概要
『The Sinking City』は、水に沈みつつある都市を舞台にしたオープンワールドの捜査アドベンチャーである。Steam公式ストアページによれば、開発・発売元はともに Frogwares[1]。
公式紹介文は、本作をこう説明する[1]。
『The Sinking City』は、ホラーの巨匠H・P・ラヴクラフトの作品群にインスパイアされたオープンワールドを舞台にした、アドベンチャー&捜査ゲームです。半ば沈んだ都市 オークモント を襲う超自然的な力。あなたは私立探偵として、都市を覆っているものの正体と、住人たちの心の中の真実を突き止めなければなりません。
神話を題材にしたオープンワールドは少ない。当サイトが調べた範囲では、ほかの作品はいずれも区切られた舞台——基地、屋敷、ダンジョン、海域——を採っている[2]。
基本情報
Steam公式ストアページの記載による[1]。現在配信されているのは The Sinking City Remastered である。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開発・発売元 | Frogwares |
| Steam版の配信日表示 | 2021年2月26日 |
| ジャンル | アクション / アドベンチャー |
| 対応プラットフォーム | Windows |
| 対応言語 | 日本語あり |
| Steam実績 | 28 |
| 価格(Steam日本) | 1,059円 |
| Metacritic | 71 |
日本語に対応している[1]。
リマスターで何が変わったか
公式が「リマスターのハイライト」として挙げるのは、次の項目である[1]。
- Lumenグローバルイルミネーションとレイトレーシング
- 4Kテクスチャと追加された環境ディテール
- FSR、DLSS、フレーム生成への対応
- HDR、フォトモード
- 操作、戦闘、ゲームバランス、NPCの群衆、チュートリアルの改善
公式は冒頭で「Unreal Engine 5によるリマスターで不気味な雰囲気に命が吹き込まれ、ビジュアルもさらに洗練されて機能も強化されています」と書く[1]。
絵だけでなく、操作・戦闘・バランスにも手が入っていると明記されている点は、購入判断に関わる[1]。
クトゥルフ神話との関係
私立探偵という立場
本作の主人公は 私立探偵 である[1]。この配置は、2018年の『Call of Cthulhu』(私立探偵ピアース)と共通する[2]。
調べることが職業である人物を置く——神話を扱うゲームがよく採る形である。知ってはいけないものに近づく理由を、動機の側で説明しなくて済むからである。
水没する都市
公式が挙げる探索手段は「徒歩で、船で、あるいはダイビングスーツで」である[1]。街が水に浸かっているため、移動そのものが立体的になる。
水没した街、深海、そして人の姿をしていないもの——これらはラヴクラフト原典が繰り返し扱った領域である。当サイトの深きものの記事で扱う主題と重なる。
正気を保つ
公式が挙げるゲームの軸のひとつに、「狂気の奥に隠された真実を解き明かすため、正気を保ちましょう」 がある[1]。
TRPG『クトゥルフの呼び声』以来の正気度の発想が、ここでも使われている。
Frogwaresという探偵ゲームの作り手
本作の開発元Frogwaresは、神話ゲームを単発で作った会社ではない。Steam公式ストアページで確認できるだけでも、シャーロック・ホームズものを継続して作っている[4]。
| 作品 | 開発・発売元 | 配信 | Metacritic |
|---|---|---|---|
| Sherlock Holmes Chapter One | Frogwares | 2021年11月15日 | 77 |
| Sherlock Holmes The Awakened | Frogwares | 2023年4月11日 | 表示なし |
| The Sinking City(本作) | Frogwares | — | 71 |
| The Sinking City 2 | Frogwares | 2026年8月18日 | 表示なし |
注目すべきは『Sherlock Holmes The Awakened』である。Steam公式の紹介文はこう書く[4]。
心を蝕む ラヴクラフト的冒険 の体験が、現代グラフィックとゲームプレイで蘇る。シャーロック・ホームズとなって恐ろしい クトゥルフ神話の世界 に飛び込み、ヨーロッパとアメリカで巻き起こる失踪事件を捜査しよう。
同じ開発元が、ホームズを神話の世界へ送り込む作品も作っている[4]。本作の主人公が私立探偵であることは、この会社にとって自然な選択だったことになる。
捜査の技法と宇宙的恐怖は、相性がよい。手がかりを集めて推論を組み立てる過程が、そのまま「知ってはいけないことに近づく過程」になるからである。Frogwaresの作品群は、その相性を繰り返し試している。
層としてはどこか
当サイトの神話の三層でいえば、本作は原典(第1層)でも拡張(第2層)でもない、2010年代以降のゲームによる翻案にあたる。公式が使う表現も「ラヴクラフトの作品群にインスパイアされた」であって、特定の作品の翻案ではない[1]。
遊びの設計
公式が挙げる「ゲームの軸」は、次のとおりである[1]。
- H・P・ラヴクラフトの世界にインスパイアされた重苦しい雰囲気とストーリー
- 徒歩で、船で、あるいはダイビングスーツで探検できる広大なオープンワールド
- オープンな捜査システム。それぞれの事件の解決方法はいくつもあり、行動によってエンディングが変化する
- 悪夢のような怪物を倒すための、1920年代のさまざまな武器
- 狂気の奥に隠された真実を解き明かすため、正気を保つ
「解決方法がいくつもある」という設計が、本作を単線の物語から分けている[1]。捜査の結論をプレイヤーが決める形になっている。
動作環境は重い
最低動作環境は、Windows 10 Pro 64bit、Intel Core i7-7700(3.60GHz)、メモリ16GB、GeForce GTX 1070 Ti、DirectX 12、ストレージ50GB[1]。
当サイトが調べた神話系タイトルの中で、最も要求が高い[2]。
| 作品 | 最低メモリ | ストレージ |
|---|---|---|
| The Sinking City Remastered | 16GB | 50GB |
| Call of Cthulhu (2018) | 8GB | — |
| Moons of Madness | 4GB | 15GB |
| Conarium | 6GB | 8GB |
| 恐怖の世界 | 1GB | 500MB |
Unreal Engine 5によるリマスターであることが、この数字に出ている[1]。遊ぶ前に手元の機材を確認したほうがよい。
評価
数字は Steam公式のレビュー集計と、ストアページに載るMetacriticスコア による[1][3]。ここに書く以外の点数は当サイトでは扱わない。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| Steamのレビュー評価 | やや好評(Mostly Positive) |
| レビュー総数 | 5,695件 |
| 肯定的 | 4,294件 |
| 否定的 | 1,401件 |
| Metacriticスコア | 71[1] |
肯定率は約75%である。
| 作品 | Steam評価 | 肯定率 | Metacritic |
|---|---|---|---|
| The Sinking City 2 | 非常に好評 | 83% | 表示なし |
| Call of Cthulhu (2018) | やや好評 | 79% | 表示なし |
| Conarium | やや好評 | 77% | 71 |
| The Sinking City | やや好評 | 75% | 71 |
| Dark Corners of the Earth | 賛否両論 | 68% | 76 |
続編のほうが高い評価を得ている[2]。詳しくは『The Sinking City 2』の記事を参照してほしい。
どんな人に向くか
- 日本語で遊べる神話系オープンワールドを探している人[1]
- 事件の解き方を自分で決めたい人。公式が「解決方法はいくつもある」と明記している[1]
- 1920年代の街を歩き回りたい人
- 逆に、動作環境の要求が高い。メモリ16GB・ストレージ50GBが最低要件である[1]
より軽い神話ゲームなら『恐怖の世界』や『Cultist Simulator』がある。全体の見取り図はクトゥルフ神話ゲーム総覧にまとめてある。
関連記事
- The Sinking City 2 — 同じ開発元による続編。舞台はアーカムへ移る
- 深きもの — 水没した街と海の存在
- 正気度(SAN) — 公式が軸に挙げる概念
- クトゥルフ神話ゲーム総覧
出典
- [1] Steam公式ストアページ『The Sinking City Remastered』(appid 750130、該当ページ)。Steam公式のappdetails API(
store.steampowered.com/api/appdetails?appids=750130&l=japanese&cc=jp)で取得した内容を確認した。開発・発売元 Frogwares、ストアページの配信日表示2021年2月26日、ジャンル「アクション/アドベンチャー」、対応プラットフォーム Windows、対応言語に日本語を含む、Steam実績28、Steam日本価格1,059円。紹介文の「『The Sinking City』のラヴクラフトの宇宙的恐怖を新たな視点から体験しましょう。Unreal Engine 5によるリマスターで不気味な雰囲気に命が吹き込まれ、ビジュアルもさらに洗練されて機能も強化されています」「リマスターのハイライト:Lumenグローバル イルミネーションとレイトレーシング/4Kテクスチャと追加された環境ディテール/FSR、DLSS、フレーム生成対応/HDR、フォトモード/操作、戦闘、ゲームバランス、NPCの群衆、チュートリアルの改善」「半ば沈んだ都市オークモントを襲う超自然的な力。あなたは私立探偵として〜」「徒歩で、船で、あるいはダイビングスーツで探検できる広大なオープンワールド」「オープンな捜査システムにより、何度でもプレイが楽しめます。それぞれの事件の解決方法はいくつもあり、行動によってエンディングが変化します」「狂気の奥に隠された真実を解き明かすため、正気を保ちましょう」、および最低動作環境(Windows 10 Pro 64-bit / Intel Core i7-7700, 3.60GHz / 16 GB RAM / NVIDIA GeForce GTX 1070 Ti / DirectX 12 / 50 GB)。Metacriticスコア71(2026年9月16日確認)。 ↩ - [2] Steam公式ストアページおよびレビュー集計。『The Sinking City 2』(appid 2825860、Very Positive、1,725件・肯定1,427件、Metacritic表示なし)、『Call of Cthulhu』(appid 399810、Mostly Positive、13,917件・肯定11,029件、最低メモリ8GB)、『Conarium』(appid 313780、Metacritic 71、Mostly Positive、2,275件・肯定1,750件、最低メモリ6GB・ストレージ8GB)、『Call of Cthulhu®: Dark Corners of the Earth』(appid 22340、Metacritic 76、Mixed、3,368件・肯定2,276件)、『Moons of Madness』(appid 1012840、最低メモリ4GB・ストレージ15GB)、『恐怖の世界/WORLD OF HORROR』(appid 913740、最低メモリ1GB・ストレージ500MB)。肯定率は当サイトが肯定件数÷総数で算出した(2026年9月16日確認)。 ↩
- [3] Steam公式のレビュー集計API(
store.steampowered.com/appreviews/750130?json=1&language=all&purchase_type=all)。レビュー評価「Mostly Positive」、総数5,695件(肯定4,294件/否定1,401件)(2026年9月16日確認)。 ↩ - [4] Steam公式ストアページ。『Sherlock Holmes Chapter One』(appid 1137300、開発・発売元 Frogwares、配信2021年11月15日、日本語対応あり、Metacritic 77)、『Sherlock Holmes The Awakened』(appid 1949030、開発・発売元 Frogwares、配信2023年4月11日、日本語対応あり、Metacritic表示なし)。後者の紹介文「心を蝕むラヴクラフト的冒険の体験が、現代グラフィックとゲームプレイで蘇る。シャーロック・ホームズとなって恐ろしいクトゥルフ神話の世界に飛び込み、ヨーロッパとアメリカで巻き起こる失踪事件を捜査しよう。」を確認した(2026年9月16日確認)。 ↩



