旧支配者 — SHUDDE-MELL

シュド=メル

ダーレス以降

地下深部を掘り進む巨大な頭足類状の怪物。クトーニアンたちの至高の長。

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シュド=メル

「体長1マイルを超える、イモムシまたはミミズに似た肥大した肉体」

— ブライアン・ラムレイ「地を穿つ魔」(1974年)
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編集部注(層の区分と裏づけの範囲): シュド=メルは、H・P・ラヴクラフト本人の作品には登場しない。ラヴクラフト公式サイトが公開する作品一覧にも、この名も『The Burrowers Beneath』も見当たらない[3]。当サイトの三層区分はラヴクラフトの死(1937年)より前の発表か後かで分けており、初出は1974年なので、本記事は拡張神話(ダーレス以降)として扱う[1]。

裏づけの範囲を先に書く。ラムレイ作品の本文を当サイトは照合していない。著作権の存続する作品で、公開されたスキャンも見つからなかった。誰がいつどこに発表したかという書誌事実は書誌データベースの記録で確認して断定的に記し[1][2][4]、姿・能力・目的といった設定は「とされる」と断って区別する。原文からの引用は行わない。

概要

シュド=メルは、ブライアン・ラムレイが長編『The Burrowers Beneath(地を穿つ魔)』で生み出した旧支配者である。地底種族クトーニアンの王にして祖とされ、体長1マイル(約1.6キロメートル)を超える巨躯を持つと伝えられる[5]。

この神格が持ち込んだのは、地震や火山を「誰かの営みの副産物」として読み替える発想である。地殻変動という誰もが知る現象の裏に、地底を回遊する知的な巨大生命体を置く。恐怖の材料を宇宙の彼方ではなく、足元に求めた点が特徴といえる。

項目 内容
分類 旧支配者(当サイトの神格分類による整理)[5]
欧文表記 SHUDDE-MELL
初出 長編『The Burrowers Beneath』(ブライアン・ラムレイ、DAW Books、1974年2月)[1]
三層区分 拡張神話(ダーレス以降)。基準は1937年より後の発表であること
連作上の位置 「タイタス・クロウ」シリーズ第1作[1][2]
象徴するテーマ 地震、地下空洞、地底の主、進行する侵食
異称 地を穿つもの、大穿孔者

初出作品

初出は長編『The Burrowers Beneath』で、発表は1974年2月。版元はDAW Books、叢書はDAW Collectorsの第91番で、「タイタス・クロウ」シリーズの第1作にあたる[1]。同月にカナダのNew American Library of Canada版も出ており、ドイツ語版『Die Herrschaft der Monster』(Pabel、Vampir Taschenbuch叢書第29番、1975年12月9日)も記録されている[1]。

同題の短編が長編に先立っている。書誌データベースには、同じ「The Burrowers Beneath」という題の短編が1972年3月の作品として別に登録されており、掲載先はミード&ペニー・フリアソン夫妻が編んだファンジン『HPL』である[4]。当サイトはいずれの本文も照合していないため、この短編にシュド=メルが登場するかどうかは確認していない。

連作の全体像は次のとおりである[2]。

# 原題 発表
1 The Burrowers Beneath 1974年2月
2 The Transition of Titus Crow 1975年5月
3 The Clock of Dreams 1978年
4 Spawn of the Winds 1978年
5 In the Moons of Borea 1979年
6 Elysia: The Coming of Cthulhu 1989年

連作はここから15年にわたって続き、全6作となった[2]。最終巻『Elysia: The Coming of Cthulhu』(1989年)の題に冠されたエリュシアは、クタニドが旧神を率いる拠点とされる地である[2]。第1作で敵側の主として現れたシュド=メルに対し、味方側の神格が後から用意されていったという構図になる。

ラヴクラフト公式サイトの作品一覧に、シュド=メルの名も本作も含まれない[3]。

名の扱いについて一言。神格名そのものは、書誌データベースでは裏が取れない。書誌に載るのは作品名・著者・刊行年であって、作中に出てくる固有名詞ではないからである。本記事で断定できているのはどの本のどの作品に由来するかまでで[1]、「シュド=メル」という綴りや読みの揺れについては、当サイトは確認していない[5]。邦題「地を穿つ魔」が長編 The Burrowers Beneath を指すことも、書誌の側からは確かめられない——この対応関係は二次資料によるものである[5]。

この線引きは、出典を付け直す作業の全体に関わる。書誌で押さえられるのは器であって、中身ではない。本文を照合できない以上、姿も能力も系譜も「とされる」と書くほかない。当サイトが脚注[5]を各所に置いているのは、その境目を読者にも見えるようにするためである。

原典での描写

原典に、シュド=メルの記述は存在しない。ラヴクラフト本人の作品にこの名が登場したことはなく、これに類する地底の巨大生命体への言及も見当たらない[3]。1974年の発表は、ラヴクラフトの没後37年にあたる[1]。

ダーレス以降の変化

創造したのはオーガスト・ダーレスではなく、ブライアン・ラムレイである。以下の設定は、いずれも当サイトが本文を照合していない[5]。

  • 姿と規模。体長1マイルを超える、イモムシまたはミミズに似た肥大した肉体を持つとされる。頭部には無数の長い触手があり、対象をつかんで操る。口からは岩石を溶かし砕く強力な酸を分泌し、地殻さえ侵食するという
  • 地震・火山との関係。地底を移動する巨体が地盤に莫大な圧力をかけ、規則的な地震や微小な地震群を引き起こすとされる。活動が活発になれば火山を誘発する可能性もあるという。人間が自然災害と認識してきた地殻変動の一部を、地底の主権者の営みの副産物として描いている
  • クトーニアンとの関係。クトーニアンはシュド=メルを王にして祖とする一族で、強力なテレパシーの網で結ばれているとされる。シュド=メルはその中枢として全種族を統べるという
  • 目的。地球の核に近いマントル内を回遊し、地下に幽閉された仲間の旧支配者たちの解放を目指して活動しているとされる。古代の地下都市の遺跡をたどり、かつての栄光を取り戻そうとしているとも語られるが、この点は元の資料でも推測の域を出ない

種族と王を分けて立てた点は、ラムレイの体系の作り方をよく示している。クトーニアンという「群れ」を出したうえで、その頂点に個体名を持つ神格を置く。敵の規模を種族単位に広げつつ、倒すべき相手を一体に絞れる——冒険活劇として成立させるための設計だといえる。ただしこの読み方は当サイトの整理であって、作者の言明に基づくものではない[5]。

シュド=メルという名について。この神格は、当サイトが扱ってきた同時代の神格の中でも、名づけの経緯がはっきりしている方である。バグ=シャッシュのように他人の作品から引き取ったのでも、ムランドスとムリル・ソリオンのように出所を辿れないのでもなく、一人の作家が一作で種族と王をまとめて設計している[1][5]。拡張神話の神格は成立の経緯がまちまちだが、シュド=メルはもっとも単純な型にあたる。

TRPGでの扱い

クトゥルフ神話TRPGにおけるシュド=メルの具体的な設定は、当サイトでは確認していない。上表の「旧支配者」という区分も、当サイトの神格分類による整理であって、TRPG資料に基づくものではない。

登場作品一覧

作品 年 作者 確認の状態
The Burrowers Beneath(短編) 1972年3月 ブライアン・ラムレイ ファンジン『HPL』所収。同題だが、シュド=メルの登場は未照合[4]
The Burrowers Beneath(長編『地を穿つ魔』) 1974年2月 ブライアン・ラムレイ 初出とされる。書誌は確認済み、本文は未照合[1]
タイタス・クロウ連作(全6作) 1974〜1989年 ブライアン・ラムレイ 第1作から始まる連作[2]

関連神格・地域・書物

神格・種族

人物

分類の考え方

参考文献

  • [1] 書誌データベースISFDB「The Burrowers Beneath」Title Record #10250(該当ページ)。著者ブライアン・ラムレイ、1974年2月、種別NOVEL、シリーズ「Titus Crow」第1作。収録一覧でDAW Books(DAW Collectors #91、1974年2月)、DAW Books / New American Library of Canada版(同月)、ドイツ語版『Die Herrschaft der Monster』(Pabel、Vampir Taschenbuch #29、1975年12月9日)を確認した。ISFDBは利用者が編集する書誌データベースであり、当サイトでは刊行年・版元といった書誌事実に限って用いる。作中の描写の裏づけには使っていない。
  • [2] 書誌データベースISFDB、シリーズ記録「Titus Crow」Series Record #5174(該当ページ)。上位シリーズは「Cthulhu Mythos」。全6作(The Burrowers Beneath 1974年/The Transition of Titus Crow 1975年/The Clock of Dreams 1978年/Spawn of the Winds 1978年/In the Moons of Borea 1979年/Elysia: The Coming of Cthulhu 1989年)を確認した(2026年9月15日確認)。
  • [3] ラヴクラフト公式サイト hplovecraft.com の作品一覧(該当ページ)。シュド=メルの名も『The Burrowers Beneath』も含まれないことを確認した(2026年9月15日確認)。
  • [4] 書誌データベースISFDB「The Burrowers Beneath」Title Record #1454503(該当ページ)。著者ブライアン・ラムレイ、1972年3月、種別SHORTFICTION。掲載はファンジン『HPL』(編Meade Frierson、Penny Frierson)。長編と同題だが別のタイトルレコードであり、内容の異同を当サイトは確認していない。
  • [5] 姿・規模・地震との関係・クトーニアンの統率・目的についての記述は、当サイトが収集した二次的な要約に基づく。ラムレイ作品の本文は照合していない。著作権の存続する作品で、公開されたスキャンは見つからなかった。本文を照合できる資料が得られた時点で書き直す。

FAQ

Q. シュド=メルはラヴクラフトが生み出した神格ですか。 A. いいえ。ブライアン・ラムレイが1974年2月の長編『The Burrowers Beneath』で登場させた旧支配者です[1]。ラヴクラフト公式サイトの作品一覧にも、神格名・作品名とも含まれていません[3]。

Q. シュド=メルとクトーニアンはどういう関係ですか。 A. クトーニアンは地底に生息する種族で、シュド=メルはその王にして祖とされます[5]。種族全体がテレパシーの網で結ばれ、その中枢にシュド=メルがいるという設定です。当サイトは本文でこれを確認していません。

Q. 地震を起こすというのは、どういう設定ですか。 A. 地底を移動する巨体が地盤に圧力をかけ、規則的な地震や微小な地震群を生むとされます[5]。自然災害として説明されてきた現象を、地底の主の営みの副産物として読み替える構えです。

Q. なぜ地底なのですか。 A. 恐怖の置き場所を足元に移したためだと読めます。ラヴクラフトの原典が宇宙や異次元に恐怖を置いたのに対し、シュド=メルは地殻の下を回遊し、その動きが地震として観測されるという設定です[5]。誰もが知る現象の裏に主を置く構えで、クトーニアンの記事でも同じ点に触れています。ただしこの読み方は当サイトの整理で、作者の言明に基づくものではありません。

Q. 初出は1974年の長編で確定ですか。 A. 長編の書誌は確定しています[1]。ただし同じ題の短編が1972年3月にファンジン『HPL』へ出ており[4]、そちらにシュド=メルが登場するかどうかを当サイトは確認していません。この点は未確定として扱っています。

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