| 疑問 | 回答の方向性 |
|---|---|
| SAN値とは | 探索者(プレイヤーキャラクター)が神話的な恐怖に耐える力を数値化した指標(Sanity Points)[2] |
| SANチェックとは | 神話的な存在や凄惨な光景に遭遇した際、現在のSAN値を目標値として行う1D100の判定[2] |
| 初期値 | 開始時のSAN値はPOW(意志力)と同じ値から始まる[4] |
| 一時的狂気 | 1回の正気度チェックで5点以上失うとINTロールが課され、出目がINT以下なら発症。1D10時間続く[3] |
| 不定の狂気 | 一時的狂気より重い状態として公式の探索者シートに専用欄がある。発症条件の詳細はキーパー・ルールブック側の記述[4] |
| 最大SAN | クトゥルフ神話技能が上がった分だけ、SAN値の上限が同じだけ下がる[5] |
本記事の数値と用語は、ケイオシアム社(Chaosium)が公式に無料公開している『Call of Cthulhu 7th Edition Quick-Start Rules』で確認できる範囲に限って記述しています。同書自身が「正気度と狂気の完全なルールはキーパー・ルールブックで説明される」と断っているとおり[4]、ここで扱えない細部は少なくありません。実際に遊ぶ際は、使用している版のルールブックの該当箇所を確認してください。

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概要
「クトゥルフ神話TRPGとは」で触れたとおり、SAN値(正気度、Sanity)はこのゲームの核心をなす仕組みです。ここでは正気度チェックがどう発動し、正気度を失うとどうなり、なぜクトゥルフ神話技能とトレードオフの関係にあるのかを、もう一段詳しく解説します。数値の細部は版によって異なるため、以下では第7版(Mike MasonとPaul Frickerの共同執筆[1])を基準にします。
正気度チェック(SANチェック)とは
探索者が人智を超えた神話的存在を目撃したり、凄惨な光景に遭遇したりすると、キーパーは正気度チェックを求めます。これはその探索者の現在のSAN値を目標値とする1D100の判定です[2]。開始時のSAN値はPOW(意志力)と同じ値ですが[4]、正気度チェックの目標値になるのは開始時の値ではなく、その時点で残っている現在値です[2]。
出目が現在SAN値以下なら失う量は少なく、上回るとより多く失います[2]。失う量は遭遇した対象ごとに「0/1D6」「2/1D10」のようにスラッシュ区切りで定められ、左が成功時、右が失敗時の損失です[2]。左の数字が0の対象もあり、その場合は成功すればSAN値を失いません[2]。具体的な数値は対象・シナリオによって異なるため、本記事では個別の数値を挙げません。
正気度チェックに失敗すると、恐怖に飲まれた探索者の次の行動をキーパーが一時的に決められます。悲鳴を上げる、動けなくなる、手にした銃の引き金を引いてしまう、といった反応です[2]。
一時的狂気——単発の大きな喪失で起きる
1回の正気度チェックで5点以上のSAN値を失うと、探索者は大きな精神的打撃を受けたものとして1D100を振ります。出目がINT(知性)以下だった場合、探索者は見たものの意味を完全に理解してしまい、1D10時間の一時的狂気に陥ります[3]。出目がINTを上回った場合は、心が恐怖を受け入れず、ひとまず正気を保ちます[3]。理解できてしまうほうが発症するという、直感に反する向きの判定です。
狂気に陥った探索者は「狂気の発作」を起こし、1D10を振って発作表を参照します[3]。キーパーは恐怖症やマニア(暗所恐怖症、窃盗癖など)をシートに書き加えたり、既存の背景設定を書き換えたりできます[3]。
一時的狂気の間、キーパーは探索者に幻覚を提示できます。目の前にいるのはゾンビなのか、小銭をせがむ浮浪者なのか——プレイヤーは「現実性チェック」として正気度チェックを申し出ることで確かめられますが、失敗すると幻覚を本物と信じ込み、狂気がさらに深まります[3]。
1D10時間が経過すると探索者は正気に戻り、それ以上は幻覚の影響を受けません。ただし、その間に書き換えられた背景や、獲得した恐怖症・マニアは残ります[3]。
不定の狂気——本記事で断定しない部分
一時的狂気より重い状態として「不定の狂気(Indefinite Insanity)」があります。公式の探索者シートには一時的狂気と並んで不定の狂気のチェック欄が設けられており、あわせて「Insane」欄に開始時SAN値の5分の1にあたる数値を記入するよう指示されています[4]。5分の1という数値が発症条件に関わることは、この欄の存在から読み取れます。
ただし、何を何日のうちにどれだけ失えば発症するのか、どれだけ続くのかという具体的な条件を、無料公開されているクイックスタート・ルールは記述していません。同書は正気度と狂気の完全なルールをキーパー・ルールブックに委ねると明記しています[4]。この記事では、公式資料で確認できない発症条件と持続期間を断定しません。 詳細はお使いのルールブックを参照してください。
クトゥルフ神話技能との関係——なぜ知るほど戻れなくなるのか
「クトゥルフ神話TRPGとは」でも触れたとおり、SAN値と対をなすのがクトゥルフ神話技能です。この技能が上がるほど探索者は神話の真相に近づけますが、引き換えにSAN値の上限(最大正気度)が同じ点数だけ下がります[5]。
クイックスタート・ルール収録のシナリオ「悪霊の家」には、この処理がそのまま出てきます。探索者が魔導書『イヴォンの書』を読み通すと、クトゥルフ神話技能が2%上がり、最大正気度が99から97へ、上がった分と同じだけ引き下げられます[5]。
失ったSAN値は治療や調査の完遂によって少しずつ回復しますが、その回復量が損失量を上回ることはめったになく、全体としては下降し続ける傾向にあります[3]。神話技能によって下がった上限は、その下降に天井を被せます。知識を得た探索者は、たとえ療養を重ねても、もう二度と元の正気には戻れません。「知ることの代償」というコズミック・ホラーの主題を、SAN値システムは加算と減算だけで成立させています。
数値は版によって異なる
正気度の初期値の算出、狂気の発症条件、SAN値減少表の個々の数値は版ごとに改訂されており、さらに版内でもサプリメントごとに個別の数値が追加されます。本記事が挙げた「5点以上」「1D10時間」「上限99」はいずれも第7版クイックスタート・ルールの記述です[2][3][4][5]。他の版を参照する場合は、必ずその版のルールブックで確認してください。
版そのものの違いについては「第6版と第7版はどう違う?」、キャラクター作成全般については「探索者の作り方」、判定そのものの仕組みについては「プッシュロールと成功度」を参照してください。
出典
- [1] 第7版は Mike Mason と Paul Fricker の共同執筆によるものと、クレジット頁に明記されている — Chaosium『Call of Cthulhu 7th Edition Quick-Start Rules』(CHA23131)クレジット頁, 公式無料PDF(2026年8月18日確認) ↩
- [2] 正気度チェックは現在のSAN値を目標値とする1D100判定で行う。出目が現在SAN値以下なら失う量は少なく(0のこともある)、上回るとより多く失う。損失は「0/1D6」「2/1D10」のようにスラッシュで表記され、左が成功時、右が失敗時にあたる。失敗した場合、恐怖に反応する探索者の次の行動をキーパーが決められる — 同書 p.12「SANITY (SAN)」, 公式無料PDF / 同内容はケイオシアム公式のCall of Cthulhu RPG Wikiにも掲載(2026年8月18日確認) ↩
- [3] 1回の正気度チェックで5点以上を失うと1D100を振り、出目がINT以下なら1D10時間の一時的狂気に陥る。INTを上回れば正気を保つ。狂気に陥ると1D10で狂気の発作表を参照し、キーパーは恐怖症・マニアの付与や背景の書き換えを行える。一時的狂気の間は幻覚が提示され、「現実性チェック」として正気度チェックを試みられるが、失敗すると幻覚を信じ込む。1D10時間の経過後は正気に戻るが、獲得した恐怖症・マニアと書き換えられた背景は残る。正気度の回復は治療や調査の完遂で少量ずつ進むものの、損失を上回ることはめったにない — 同書 p.12, 公式無料PDF / Call of Cthulhu RPG Wiki(2026年8月18日確認) ↩
- [4] 開始時SAN値はPOWと同じ値から始まり、探索者シートの「Insane」欄には開始時SAN値の5分の1を記入する。シート下部には一時的狂気・不定の狂気のチェック欄が並ぶ(同書 p.8)。正気度と狂気の完全なルールはキーパー・ルールブックで説明されると明記されている(同書 p.12) — 公式無料PDF(2026年8月18日確認) ↩
- [5] 収録シナリオ「悪霊の家」で『イヴォンの書』を読み通した探索者は、クトゥルフ神話技能を2%得ると同時に、最大正気度が同じ分だけ99から97へ引き下げられる — 同書 p.22, 公式無料PDF(2026年8月18日確認) ↩
