概要
ウボ=サスラは、クラーク・アシュトン・スミスが創造した外なる神で、クトゥルフ神話における「原初の生命」を象徴する存在である。短編「ウボ=サスラ」(1932年執筆/1933年発表)に描かれる、器官も形状も持たない原形質の塊であり、地球上のあらゆる生命はここから分裂・派生したとされる[1][2]。スミスの他の作品にも言及されることがあるとされるが、具体的な作品は現行の材料では特定できていない。
人間の生物学的起源を、冒涜的な混沌と結びつけて描いた点が特徴で、進化論以後の「原始的なものへの恐怖」を体現する神格だとする読み方がある。ただしこれは一つの解釈であり、原典自体がこの主題を明言しているわけではない。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 分類 | 外なる神(TRPG設定による分類) |
| 欧文表記 | UBBO-SATHLA |
| 創造者 | クラーク・アシュトン・スミス |
| 初出 | 「ウボ=サスラ」(1932年執筆/1933年『ウィアード・テイルズ』誌7月号発表) |
| 象徴するテーマ | 生命の起源、原形質、地質学的時間、退化 |
| 異称 | 原初のもの、泥の海、自存の源泉 |
| 棲息地 | 極北の地下深部。かつてのハイパーボレア文明からも接近不可能とされる洞窟 |
初出作品
ウボ=サスラを創造したのは、クラーク・アシュトン・スミスである。
初出は短編「ウボ=サスラ」(1932年執筆、1933年『ウィアード・テイルズ』誌7月号発表)。スミスの「ハイパーボレア・サイクル」に連なる作品で、後に作品集『Out of Space and Time』(1942年)に収録された[1]。
サイト内の作品解説記事「ウボ=サスラ(短編)」によれば、物語は骨董店で水晶球を手に入れた考古学者兼隠秘学の徒ポール・トレガーディスが、球を通じて過去の生を遡っていく幻視譚である。彼はやがて『エイボンの書』に記されたハイパーボレアの魔道士ゾン・メザマレックの生に至り、さらに時代を遡ってサーペント・メンの時代を経て、生命が姿を持つ以前の混沌へと沈み込んでいく。物語は、地上のあらゆる生命が最終的にウボ=サスラのもとへ帰っていくとする伝承を示しながら幕を閉じる。当サイトで掲載誌スキャンの本文を確認した範囲では、この短編に『ネクロノミコン』への言及は見当たらない。
原典での描写
ここでの「原典」は、ラヴクラフト存命中(1937年以前)に成立した資料を指す。スミス自身の作品がこれに該当する。
『ウボ=サスラ』は、地球の太古において、器官も四肢も持たない灰色の無定形の塊が泥と蒸気の中に横たわり、その体表からアメーバ状の形態を絶えず分離させ、それが地上生命の原型になっていった、という趣旨の描写でウボ=サスラを紹介する[1]。その周囲には、地球以前の神々が刻んだ計り知れない叡智を記した石板が、泥の中に横たわっているとされる[1]。
作中作『エイボンの書』からの一節という体裁で、ウボ=サスラを「源であり終焉である」とし、ツァトゥグァやヨグ=ソトース、クトゥルフといった存在が星々からもたらされる以前から存在していた、とする趣旨の記述もある[2]。
本作(1933年発表)は、著作権継承者による同時代作品の個別更新実例が確認されており、パブリックドメインとは断定できないため、本記事では原文の逐語引用を行わず、要約にとどめる。詳しいあらすじはサイト内の「ウボ=サスラ(短編)」を参照されたい。
ウボ=サスラは、知識や意識を持たないまま、極北の地下深くにある湿った洞窟に横たわっているとされる。この地底の領域はかつてのハイパーボレア文明からも接近不可能な領域であり、地下温泉によって常に暖められているという。周囲には異様な原始的生物が生息し、人間の言語では説明しがたい形でウボ=サスラと相互作用している、とされる。
魚類・両生類・爬虫類・哺乳類、そして人間も、本質的にはウボ=サスラの分裂の産物であるという設定が示されている[1]。人類はこの泥の海から枝分かれした存在であり、その本質において同じ物質から構成されている、という捉え方である。
ダーレス以降の変化
現行の材料には、オーガスト・ダーレスがウボ=サスラの設定に何を加えたかを示す記述が無い。この層でウボ=サスラがどのような扱いを受けたかは、確認できていない。
TRPGでの扱い
現行の材料には、TRPG側でウボ=サスラがどのように扱われているかを示す記述が無い。確認できていない。
登場作品一覧
| 作品 | 年 | 作者 | この作品が足したもの |
|---|---|---|---|
| ウボ=サスラ | 1932年執筆/1933年発表 | クラーク・アシュトン・スミス | 初出。姿・性質・地底の知識の石板の描写。ツァトゥグァ・ヨグ=ソトース・クトゥルフの名を挙げてラヴクラフト神話とも接続した[1][2] |
スミスの他の作品にもウボ=サスラへの言及があるとされるが、具体的な作品・箇所は現行の材料では特定できていない。
関連神格・地域・書物
神格
- アザトース — 地球における物質的顕現と解釈されることがあるが、原典にこの関係を明記した記述は無く、アザトース側の記事にもこの関係への言及が無い。未照合
- ツァトゥグァ — 現行の概要文には、古のものなどの地球外由来の存在が地球に飛来する以前から、ウボ=サスラが地球に存在していたとする記述がある。原典に直接の典拠は示されておらず、未照合
地域
- ハイパーボレア — ウボ=サスラの棲む洞窟がある地。ハイパーボレア文明の時代からも接近不可能な領域とされる
書物
- エイボンの書 — 作中作。ウボ=サスラを「源であり終焉である」とする一節が引かれる[2]
分類の考え方
参考文献
- [1] 本作(「ウボ=サスラ」)の初出は「ウィアード・テイルズ」誌1933年7月号(執筆は1932年)。後に作品集『Out of Space and Time』(1942年)に収録された。本作は著作権継承者による同時代作品の個別更新実例が確認されており、パブリックドメインと断定できないため、本記事では原文からの逐語引用を行わず、書誌的事実の要約で対応する。あらすじの詳細はサイト内記事「ウボ=サスラ(短編)」を参照 — 出典: ISFDB「Ubbo-Sathla」title record, 該当ページ
- [2] 作中作『エイボンの書』からの一節という体裁で、ウボ=サスラを「源であり終焉である」とする趣旨の記述があるとされる。[1]と同じ理由により、原文からの逐語引用は行わない
FAQ
Q. ウボ=サスラはラヴクラフトが生み出した神格ですか。A. 違います。創造したのはクラーク・アシュトン・スミスで、初出は短編「ウボ=サスラ」(1932年執筆/1933年発表)です[1]。
Q. ウボ=サスラはどのような姿をしていますか。A. 器官も四肢も持たない、灰色の無定形の塊として描かれます。人間の生物学的分類の外にある存在とされ、地上のあらゆる生命はこの塊からの分裂によって生まれたという設定です[1]。
Q. アザトースとの関係はありますか。A. 地球における物質的顕現と解釈されることがありますが、原典にこの関係を明記した記述は無く、未照合です。アザトース側の記事にも、この関係への言及はありません。
Q. ダーレス以降、新しい設定が加えられましたか。A. 確認できていません。現行の材料には、オーガスト・ダーレスによる設定変更を裏づける記述がありません。
Q. TRPGでのウボ=サスラの扱いはどうなっていますか。A. 確認できていません。現行の材料には、TRPG側の設定に関する記述がありません。
Q. 原典の英文がほとんど引用されていないのはなぜですか。A. 原作の短編「ウボ=サスラ」(1933年発表)は、著作権継承者による同時代作品の個別更新実例が確認されており、パブリックドメインであるとは断定できません。そのため本記事では原文の逐語引用を避け、書誌的事実とあらすじの要約で内容を伝えています。





