年間ふりかえり — Cthulhu Mythos 2026: A Year in Review

クトゥルフ神話 2026年——ゲーム・TRPG・出版・イベントの一年

2026年に発売・発表・開催されたクトゥルフ神話関連のゲーム・TRPG公式コンテンツ・出版・イベント・映像化を、確認できた事実だけで横断的にまとめる。「配信スケジュール」ではなく、実際に起きたことの記録である。

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このページについて

2026年にクトゥルフ神話関連で起きた出来事を、ゲーム・TRPG公式コンテンツ・出版・イベント・映像化の5分野に分けてまとめたページである。

もともとの企画は「今後の配信スケジュールをまとめる」というものだった。しかし実際に公式情報源(版元・開発元の公式サイト、プレスリリース)だけを当たった結果、事前に日付が公表されている「これから先の予定」はごくわずかしか見つからなかった。TRPGの公式サイトは基本的に「発生した後」に告知するスタイルで、事前のスケジュール表を出していない。ゲームも大半は発売日未定のまま「開発中」と告知されるだけである。

そこで方針を変え、2026年に実際に発売・発表・開催されたことが公式情報で確認できたものを、時系列でふりかえる記事にした。個人のTRPGリプレイ配信(YouTube・ニコニコ動画)は、そもそも事前スケジュールが存在せず、出典として使える編集体制のあるメディアでもないため対象外にしている。

2026年を一目で見る

時期分野できごと
4月16日ゲームCthulhu: The Cosmic Abyss発売
5月29日TRPG公式『新クトゥルフ神話TRPG クトゥルフ2026』発売
7月9日TRPG公式新クトゥルフ神話TRPGシナリオコンテスト2025 受賞作品公開
7月TRPG公式Chaosium『Call of Cthulhu: Innsmouth』刊行
7月15日ゲームThe Mound: Omen of Cthulhu発売
7月16日TRPG公式新作シナリオ『終末セッションを君と。』リリース
8月13〜16日イベントNecronomiCon Providence 2026開催(会期終了)
8月14日イベントChaosium Con US 2027開催発表(2027年4月)
8月19日ゲーム『忘却前夜』(Morimens)サービス1周年
8月予定TRPG公式Cohors Cthulhu: Tactics出荷開始予定
9月4日TRPG公式/イベントDragon ConでCampfire TalesActual Play実演
9月4日〜イベントMiskatonic Repository Con 2026(7回目)Keeper登録開始
9月9日ゲームCosmic Fear発売予定
10月13日出版『幻想大事典』全3巻(国書刊行会)発売予定
未定映像化Crouch End(Prime Video全6話)制作決定
年末予定ゲームCthulhu Mythos Adventures 西洋版発売予定

ゲーム

2026年は、コンシューマ・PC向けのラヴクラフト的ホラーゲームが相次いで発売された年だった。

4月16日、Big Bad Wolf開発・Nacon発売の『Cthulhu: The Cosmic Abyss』がPC・PS5・Xbox Series向けに発売された。オカルト捜査官として謎を追う、選択によって展開が分岐する一人称の調査ホラーである。

7月15日には、チリのACE Team開発・Nacon発売の『The Mound: Omen of Cthulhu』が発売された。ラヴクラフトの中編小説「The Mound」を下敷きに、最大4人の協力プレイに対応したサバイバルホラーへと再構成した作品である。

9月9日には、イタリアの一人開発者Alessandro Guzzoによる『Cosmic Fear』がSteamで発売予定として公開された。2017年の『The Land of Pain』、2021年の『The Alien Cube』に続く三部作の完結編にあたる。

日本国内では、オルトプラスのカードRPG『忘却前夜』(グローバル版『Morimens』)が8月19日にサービス開始1周年を迎え、8月6日から10月15日まで記念キャンペーンを実施している。「銀の鍵」などラヴクラフト由来の語を宣伝文に用いている作品である。

年末には、visual novel/TRPGハイブリッド『Cthulhu Mythos Adventures』(『Lunatic Whispers』『The Isle Of Ubohoth』の2作)が、Nintendo Switch向けに西洋版として発売予定と報じられている。

TRPG公式コンテンツ

TRPGの本場である公式コンテンツ面では、日本(KADOKAWA)と英語圏(Chaosium、Modiphius、Cthulhu Eternal)の双方で動きがあった。

日本国内: 5月29日、『新クトゥルフ神話TRPG』の追加設定集『新クトゥルフ神話TRPG クトゥルフ2026』がKADOKAWAから発売された。現代日本を舞台にした職業サンプルや、狂気・プッシュといった新版ルールを活用するチップスを収録した、2020年版に続くソースブック第2弾である。7月16日には、キーパー不要・2人プレイに対応した新作シナリオ『終末セッションを君と。』がリリースされた。7月9日には、新クトゥルフ神話TRPGシナリオコンテスト2025の受賞作品が公開されている。

Chaosium(英語圏): 7月、Call of Cthulhu第7版の新サンドボックス資料集『Innsmouth』(272ページ)が刊行された。原典「インスマスの影」が名指しした21本の通りと5人の住民を、100か所以上の地点と80人以上のキャラクターへ展開した資料集である。Chaosiumのクリエイティブディレクター、マイク・メイソン氏はインタビューで、原典の語り手を「信頼できない語り手」として扱ってよいとする方針や、深きものどもに敵対以外の解釈を許す設計思想を明かしている。少年少女の「スカウト探索者」を主人公にできる新サプリメント『Campfire Tales』も2026年に刊行され、成人した探索者として他キャンペーンへ引き継ぐ成長ルールを備える。9月4日にアトランタで開催されるDragon ConでライブActual Playが実演される予定になっている。

その他の版元: Modiphius Entertainmentは、ローマ帝国を舞台にしたミニチュアウォーゲーム『Cohors Cthulhu: Tactics』を展開している。商品ページには「出荷は2026年8月開始予定」と記載されているが、9月2日時点で改めて確認したところ同じ文言のまま更新されておらず、購入ページは在庫切れ(Sold out)の表示になっていた。実際に出荷が始まったかどうかは、この記述だけでは確認できない。208ページのルールブックは30.00ポンド。プレイヤーは探索者1人ではなく軍勢を操作し、クトゥルフ神話のカルトとソロまたは協力で戦う。まったく新しい世界観ではなく、既刊のRPGシリーズ「Cohors Cthulhu」(『Player’s Guide』『Gamesmaster’s Guide』ほか)と同じ世界観を、別のゲームシステムに移植した新展開にあたる。

Cthulhu Eternalは、オーストラリア植民地時代(1780〜1810年代)のシドニー・パラマタを舞台にした『Convicts & Cthulhu』用シナリオ集『Dark Days in Sydney Town』を公開している。実在した女子孤児院や初期入植地の埋葬地、1808年のラム酒反乱といった史実を神話ホラーの土台に据えた内容で、ラヴクラフトが生まれる80年以上前の時代を舞台にしている点が珍しい。

出版

TRPG関連書籍とは別に、国書刊行会から『幻想大事典』全3巻(石堂藍・著)が2026年10月13日発売予定として公式発表されている[1]。第1巻はB5判726ページ、定価22,000円(本体20,000円)。著者は季刊誌『幻想文学』を20年間編集した文芸評論家で、執筆に10年余りを費やし、原稿は7000枚、図版は900点に及ぶという。天使と悪魔の歴史、幻獣の歴史、分身・変身の歴史、夢の歴史など40のテーマで《幻想》の系譜を通読・拾い読みの両方に対応した構成でたどる内容だ。クトゥルフ神話に限定した専門書ではないが、幻想文学全般を扱う事典として神話関連のモチーフにも触れると見られる。第3巻には人名・書名・用語など約1万4千項目を収めた総合索引が付く。

イベント

2026年8月13日から16日、ラヴクラフトの故郷プロヴィデンスでNecronomiCon Providence 2026が開催された(会期は終了している)。2026年は代表作「クトゥルフの呼び声」執筆100周年にあたり、8月13日に声優アンドリュー・レマンの朗読と作曲家クリス・ボッツォーンの生演奏による「The Call of Cthulhu LIVE」、8月14日にTL Wiswellによる手描きガラス板(magic lantern)を使った幻灯上映、8月15日には「A Century of Cthulhu」と題した2本のパネル討論が組まれた。次回大会の日程は、本稿確認時点で公式サイトに告知が無い。

8月14日には、Chaosiumが公式コンベンション「Chaosium Con US 2027」の開催(2027年4月8〜11日)を発表し、バッジ販売とホテルブロック予約の受付を開始した。

9月4日には、Chaosium公認の同人シナリオ投稿プラットフォーム「Miskatonic Repository」だけを対象にしたオンラインコンベンション「Miskatonic Repository Con 2026」のKeeper向けゲーム登録が始まる。会期そのものは10月23日から25日までの3日間で、7回目にあたる。プレイヤー登録は9月25日開始、Discordを使った完全オンライン開催で参加費は無料である[2]。

映像化・メディアミックス

スティーヴン・キングの短編「クラウチ・エンド」——1980年のアンソロジー『New Tales of the Cthulhu Mythos』に収録された、キング自身によるクトゥルフ神話作品——が、Prime Videoで全6話のリミテッドシリーズ「Crouch End」として映像化されることが発表された。具体的な配信開始日は本稿確認時点で未発表である。

なお、アニメ化・劇場公開映画としての新規クトゥルフ神話作品化は、本稿の調査時点(2026年9月)では確認できていない。

この記事の範囲について

この記事は「今後の配信予定」を先読みして並べたものではない。公式サイト・プレスリリースで確認できた、実際に起きたか、確定した日付を伴って公式発表されたことだけを集めている。

以下は意図的に対象外にしている。

  • 個人によるTRPGリプレイ動画配信(YouTube・ニコニコ動画): 数千本規模で存在するが、大半は個人勢による不定期配信で、事前のスケジュール自体が存在しない。編集体制のあるメディアでもないため出典としても使えない。
  • 未確認の噂・非公式情報: 公式サイト・公式プレスリリース・信頼できる専門メディア以外の情報源(個人ブログ等)は使っていない。
  • 発売日未定の作品: このサイトが個別に監視している未発売ゲーム(Cthulhu Go Teaching、Penguin Colony、The Sinking City 2)は、本稿確認時点でいずれも発売日が未定のため一覧に含めていない。発売が確定次第、この記事を更新する。

関連する棚

出典

  • [1] 幻想大事典 第1巻 商品ページ(発売日2026/10/13、定価22,000円、判型B5判、ページ数726、ISBN 978-4-336-07890-2) — 国書刊行会公式サイト, https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336078902/ ↩
  • [2] Miskatonic Repository Con 2026 開催概要(7回目、会期2026年10月23日〜25日、Keeper登録9月4日開始、プレイヤー登録9月25日開始、Discordによるオンライン開催、参加費無料) — Miskatonic Repository Con 2026公式イベントページ, tabletop.events。日本の同人シナリオ文化との比較は当サイトの「Miskatonic Repository Con 2026」で扱っている ↩

その他の個別トピックの出典は、本文中でリンクした各記事のsource欄を参照。

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