earth.”(訳: これは自分自身の行く末でもあり、逃れられない。自分も決して死なず、人類が地上を歩く前から生きてきた者たちとともに生きていくことになる) — 「インスマスの影」(1936年), The H. P. Lovecraft Archive ↩
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