概要
『Call of Cthulhu: Dark Corners of the Earth』は、一人称視点のホラーゲームである。Steam公式ストアページによれば、開発は Headfirst Productions、発売元は Bethesda Softworks、Steam版の配信開始は 2009年6月16日[1]。
公式紹介文は、本作をこう説明する[1]。
Call of Cthulhu: Dark Corners of the Earth is a first-person horror game that combines intense action and adventure elements. You will draw upon your skills in exploration, investigation, and combat while faced with the seemingly impossible task of battling evil incarnate. (『Call of Cthulhu: Dark Corners of the Earth』は、激しいアクションとアドベンチャーの要素を組み合わせた一人称ホラーゲームである。探索・調査・戦闘の技能を使い、受肉した悪と戦うという、ほとんど不可能に見える課題に立ち向かう)
「Call of Cthulhu」を題に冠したビデオゲームとしては、2018年のCyanide Studio版より前の世代にあたる。
基本情報
Steam公式ストアページの記載による[1]。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開発 | Headfirst Productions |
| 発売元 | Bethesda Softworks |
| Steam版配信 | 2009年6月16日 |
| 対応プラットフォーム | Windows |
| 対応言語 | 日本語なし |
| 価格(Steam日本) | 550円 |
| 公式サイト | callofcthulhu.com |
| Metacritic | 76 |
日本語に対応していない[1]。
公式が挙げる特徴
Steam公式紹介文の「Key features」は、次のとおりである[1]。
- 静かな町から異星的な場所まで、多様な舞台。深きものの都市(Deep One City) を含む
- 動的な正気度システム。幻覚、パニック発作、めまい、被害妄想などを引き起こす
- 雰囲気のある照明と動的な影を伴う、緻密なリアルタイムグラフィック
- 戦闘と探索に加えてパズルを解く、知的なゲームプレイ
- 1920年代の武器と乗り物、そして邪悪な遺物と異星の技術
- ラヴクラフトの有名な怪物と場所
クトゥルフ神話との関係
「動的な正気度システム」を前面に出した
本作の特徴としてもっとも知られているのが、公式が 「Dynamic Sanity system」 と呼ぶ仕組みである[1]。
公式が挙げる症状は具体的である——幻覚、パニック発作、めまい、被害妄想[1]。数値が減るだけでなく、画面と操作のほうが変質する設計になっている。
TRPG『クトゥルフの呼び声』が1981年に持ち込んだ正気度の発想を、一人称の映像で表現した早い例にあたる。
後年の作品と並べると、扱い方の違いが見える。
| 作品 | 正気・狂気の扱い |
|---|---|
| Dark Corners of the Earth | 幻覚・パニック発作・めまい・被害妄想として現れる[1] |
| Stygian | 減ると選択肢が増える(分岐)[2] |
| Forgive Me Father | 上がると力が増す(強化)[2] |
| Darkest Dungeon | 「ストレス」として管理する[2] |
本作のものがもっとも直接的である。知覚そのものを壊す方向に振っている。
深きものの都市
公式が舞台の例として挙げる「Deep One City」は、深きものの都市である[1]。ラヴクラフト原典において深きものは海の底に都市を持つ存在で、本作はそこを実際に歩ける場所として作った。
公式が「ラヴクラフトの有名な怪物と場所」と書いているとおり[1]、本作は固有名を避けずに正面から使う方針を取っている。この点は、名前を出さない『DREDGE』や『Darkest Dungeon』とは対照的である[2]。
原作を日本語で読むには
本作の舞台となる漁港の町と深きものの設定は、ラヴクラフト「インスマスを覆う影」(The Shadow over Innsmouth、1936年)に由来する。本作自体は日本語に対応していないが[1]、原作のほうは日本語で読める。
国立国会図書館の書誌から、収録のある主なものを挙げる[4]。
| 書名 | 版元・刊行 | ISBN |
|---|---|---|
| クトゥルー(第1巻ほか) | 青心社、1990年2月、大瀧啓裕訳 | 4-915333-66-3 |
| インスマス年代記 | 学習研究社、2001年11月、スティーヴン・ジョーンズ編・大瀧啓裕訳 | 4-05-900078-7 |
| クトゥルーの呼び声 | 星海社、2017年11月、森瀬繚 | 978-4-06-510769-0 |
『インスマス年代記』は、インスマスという土地を主題にしたアンソロジーである[4]。原作1本だけでなく、その後に書かれた同じ町を扱う作品まで通して読める。
ゲームを遊ぶ前に町の成り立ちを知っておきたいなら、こちらから入る手もある。詳しくは深きものの記事を参照してほしい。
層としてはどこか
当サイトの神話の三層でいえば、本作はTRPGによる拡張(第3層)を経由した翻案にあたる。題名がケイオシアムの卓上ゲームと同じであることが、その経路を示している。
動作環境が語ること
Steam公式ストアページに載る最低動作環境は、いまとなっては驚くほど軽い[1]。
OS: Windows XP/2000 / Processor: Pentium 3 800MHz / Memory: 128MB RAM / Graphics: DirectX 9.0 3D compliant Video Card / Hard Drive: 2.0GB
メモリ128MB。当サイトが調べた神話系タイトルの中で、これより軽いものはない[2]。近年の作品と比べると、要求の桁が違う。
| 作品 | 最低メモリ |
|---|---|
| Dark Corners of the Earth | 128MB |
| Sunless Sea | 1GB |
| 恐怖の世界 | 1GB |
| Stygian | 2GB |
| Call of Cthulhu (2018) | 8GB |
この数字が、本作がいつ作られたものかを物語っている。古い作品であるぶん、いまの機材ならほぼ確実に動く——ただし古いWindows向けに作られているため、現行環境での動作には別の難しさがありうる。
評価
数字は Steam公式のレビュー集計と、ストアページに載るMetacriticスコア による[1][3]。ここに書く以外の点数は当サイトでは扱わない。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| Steamのレビュー評価 | 賛否両論(Mixed) |
| レビュー総数 | 3,368件 |
| 肯定的 | 2,276件 |
| 否定的 | 1,092件 |
| Metacriticスコア | 76[1] |
肯定率は約68%である。
批評家の評価(76)とプレイヤーの評価(68%・賛否両論)が離れている。この型は『Stygian』(Metacritic 81・肯定率66%)と同じで、当サイトが調べた中ではこの2本が該当する[2]。
| 作品 | Steam評価 | 肯定率 | Metacritic |
|---|---|---|---|
| Stygian | 賛否両論 | 66% | 81 |
| Dark Corners of the Earth | 賛否両論 | 68% | 76 |
| Call of Cthulhu (2018) | やや好評 | 79% | 表示なし |
| Darkest Dungeon | 非常に好評 | 92% | 84 |
古い作品であるため、現行環境での動作の不安定さがプレイヤー評価に影響している可能性がある。ただしその点をSteam公式の資料から確認することはできないため、当サイトは数字の提示に留める。
どんな人に向くか
- 正気度の表現がどこから来たのかを、実際に触って確かめたい人
- 1920年代の武器と乗り物、そして深きものの都市を歩きたい人
- 英語が読めることが前提になる[1]
- 逆に、現行の作品と同じ快適さを期待するなら注意が必要。Steamのレビュー評価は「賛否両論」である[3]
日本語で遊べる神話ゲームなら『Call of Cthulhu』(2018)や『恐怖の世界』がある。全体の見取り図はクトゥルフ神話ゲーム総覧にまとめてある。
関連記事
- Call of Cthulhu(ビデオゲーム) — 同じ題名を冠する2018年の作品
- 正気度(SAN) — 本作が「動的な正気度システム」として実装した概念
- 深きもの — 本作が都市として描く存在
- クトゥルフ神話ゲーム総覧
出典
- [1] Steam公式ストアページ『Call of Cthulhu®: Dark Corners of the Earth』(appid 22340、該当ページ)。Steam公式のappdetails API(
store.steampowered.com/api/appdetails?appids=22340&l=japanese&cc=jp)で取得した内容を確認した。開発 Headfirst Productions、発売元 Bethesda Softworks、Steam版配信2009年6月16日、対応プラットフォーム Windows、対応言語に日本語を含まない、Steam日本価格550円、公式サイト callofcthulhu.com。紹介文の「Call of Cthulhu: Dark Corners of the Earth is a first-person horror game that combines intense action and adventure elements.」および Key features の「Diverse array of levels from quaint towns to alien locations, including Deep One City」「Dynamic Sanity system resulting in hallucinations, panic attacks, vertigo, paranoia, and more!」「Incredibly detailed real-time graphics with atmospheric lighting and dynamic shadows」「Intelligent gameplay involving puzzle solving as well as combat and exploration」「1920s weaponry and vehicles as well as evil artifacts and alien technology」「Lovecraft’s famous monsters and locations」、最低動作環境「OS: Windows XP/2000 / Processor: Pentium 3 800Mhz / Memory: 128MB RAM / Graphics: DirectX 9.0 3D compliant Video Card / Hard Drive: 2.0 GB」。Metacriticスコア76(2026年9月16日確認)。 ↩ - [2] Steam公式ストアページおよびレビュー集計。『Stygian: Reign of the Old Ones』(appid 779290、Metacritic 81、Mixed、2,524件・肯定1,675件、最低メモリ2GB)、『Forgive Me Father』(appid 1590910、Metacritic 74、Very Positive、6,080件・肯定5,095件)、『Darkest Dungeon』(appid 262060、Metacritic 84、Very Positive、162,456件・肯定148,895件)、『Call of Cthulhu』(appid 399810、Mostly Positive、13,917件・肯定11,029件、最低メモリ8GB)、『Sunless Sea』(appid 304650、最低メモリ1GB)、『恐怖の世界/WORLD OF HORROR』(appid 913740、最低メモリ1GB)、『DREDGE』(appid 1562430)。肯定率は当サイトが肯定件数÷総数で算出した(2026年9月16日確認)。 ↩
- [3] Steam公式のレビュー集計API(
store.steampowered.com/appreviews/22340?json=1&language=all&purchase_type=all)。レビュー評価「Mixed」、総数3,368件(肯定2,276件/否定1,092件)(2026年9月16日確認)。 ↩ - [4] 国立国会図書館サーチの書誌。『クトゥルー』(青心社、1990年2月、ISBN 4-915333-66-3、H・P・ラヴクラフト著・大瀧啓裕訳、該当ページ)、『インスマス年代記』(学習研究社、2001年11月、ISBN 4-05-900078-7、スティーヴン・ジョーンズ編・大瀧啓裕訳、該当ページ)、『クトゥルーの呼び声』(星海社、2017年11月、ISBN 978-4-06-510769-0、該当ページ)。いずれも書名「インスマスを覆う影」での検索でヒットした書誌である(2026年9月16日確認)。 ↩

