概要
『Darkest Dungeon』は、探索するたびにダンジョンが変わるローグライクRPGである。Steam公式ストアページによれば、開発・発売元はともに Red Hook Studios、配信開始は 2016年1月19日[1]。
公式紹介文は、本作の主題を一行で示す[1]。
本作の最大の特徴は、冒険における 「ストレス」。
そして続ける[1]。
君を待つ戦いは、想像を絶するモンスターとの戦闘だけではない。ストレス、飢餓、疫病、そして這い寄る闇が目の前に立ち塞がる。
モンスターと並べて、ストレスが敵として挙げられている。
基本情報
Steam公式ストアページの記載による[1]。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開発・発売元 | Red Hook Studios |
| 配信開始 | 2016年1月19日 |
| ジャンル | インディー / RPG / ストラテジー |
| 対応プラットフォーム | Windows / macOS / Linux |
| 対応言語 | 英語(フル音声)、フランス語、ドイツ語、スペイン語、チェコ語、ポーランド語、ポルトガル語(ブラジル)、ロシア語、イタリア語、中国語(簡体字)、韓国語、日本語 |
| Steam実績 | 126 |
| 価格(Steam日本) | 2,900円 |
| 公式サイト | darkestdungeon.com |
| Metacritic | 84 |
日本語に対応している[1]。
なおストアページの本文中には、対応言語を「英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、ポーランド語、チェコ語、スペイン語、イタリア語、ブラジルポルトガル語」と記した古い記述が残っている[1]。Steamの構造化データ側(supported_languages)には日本語・韓国語・中国語が含まれており、本記事はそちらを採った[1]。
何をするゲームか
公式が挙げる内容は、次のとおりである[1]。
- 3つのゲームモードと80時間を超えるゲームプレイ
- MODが利用できる Steam Workshop の統合
- 苦痛システム: モンスターだけでなく、ストレスとも戦う。被害妄想、マゾヒズム、恐怖、不合理といった障壁と向き合う
- カラスの羽ペンを用いた、手描きのゴシックグラフィック
- ターン制戦闘
- 成功だけでなく、失敗をも祝福するナレーションシステム
- ペスト医師、荒くれ者、没落者など 16種類のヒーロー
- ヒーローの傷を治療し、士気を上げるために演説できる キャンプ
- ストレスを抑えるために疲れたヒーローを休ませる、街の 酒場や修道院
- ランダム生成のダンジョン、死んだら終わり、リプレイ性
舞台は「代々受け継がれてきた領地に沸き起こる不可解な恐怖」である[1]。
クトゥルフ神話との関係
固有名は使わない。数値の発想を使う
本作にクトゥルフもニャルラトテップも出てこない。公式のジャンル表記も「ダークファンタジーRPG」であって、クトゥルフ神話ではない[1]。当サイトの神話の三層にも入らない。
それでも本作を神話の文脈で扱う理由は、ストレスという数値の設計にある。
TRPG『クトゥルフの呼び声』が1981年に持ち込んだ正気度は、恐怖を数値で管理するという発想だった。敵を倒せるかどうかではなく、正気を保てるかどうかで勝敗が決まる。
本作の「苦痛システム」は、その発想を別の語彙で実装したものである[1]。
| TRPG『クトゥルフの呼び声』 | Darkest Dungeon | |
|---|---|---|
| 数値の名前 | 正気度(SAN) | ストレス |
| 減る/増える原因 | 神話的存在との遭遇、禁断の知識 | 戦闘、飢餓、疫病、闇[1] |
| 悪化したとき | 一時的・不定の狂気 | 被害妄想、マゾヒズム、恐怖、不合理[1] |
| 回復手段 | 休息、治療 | 酒場、修道院、キャンプでの演説[1] |
用語は違うが、扱っているものは同じである。
「失敗をも祝福するナレーション」
公式が挙げる特徴のひとつに「成功だけでなく、失敗をも祝福するナレーションシステム」がある[1]。
神話を扱う物語において、失敗は例外ではなく前提である。人間の手に負えないものを相手にしている以上、うまくいかないことのほうが多い。本作のナレーションがそれを拾い上げる設計になっていることは、扱う主題と噛み合っている。
評価
数字は Steam公式のレビュー集計と、ストアページに載るMetacriticスコア による[1][2]。ここに書く以外の点数は当サイトでは扱わない。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| Steamのレビュー評価 | 非常に好評(Very Positive) |
| レビュー総数 | 162,456件 |
| 肯定的 | 148,895件 |
| 否定的 | 13,561件 |
| Metacriticスコア | 84[1] |
肯定率は約92%である。
規模が桁違いである。
| 作品 | レビュー総数 | 肯定率 | Metacritic |
|---|---|---|---|
| Darkest Dungeon | 162,456 | 92% | 84 |
| DREDGE | 56,952 | 96% | 表示なし |
| Cultist Simulator | 14,193 | 80% | 71 |
| Call of Cthulhu (2018) | 13,917 | 79% | 表示なし |
| Sunless Sea | 9,565 | 83% | 81 |
| Sunless Skies | 3,479 | 84% | 87 |
当サイトが調べたこの系統のタイトルで、届いた人数が最も多い。『Sunless Skies』はMetacriticで本作を上回るが、レビュー総数は50分の1ほどである[3]。
「正気を数値で管理する」という発想を、もっとも広い層へ届けたのは本作だった——数字はそう読める。神話の固有名を一切使わずに、である。
受賞
公式ストアページには受賞歴が列挙されている[1]。
- PC Gamer — 2016年ベストRPG
- Game Informer — 2016年のベストRPG(3部門)
- IGN — 2016年ベスト(2部門)
- IGF 2016(3部門)
- Rock Paper Shotgun — RPG歴代ベスト50
- PAX 10(2015)、Game Debate 2016年ベストインディーRPG、SXSW 2015年ゲーマーズチョイス ほか
遊びの設計と追加コンテンツ
Steamのカテゴリ表示によれば、シングルプレイヤー専用で、Steam実績126、トレーディングカード、DUALSHOCKコントローラーサポート、部分的コントローラサポート、Steamクラウド、タブレットでのRemote Playに対応する[1]。
DLCは複数登録されている[4]。
| DLC | 配信 | 価格(Steam日本) |
|---|---|---|
| The Crimson Court | 2017年6月19日 | 1,150円(Metacritic 82) |
| The Shieldbreaker | 2017年10月26日 | 490円 |
| The Color Of Madness | 2018年6月19日 | 610円 |
| The Fire’s Edge | 2026年8月18日 | 800円 |
『The Color Of Madness』——原典への直接の目配せ
固有名を使わない本作にあって、この拡張だけは出どころが明白である。題名の “The Color Of Madness” は、ラヴクラフト「宇宙からの色」(The Colour Out of Space、1927年)を踏まえている。
Steam公式の紹介文は、こう始まる[4]。
Some hateful shard of alien origin has streaked through the night sky, crashing into the old Miller’s farm on the outskirts of the Hamlet! Those unfortunate enough to witness the Comet’s arrival have been blinded by what they can only describe as a shifting, ephemeral hue of damnably abrasive intensity. (異星起源の忌まわしい欠片が夜空を裂き、集落のはずれにある古いミラーの農場へ墜落した。彗星の到来を目にした不運な者たちは、移ろう儚い 色合い としか言いようのない、耐えがたい強さのものによって目を灼かれた)
空から落ちてきた異星のものが農場を襲い、言葉にできない「色」が人を狂わせる。原典「宇宙からの色」の筋立てそのものである。
追加要素として、新地域 The Farmstead、時間と空間の中で迷いながら無限に続く敵の波を生き延びる Endless Quest、金貨ではなく 彗星の欠片(Comet Shards) だけを受け取る宝飾師、そして新しい敵勢力が挙げられている[4]。
本編が固有名を避けた作品であるだけに、この拡張の位置づけは際立つ。神話の題材を、名前を出さずに使うこともできれば、名前を出さずに筋ごと借りることもできる——その両方が同じゲームの中にある。
続編
続編 『Darkest Dungeon II』(appid 1940340)は2023年5月8日配信、Metacritic 81、Steamのレビュー評価は「やや好評」で総数26,963件(肯定20,121件、肯定率約75%)である[4]。
1作目の92%に対して75%。続編は評価の面で1作目に届いていない[2][4]。
動作環境の最低要件は、Windows XP、メモリ2GB、OpenGL 3.2以上、ストレージ2GB[1]。推奨解像度は1080p・16:9[1]。極端に軽い。
どんな人に向くか
- 日本語で遊べる、正気度を扱うゲームを探している人[1]
- 長く遊べるものを求める人。公式の想定は80時間超[1]
- 失敗と損失を受け入れて進められる人。死んだら終わりである[1]
- 逆に、クトゥルフ神話の固有名を期待すると出てこない
神話の固有名が出てくるものを探しているなら『Call of Cthulhu』(2018)や『Stygian』がある。全体の見取り図はクトゥルフ神話ゲーム総覧にまとめてある。
関連記事
- 正気度(SAN) — 本作が「ストレス」という名で実装した発想
- クトゥルフの呼び声(TRPG) — その発想の出どころ
- 宇宙的恐怖
- クトゥルフ神話ゲーム総覧
出典
- [1] Steam公式ストアページ『Darkest Dungeon』(appid 262060、該当ページ)。Steam公式のappdetails API(
store.steampowered.com/api/appdetails?appids=262060&l=japanese&cc=jp)で取得した内容を確認した。開発・発売元 Red Hook Studios、配信開始2016年1月19日、ジャンル「インディー/RPG/ストラテジー」、対応プラットフォーム Windows・macOS・Linux、構造化データ上の対応言語に日本語・韓国語・中国語(簡体字)を含む(ただしストアページ本文には「英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、ポーランド語、チェコ語、スペイン語、イタリア語、ブラジルポルトガル語」とする古い記述が残る)、Steam実績126、Steam日本価格2,900円、公式サイト darkestdungeon.com、DLC(appid 4964110・580100 The Crimson Court・735730・702540)。紹介文の「本作の最大の特徴は、冒険における「ストレス」」「ストレス、飢餓、疫病、そして這い寄る闇が目の前に立ち塞がる」「3つのゲームモードと80時間を超えるゲームプレイ」「苦痛システム:モンスターだけでなく、ストレスとも戦わなければならない。被害妄想やマゾヒズム、恐怖、不合理などさまざまな障壁と立ち向かおう!」「カラスの羽ペンを用いた、手描きの美しいゴシックグラフィック」「成功だけでなく、失敗をも祝福するナレーションシステム」「ペスト医師、荒くれ者、没落者など、16種類(さらに追加中!)のヒーローたち」「ランダム生成のダンジョン、死んだら終わり」、受賞歴の一覧、および最低動作環境。Metacriticスコア84(2026年9月16日確認)。 ↩ - [2] Steam公式のレビュー集計API(
store.steampowered.com/appreviews/262060?json=1&language=all&purchase_type=all)。レビュー評価「Very Positive」、総数162,456件(肯定148,895件/否定13,561件)(2026年9月16日確認)。 ↩ - [3] Steam公式ストアページおよびレビュー集計。『DREDGE』(appid 1562430、Overwhelmingly Positive、56,952件・肯定54,578件、Metacritic表示なし)、『Cultist Simulator』(appid 718670、Metacritic 71、Mostly Positive、14,193件・肯定11,344件)、『Call of Cthulhu』(appid 399810、Mostly Positive、13,917件・肯定11,029件、Metacritic表示なし)、『Sunless Sea』(appid 304650、Metacritic 81、Very Positive、9,565件・肯定7,941件)、『Sunless Skies: Sovereign Edition』(appid 596970、Metacritic 87、Very Positive、3,479件・肯定2,934件)。またストア検索で『Darkest Dungeon II』(appid 1940340)の登録を確認した。肯定率は当サイトが肯定件数÷総数で算出した(2026年9月16日確認)。 ↩
- [4] Steam公式ストアページおよびレビュー集計。『Darkest Dungeon®: The Crimson Court』(appid 580100、2017年6月19日配信、1,150円、Metacritic 82)、『同 The Shieldbreaker』(appid 702540、2017年10月26日配信、490円)、『同 The Color Of Madness』(appid 735730、2018年6月19日配信、610円)、『同 The Fire’s Edge』(appid 4964110、2026年8月18日配信、800円)、『Darkest Dungeon® II』(appid 1940340、2023年5月8日配信、4,600円、Metacritic 81、Mostly Positive、26,963件・肯定20,121件)。『The Color Of Madness』の紹介文「Some hateful shard of alien origin has streaked through the night sky, crashing into the old Miller’s farm on the outskirts of the Hamlet! Those unfortunate enough to witness the Comet’s arrival have been blinded by what they can only describe as a shifting, ephemeral hue of damnably abrasive intensity.」および追加要素(New region: The Farmstead / Endless Quest / Comet Shards で取引する宝飾師 / 新しい敵勢力)を確認した。肯定率は当サイトが算出した(2026年9月16日確認)。 ↩


