種族(夢の国) — MEN OF LENG

レンの男

原典

幻夢境のレン高原に住む、蹄と小さな角と異様に広い口を持つ「ほぼ人間」の種族。太古にはサルコマンドを都とする海洋国家を築いていたが、月から来た黒いガレー船に服従し、以後は主人の奴隷として人間の港で交易を代行する。原典本文に「Men of Leng」という呼称は無い。

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レンの男

「彼らは足の代わりに蹄を持っているかのように跳ね、小さな角の付いたかつらか頭飾りのようなものをかぶっているように見えた。ほかに衣服は身につけておらず、多くはかなり毛深かった。背後には小さな尾があり、顔を上げたとき、カーターはその口の異様な広さを見た。」

— H・P・ラヴクラフト「未知なるカダスを夢に求めて」(1926-1927年執筆)、シャンタク鳥に運ばれたカーターがレン高原の村を低空から見下ろす場面
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概要

レンの男は、幻夢境のレン高原に住む種族である。H・P・ラヴクラフトの長編「未知なるカダスを夢に求めて」(1926年秋頃-1927年1月22日執筆[1]、1943年アーカム・ハウス刊『Beyond the Wall of Sleep』が初出[2])に登場し、足の代わりに蹄を持ち、小さな角の生えた頭部と毛深い体、小さな尾、そして異様に広い口を持つ姿で描かれる[3]。

この種族を扱うときに最初に押さえておくべきなのは、原典本文に「Men of Leng」という呼び名が一度も出てこないという点である。ラヴクラフトの書き方は「レンの謎めいた民(the cryptic folk of Leng)」[4]、「角と蹄と広い口を持つ、ほぼ人間であるもの(the horned, hooved, and wide-mouthed almost-humans)」[25]、「レンの民(Leng’s people)」[27]の三通りで、固有の種族名は与えられていない。当サイトのムーンビーストの記事では同じ対象を「レンの男」と表記している。本記事では見出し語を「レンの男」とするが、これは原典の訳語ではなく、後年に定着した通称にもとづく便宜的な見出しである。

原典が彼らに与えた位置づけは、神格ではなく隷属する種族である。太古には海に面した壮大な都を持っていたが[28]、月から来た黒いガレー船に屈して以降[27]、主人であるムーンビーストを神として崇め、最良の個体を差し出しながら、人間の港での交易を代行する立場に置かれている[5]。

項目内容
分類原典に神格・種族としての明確な分類の記述はない(旧支配者・外なる神・旧神の分類)
欧文表記原典本文に固有の種族名は無い。the cryptic folk of Leng[4] / Leng's almost-humans[26] / Leng's people[27]
初出「未知なるカダスを夢に求めて」(1926年秋頃-1927年1月執筆[1]/1943年発表[2])
住処レン高原の石造りの村(レン高原)[23]
太古の首都サルコマンド。大深淵へ下る階段を一対の有翼の巨獅子が守る[6][28]
主人ムーンビースト。神として崇拝される[5]
交易先ディラス=リーン。ルビーと引き換えに人間を買う[11][12]

初出作品

「レン」という地名そのものは、種族の描写よりずっと先に登場している。もっとも早いのは「セレファイス」(1920年11月初頭執筆/1922年5月『The Rainbow』誌第2号発表[8])で、「レンの冷たい砂漠の高原にある先史時代の石の修道院に、黄色い絹の仮面で顔を覆って独り住むもの」への言及がある[7]。ただしこの段階では、そこに住む種族についての記述は一行も無い。

次が「猟犬」(1922年9月執筆/1924年2月『Weird Tales』誌第3巻第2号発表[10])で、ネクロノミコンが記す「近づきがたきレンの屍食教団」を中央アジアに置いている[9]。ここでも「教団」とあるだけで、構成員の姿は描かれない。

姿と生態が与えられたのは「未知なるカダスを夢に求めて」である。この長編でラヴクラフトは、同じ種族を三段階に分けて読者に見せるという構成を取った。まずディラス=リーンの不快な商人として、次に月の都市で追い立てられる奴隷として、最後にレン高原で踊る住民として提示し、三つ目の場面で初めて「この三者は同じ種族だ」と明かす[4]。つまり彼らの正体は、作品の後半で読者の前に組み上がる仕掛けになっている。

なお本作は1943年の死後出版であり[2]、ラヴクラフトは生前この長編を発表していない。

原典での描写

ディラス=リーンの商人として

ランドルフ・カーターが彼らと最初に出会うのは、幻夢境の港町ディラス=リーンである。町の人々は、未知の岸からルビーを積んで入港する黒いガレー船を恐れていた。船から降りて商いをする者たちは口が広すぎ、ターバンが額の上で二つの角のように盛り上がっており、靴は六王国で見たこともないほど短く奇妙だった[11]。

この船の不気味さは、商人自身の外見だけにとどまらない。船を漕ぐ者の姿は誰にも見られたことがなく、三段の櫂は心地よいとは言えないほど機敏かつ正確に、そして力強く動いていた。商人たちが取引をする何週間ものあいだ港に留まりながら、乗組員の姿を一度も見せないというのは、船としてまともなことではなかった。そのうえ船に食料が積み込まれることは一度もなく、あの商人たちと見えない漕ぎ手が持ち帰るのは、金と、川向こうのパーグから来た頑健な黒人奴隷だけだった[37]。

彼らは玄武岩の防波堤と灯台を過ぎて音もなく入港し、宝石商の市場へ向かう。そして帰りには、パルグの黒人たちを甲板へ追い立てて連れ去る[12]。カーターは彼らを見れば見るほど嫌悪を深めたが、その理由を言葉にできないまま、三日目の晩に一人の商人から酒をすすめられる。ルビーを刳り抜いた瓶から注がれた酒で意識が遠のいていくとき、彼が最後に見たのは、発作のような笑いでオレンジ色のターバンの膨らみの片方がずれ、そこに現れたまったく口にできない何かだった[13]。角である、とは書かれない。読者がそれと知るのは、はるか後の高原の場面である。

原典は彼らの立ち位置を、外なる神々の手先という枠で説明する。幻夢境では、外なる神々には人間のあいだを動く多くの手先がおり、それらは「完全に人間のもの」も「わずかに人間未満のもの」も含めて、ニャルラトホテプの恩寵と引き換えに主人の意に従うと理解されている[14]。

カーターが町へ戻って黒いガレー船の危険を説いたあとも、取引は止まらなかった。町の人々の多くは彼の話を信じたが、宝石商たちは大粒のルビーが惜しく、口の広い商人との取引をやめると約束する者は一人も現れなかった[15]。

月の都市の奴隷として

拉致されたカーターが連れて行かれたのは、幻夢境の月にある悪臭の都市だった。埠頭では、目を持たない蛙状の主人たちが、追い立てられる奴隷の群れを監督している。その奴隷は、ディラス=リーンで商いをしていた商人と同じ広い口を持つ「ほぼ人間」であり、ターバンも靴も衣服も無い状態では、もはやそれほど人間らしく見えなかった[16]。

扱いは商品と変わらない。肥えた個体は監督役につままれて品定めされ、船から降ろされて木箱に釘付けにされ、倉庫や大型の荷車へ運ばれていく[17]。痩せた個体は生かされ、力を要さない仕事に充てられる。操舵、炊事、荷運び、そして地球やほかの惑星で人間と値段の交渉をすること。服を着せ、靴を履かせ、ターバンを巻いてやれば人間と大きくは違わないので、人間の店で照れもせず妙な説明もせずに値切ることができた、と原典は書く[18]。

この装いの奴隷たちは、必ずしも自分の足だけで移動していたわけではない。時折、浅黒い商人たちと同じように衣服とターバンを身につけた奴隷の小さな群れが、ガレー船に乗せられていくこともあった。ただしその船の指揮官・航海士・漕ぎ手を務めるのは、ぬめぬめとした灰色の蛙めいた者たちの一団である[38]。ディラス=リーンで誰にも見られなかった「見えない漕ぎ手」の正体を原典は明かしていないが、月の都市の交易船については、彼らが神として崇める側の蛙状の存在が櫂を漕ぐ場面が描かれている。

彼らがなぜターバンを巻いているのかの答えはここにある。あれは民族衣装ではなく、角を隠して人間の町に紛れるための装具である。

カーターをニャルラトホテプのもとへ引き渡す行列も、この種族が担っていた。蛙状の主人が10体、松明を持つ「ほぼ人間」が24体という編成で、カーターは列の中央に置かれた[19]。この行列は地球の猫の大群に襲われて壊滅する。そのとき、死んでいく「ほぼ人間」たちは悲鳴を上げ、主人である蛙状の存在は声ひとつ立てないまま緑の膿を流して倒れた[20]。悲鳴を上げられる側と上げられない側という差が、この一文だけで示される。

レン高原の住民として

物語の後半、カーターはディラス=リーンで見かけた切れ長の目の老商人に捕らえられ、シャンタク鳥(シャンタク鳥)に乗せられてレンへ運ばれる。この老商人については、健康な者が近寄らないレンの恐ろしい石の村々と取引し、黄色い絹の仮面をかぶって先史時代の石の修道院に独り住む「言い表せない大司祭」とも通じている、という噂が語られていた[21]。

レンは、越えられない高峰の向こうにあるとされる土地である。山脈のために誰もその実在を確かめられず、夜に黒く聳える峰を見た臆病者の恐怖が噂を生んだだけではないか、とさえ疑われていた。それでも人々は、異なる複数の海路からレンへ到達したのだという[22]。

低空へ降りたシャンタク鳥の上から、カーターはついに彼らの村を見る。石造りの小屋と村からは笛の甲高い唸りとクロタラの不快な打音が響き、弱い火のまわりで黒い影が踊っていた。その跳躍はひどく遅くぎこちなく、正気を欠いたねじれと屈曲を伴っていて、見るに堪えるものではなかった[23]。

さらに近づいて、カーターは彼らが足ではなく蹄で跳ねていること、小さな角の付いたかつらのようなものをかぶっていること、多くが毛深く、背後に小さな尾を持ち、顔を上げたときの口が異様に広いことを見て取る。

“They leaped as though they had hooves instead of feet, and seemed to wear a sort of wig or headpiece with small horns. Of other clothing they had none, but most of them were quite furry. Behind they had dwarfish tails, and when they glanced upward he saw the excessive width of their mouths.”(訳: 彼らは足の代わりに蹄を持っているかのように跳ね、小さな角の付いたかつらか頭飾りのようなものをかぶっているように見えた。ほかに衣服は身につけておらず、多くはかなり毛深かった。背後には小さな尾があり、顔を上げたとき、カーターはその口の異様な広さを見た。)[3]

そしてこの瞬間に、かつらも角も作り物ではなかったこと、レンの謎めいた民がディラス=リーンでルビーを商う商人と同じ種族であること、その商人たちが月の怪物の奴隷であることが、一度に結び付く[4]。彼らはカーターを黒いガレー船へ拉致した一族そのものであり、月の都市で見た群れ、痩せた個体が労役につき肥えた個体が木箱で運ばれていったあの群れと、同じ血筋だった[24]。

修道院のフレスコ画が語る種族史

修道院の回廊には、歴史より古い時代の壁画が残っている。乾いた寒さのおかげで顔料は鮮やかなまま保たれており、そこにレンの年代記が描かれていた。角を持ち、蹄を持ち、口の広い「ほぼ人間」たちが、忘れられた都市のただなかで邪悪に踊っている[25]。

壁画には戦争の場面もある。レンの「ほぼ人間」たちは、隣の谷の膨れた紫の蜘蛛と戦っていた[26]。原典がこの蜘蛛について語るのはこの一行だけで、以後どうなったかは書かれない。

そして転機が描かれる。月から黒いガレー船が到来し、そこから跳ね、もがき、のたくって現れた無定形の冒涜的存在に、レンの民が服従する場面である[27]。以後、彼らはその灰白色のぬめる存在を神として崇拝し、最良の肥えた雄が何十体も黒いガレー船で連れ去られても、不平を言わなかった[5]。

服従する前の彼らがどれほどのものだったかも、同じ壁画が伝えている。断崖と玄武岩の埠頭のあいだに柱を連ねた大海港にして首都。高い神殿と彫刻の広場。断崖と六つのスフィンクスを戴く門から、大庭園と列柱の街路が中央広場へ通じ、その広場には地下階段の頂を守る一対の有翼の巨獅子があった[28]。カーターはこの都が、最初の人間が生まれる百万年前から白く朽ちていた伝説の都サルコマンドにほかならないと見抜く。その双子の巨獅子は、幻夢境から大深淵へ下る階段を永遠に守っているのだ[6]。

つまりレンの男は、かつて夢の国に海洋国家を持っていた種族が、外から来た存在に屈したあとの姿として描かれている。

「言い表せない大司祭」は同族か

修道院の奥の黄金の玉座には、黄色い絹の仮面をかぶった「言い表せない大司祭」が座っている。原典はその正体を名指ししない。書かれているのは、模様のある絹が少しずれて灰白色の前肢が覗いた瞬間に、カーターがその正体を悟った、ということだけである[29]。

「灰白色(greyish-white)」は、レンの民が神として崇めた存在を指す語と同じである[5]。この一致から大司祭をムーンビーストと読む解釈は可能だが、原文はそう書いていない。本記事はこの点を断定しない。

種族としての最期

終盤、カーターは食屍鬼と夜鬼の軍勢を率いて月の生物の岩礁を襲う。このとき奪った黒いガレー船で堂々と港へ入れたのは、食屍鬼の姿が角と蹄の「ほぼ人間」によく似ていたからだった[30]。彼らの外見は、敵に化けるための都合のよい型として使われている。

岬の稜線で起きた戦闘では、レンの男たちはやがて全員が討たれ、最後まで戦ったのは槍を握った蛙状の月の生物だけだった[31]。奴隷の側が先に尽きる、という順序である。

ただし種族が滅びたわけではない。物語の最終盤、食屍鬼と夜鬼の軍勢はレン高原の上空を高々と通過する。眼下では、不健全な石の村の弱い火のそばで、蹄と角を持つ「ほぼ人間」たちが永遠に踊り、笛を吹き続けていた[32]。軍勢は降りもせず、目を留めもせずに通り過ぎる。この一行が、彼らの原典での最後の姿である。

混同しやすい別の一族

インガノクの港で働く奴隷は、レンの男と同一視されがちだが、原典の記述は別である。そこで働いていたのは、越えられない山脈をどうにか渡って「レンの向こうの谷」から流れ着いたと噂される、ずんぐりした切れ長の目の一族だった[33]。原文は噂として書くにとどめ、レンの民と同じ種族だとは書いていない。

カーターを捕らえた切れ長の目の老商人自身についても、レンの男なのか、それとも人間の協力者なのかは原典で確定しない。原典が用意している枠は「完全に人間のもの」と「わずかに人間未満のもの」の二つであり[14]、どちらに属するかは書かれていない。

「狂気の山脈にて」でのレン

「狂気の山脈にて」(1931年執筆/1936年発表[35])では、レンは中央アジアではなく南極の高原だったのではないか、という読み替えが行われる[34]。ただしこの作品にレンの住民の描写は無く、本種族の材料にはならない。同作は米国で2032年まで著作権が継続するため[35]、本記事では逐語引用を最小限にとどめた。

ラヴクラフトが代作した「博物館の恐怖」(1932年)にも、非人間的なレンに帰される「ドール・チャント」への言及がある[36]。こちらも住民の姿は描かれない。

ダーレス以降の変化

オーガスト・ダーレス以降の作家がこの種族をどう扱ったかについては、本記事の調査で確認できる一次資料が無かった。レンの男は固有の種族名を与えられないまま「未知なるカダスを夢に求めて」一作にほぼ収まっており、後世の作家が体系立てて位置づけた記録は、今回の調査範囲では見つかっていない。「Men of Leng」という英語の呼称が誰の手で定着したのかも、原典5作品の本文検索では手がかりが得られなかった(未確認)。

TRPGでの扱い

『クトゥルフ神話TRPG』でのレンの男の扱いは、本記事の調査では確認できなかった(未確認)。能力値や遭遇時の処理、既存記事「クトゥルフ神話TRPG ラヴクラフトの幻夢境」がこの種族に触れているかどうかも、今回は照合していない。原典と後年の設定を分けて読む考え方は「三層で読み解くクトゥルフ神話」を参照のこと。

登場作品一覧

作品年作者この作品が足したもの
セレファイス1920執筆/1922発表[8]H・P・ラヴクラフトレンの修道院と黄色い絹の仮面をかぶるものへの最初の言及7
猟犬1922執筆/1924発表[10]H・P・ラヴクラフトネクロノミコンが記す「レンの屍食教団」、中央アジアという位置づけ[9]
未知なるカダスを夢に求めて1926-1927執筆/1943発表[1][2]H・P・ラヴクラフト姿[3]、同一性の開示[4]、月の生物への服従[27]、サルコマンドという首都[6][28]、結末[31][32]
狂気の山脈にて1931執筆/1936発表[35]H・P・ラヴクラフトレンの所在を南極へ読み替える34
博物館の恐怖1932ヘイゼル・ヒールド/H・P・ラヴクラフト(代作)非人間的なレンに帰される「ドール・チャント」[36]

関連神格・地域・書物

神格・種族

  • ムーンビースト — レンの男を征服し隷属させた主人。神として崇拝される[5][27]
  • ニャルラトホテプ — 外なる神々の手先が仕える相手。レンの男はカーターを引き渡す行列を担った[14][19]
  • 食屍鬼 — 姿が角と蹄の「ほぼ人間」によく似ており、そのおかげで奇襲が成立した[30]
  • 夜鬼 — 食屍鬼とともにレン上空を越えた軍勢[32]
  • シャンタク鳥 — カーターをレンへ運んだ騎獣

地域

  • レン高原 — 石造りの村が点在する住処[23]。地理・気候・南極への読み替えは地名記事側で扱う
  • ディラス=リーン — 黒いガレー船が入港する交易先[11][12][15]
  • カダス — カーターが目指した目的地。レンと冷たい荒野は外なる神々に近いとされる
  • セレファイス — レンの修道院への最初の言及が現れる作品の舞台[7]

書物・用語

記事の無い固有名詞(本文中で言及したが当サイトに個別記事はない)

  • サルコマンド — レンの男の太古の首都。大深淵へ下る階段を有翼の巨獅子が守る[6][28]
  • インガノク — レンと山脈で隔てられた黄昏の国。オニキスの都[33]
  • 言い表せない大司祭 — 黄色い絹の仮面をかぶり、レンの修道院に独り住むもの[7][21][29]
  • 膨れた紫の蜘蛛 — 隣の谷でレンの民と戦った種族[26]
  • パルグ — 黒いガレー船に買われていく人々の土地[12]

参考文献

  • [1] “The Dream-Quest of Unknown Kadath (Autumn? 1926–22 January 1927)”(訳: 「未知なるカダスを夢に求めて(1926年秋?-1927年1月22日)」) — Lovecraft’s Fiction – Chronological Order, The H. P. Lovecraft Archive
  • [2] “The Dream-Quest of Unknown Kadath Written c. autumn 1926–January 22, 1927, first published in Beyond the Wall of Sleep , Arkham House, 1943.”(訳: 「未知なるカダスを夢に求めて 1926年秋頃-1927年1月22日執筆、初出はアーカム・ハウス刊『Beyond the Wall of Sleep』1943年」) — Howard Phillips Lovecraft – Wikisource
  • [3] “They leaped as though they had hooves instead of feet, and seemed to wear a sort of wig or headpiece with small horns. Of other clothing they had none, but most of them were quite furry. Behind they had dwarfish tails, and when they glanced upward he saw the excessive width of their mouths.”(訳: 彼らは足の代わりに蹄を持っているかのように跳ね、小さな角の付いたかつらか頭飾りのようなものをかぶっているように見えた。ほかに衣服は身につけておらず、多くはかなり毛深かった。背後には小さな尾があり、顔を上げたとき、カーターはその口の異様な広さを見た。) — 「未知なるカダスを夢に求めて」, The H. P. Lovecraft Archive
  • [4] “Then he knew what they were, and that they did not wear any wigs or headpieces after all. For the cryptic folk of Leng were of one race with the uncomfortable merchants of the black galleys that traded rubies at Dylath-Leen; those not quite human merchants who are the slaves of the monstrous moon-things!”(訳: そのときカーターは彼らが何者であるかを、そしてかつらも頭飾りもそもそも身につけてなどいなかったことを知った。レンの謎めいた民は、ディラス=リーンでルビーを商う黒いガレー船の、あの居心地の悪い商人たちと同じ種族だったのだ。あの、月の怪物どもの奴隷である、人間とは言い切れない商人たちと!) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [5] “Those slippery greyish-white blasphemies they worshipped as gods, nor ever complained when scores of their best and fatted males were taken away in the black galleys.”(訳: 彼らはその滑る灰白色の冒涜的存在を神として崇め、最良の肥えた雄が何十体も黒いガレー船で連れ去られても、一度として不平を言わなかった。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [6] “There could be no mistake, for the legends of dreamland are generous and profuse. Indubitably that primal city was no less a place than storied Sarkomand, whose ruins had bleached for a million years before the first true human saw the light, and whose twin titan lions guard eternally the steps that lead down from dreamland to the Great Abyss.”(訳: 間違えようがなかった。幻夢境の伝説は豊かで事欠かないからだ。その太古の都は、まぎれもなく伝説のサルコマンドにほかならなかった。最初の真の人間が光を見るより百万年も前からその廃墟は白く朽ちており、その双子の巨獅子は、幻夢境から大深淵へ下る階段を永遠に守っている。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [7] “a yellow silken mask over its face and dwells all alone in a prehistoric stone monastery on the cold desert plateau of Leng.”(訳: 顔に黄色い絹の仮面をかぶり、レンの冷たい砂漠の高原にある先史時代の石の修道院に、たった独りで住んでいる) — H. P. Lovecraft, “Celephaïs”, The H. P. Lovecraft Archive
  • [8] “Celephaïs Written early November 1920, published May 1922 in The Rainbow , No. 2, 10–12″(訳: 「セレファイス 1920年11月初頭執筆、1922年5月『The Rainbow』誌第2号10-12ページに発表」) — Howard Phillips Lovecraft – Wikisource
  • [9] “the ghastly soul-symbol of the corpse-eating cult of inaccessible Leng, in Central Asia.”(訳: 中央アジアの、近づきがたきレンの屍食教団の、おぞましい魂の象徴) — H. P. Lovecraft, “The Hound”, The H. P. Lovecraft Archive
  • [10] “The Hound Written September 1922, published February 1924 in Weird Tales , 3, No. 2, 50–52, 78″(訳: 「猟犬 1922年9月執筆、1924年2月『Weird Tales』誌第3巻第2号50-52・78ページに発表」) — Howard Phillips Lovecraft – Wikisource
  • [11] “One of them was due in a week with rubies from its unknown shore, and the townsfolk dreaded to see it dock. The mouths of the men who came from it to trade were too wide, and the way their turbans were humped up in two points above their foreheads was in especially bad taste. And their shoes were the shortest and queerest ever seen in the Six Kingdoms.”(訳: そのうちの一隻が一週間後、未知の岸からルビーを積んで入るはずで、町の人々は接岸を恐れていた。そこから降りて商いをする者たちの口は広すぎたし、ターバンが額の上で二つの角のように盛り上がっているさまは、とりわけ趣味が悪かった。そして彼らの靴は、六王国でこれまで見たどれよりも短く、奇妙だった。) — 「未知なるカダスを夢に求めて」, The H. P. Lovecraft Archive
  • [12] “Then the black galley slipped into the harbour past the basalt mole and the tall lighthouse, silent and alien, and with a strange stench that the south wind drove into the town. Uneasiness rustled through the taverns along that waterfront, and after a while the dark wide-mouthed merchants with humped turbans and short feet clumped stealthily ashore to seek the bazaars of the jewellers. Carter observed them closely, and disliked them more the longer he looked at them. Then he saw them drive the stout black men of Parg up the gangplank grunting and sweating into that singular galley, and wondered in what lands—or if in any lands at all—those fat pathetic creatures might be destined to serve.”(訳: やがて黒いガレー船が、玄武岩の防波堤と高い灯台を過ぎて港へ滑り込んできた。音もなく、異質で、南風が町へ吹き込む奇妙な悪臭を伴って。波止場沿いの居酒屋に不安がざわめき、しばらくすると、盛り上がったターバンと短い足を持つ、浅黒く口の広い商人たちが、こっそりと重い足音を立てて上陸し、宝石商の市場へ向かった。カーターは彼らを注意深く観察し、見れば見るほど嫌悪を深めた。それから彼は、商人たちがパルグの頑健な黒人たちをうめかせ汗をかかせながらタラップへ追い立て、あの奇妙なガレー船へ押し込むのを見て、あの哀れな肥えた者たちがどこの土地で――いや、そもそもどこかの土地で――仕えることになるのかと訝った。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [13] “All the while the guest had been smiling more and more broadly, and as Carter slipped into blankness the last thing he saw was that dark odious face convulsed with evil laughter, and something quite unspeakable where one of the two frontal puffs of that orange turban had become disarranged with the shakings of that epileptic mirth.”(訳: そのあいだじゅう客は笑みをいよいよ広げており、カーターが意識を失って空白へ沈んでいくとき、最後に見たのは、邪悪な笑いに引きつったあの浅黒い忌まわしい顔と、発作のような笑いの震えでオレンジ色のターバンの前の二つの膨らみの片方がずれ、そこに現れた、まったく口にできない何かだった。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [14] “It is understood in the land of dream that the Other Gods have many agents moving among men; and all these agents, whether wholly human or slightly less than human, are eager to work the will of those blind and mindless things in return for the favour of their hideous soul and messenger, the crawling chaos Nyarlathotep.”(訳: 夢の国では、外なる神々が人間のあいだを動く多くの手先を持つことが知られている。そしてそれらの手先は、完全に人間であるものも、わずかに人間未満のものも、その忌まわしい魂にして使者である這い寄る混沌ニャルラトホテプの恩寵と引き換えに、あの盲目で心を持たぬものたちの意志を果たそうと熱心である。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [15] “Most of the townsfolk believed him; yet so fond were the jewellers of great rubies that none would wholly promise to cease trafficking with the wide-mouthed merchants.”(訳: 町の人々の多くは彼の話を信じた。それでも宝石商たちは大粒のルビーが好きでたまらず、口の広い商人との取引をやめると完全に約束する者は一人もいなかった。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [16] “And now and then one would appear driving a herd of clumping slaves, which indeed were approximate human beings with wide mouths like those merchants who traded in Dylath-Leen; only these herds, being without turbans or shoes or clothing, did not seem so very human after all.”(訳: そして時折、一体が重い足音を立てる奴隷の群れを追い立てて現れた。それらは確かに、ディラス=リーンで商いをしていたあの商人たちと同じ広い口を持つ、ほぼ人間と言えるものだった。ただしこの群れは、ターバンも靴も衣服も身につけていないため、結局のところそれほど人間らしくは見えなかった。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [17] “Some of these slaves—the fatter ones, whom a sort of overseer would pinch experimentally—were unloaded from ships and nailed in crates which workers pushed into low warehouses or loaded on great lumbering vans.”(訳: これらの奴隷のうち幾体か――監督役のようなものが試しにつまんでみる、より肥えた個体――は船から降ろされ、木箱に釘付けにされ、それを作業者が低い倉庫へ押し込むか、大きく重い荷車へ積み込んだ。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [18] “And Carter saw that the almost-human creatures were reserved for the more ignominious kinds of servitude which required no strength, such as steering and cooking, fetching and carrying, and bargaining with men on the earth or other planets where they traded. These creatures must have been convenient on earth, for they were truly not unlike men when dressed and carefully shod and turbaned, and could haggle in the shops of men without embarrassment or curious explanations.”(訳: そしてカーターは、あのほぼ人間である生き物たちが、力を必要としない、より卑しい種類の労役に充てられているのを見た。操舵や炊事、物を取りに行き運ぶこと、そして彼らが交易する地球やほかの惑星で人間と値段を交渉することである。これらの生き物は地球では重宝したに違いない。服を着せ、念入りに靴を履かせ、ターバンを巻いてやれば本当に人間と変わらず、人間の店で気まずさも妙な言い訳もなしに値切ることができたからだ。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [19] “In a detestable square a sort of procession was formed; ten of the toad-things and twenty-four almost-human torch-bearers, eleven on either side, and one each before and behind. Carter was placed in the middle of the line; five toad-things ahead and five behind, and one almost-human torch-bearer on each side of him.”(訳: ある忌むべき広場で、行列のようなものが組まれた。蛙状のもの10体と、ほぼ人間である松明持ち24体。松明持ちは左右に11体ずつ、前後に1体ずつである。カーターは列の中央に置かれた。前に蛙状のもの5体、後ろに5体、そして彼の左右にほぼ人間の松明持ちが1体ずつ付いた。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [20] “The flutes stopped, and there were shrieks in the night. Dying almost-humans screamed, and cats spit and yowled and roared, but the toad-things made never a sound as their stinking green ichor oozed fatally upon that porous earth with the obscene fungi.”(訳: 笛が止み、夜に悲鳴が走った。死んでいくほぼ人間たちが叫び、猫たちは唸り、鳴き、吼えた。だが蛙状のものたちは声ひとつ立てず、その悪臭を放つ緑の膿が、忌まわしい菌類の生えた多孔質の土へ致命的に滲み出ていった。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [21] “This man was reputed to trade with the horrible stone villages on the icy desert plateau of Leng, which no healthy folk visit and whose evil fires are seen at night from afar. He was even rumoured to have dealt with that high-priest not to be described, which wears a yellow silken mask over its face and dwells all alone in a prehistoric stone monastery.”(訳: この男は、レンの氷の砂漠の高原にある恐ろしい石の村々と取引していると評判だった。健康な者は誰も訪れず、その邪悪な火が夜に遠くから見える場所である。彼はさらに、顔に黄色い絹の仮面をかぶり、先史時代の石の修道院にたった独りで住む、あの言い表せない大司祭とも通じているとまで噂されていた。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [22] “and said to be close to unpleasant Leng; although high impassable mountains towered on the side where Leng was thought to lie, so that none might say whether this evil plateau with its horrible stone villages and unmentionable monastery were really there, or whether the rumour were only a fear that timid people felt in the night when those formidable barrier peaks loomed black against a rising moon. Certainly, men reached Leng from very different oceans.”(訳: そして不快なレンに近いと言われていた。もっとも、レンがあると考えられている側には越えられない高山が聳えており、恐ろしい石の村々と口にすべきでない修道院を持つこの邪悪な高原が本当にそこにあるのか、それとも噂は、あの恐るべき障壁の峰々が昇る月を背に黒く聳えるのを見た臆病者が夜に感じた恐怖にすぎないのか、誰にも言えなかった。確かなのは、人々が実に異なる複数の海からレンへ到達したということである。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [23] “And there came from those huts and villages a shrill droning of pipes and a nauseous rattle of crotala which proved at once that Inganok’s people are right in their geographick rumours.”(訳: そしてそれらの小屋や村からは、笛の甲高い唸りと、吐き気を催すクロタラの打音が響いてきて、インガノクの人々の地理の噂が正しかったことを直ちに証明した。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [24] “They were indeed the same dark folk who had shanghaied Carter on their noisome galley so long ago, and whose kith he had seen driven in herds about the unclean wharves of that accursed lunar city, with the leaner ones toiling and the fatter ones taken away in crates for other needs of their polypous and amorphous masters.”(訳: 彼らはまさしく、遠い昔にカーターを悪臭を放つガレー船へ拉致したのと同じ浅黒い一族であり、カーターがあの呪われた月の都市の不潔な埠頭で群れとして追い立てられるのを見た同族だった。痩せたものは労役に就き、肥えたものは、その多足で無定形の主人たちの別の用途のために木箱で運び去られていた。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [25] “Through those archaic frescoes Leng’s annals stalked; and the horned, hooved, and wide-mouthed almost-humans danced evilly amidst forgotten cities.”(訳: その太古のフレスコ画のなかをレンの年代記が歩んでいた。角を持ち、蹄を持ち、口の広い、ほぼ人間であるものたちが、忘れられた都市のただなかで邪悪に踊っていた。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [26] “There were scenes of old wars, wherein Leng’s almost-humans fought with the bloated purple spiders of the neighbouring vales;”(訳: 古い戦争の場面があり、そこではレンのほぼ人間たちが、隣の谷の膨れた紫の蜘蛛と戦っていた) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [27] “and there were scenes also of the coming of the black galleys from the moon, and of the submission of Leng’s people to the polypous and amorphous blasphemies that hopped and floundered and wriggled out of them.”(訳: そして月から黒いガレー船が到来する場面もあり、船から跳ね出し、もがき、のたくって現れた多足で無定形の冒涜的存在に、レンの民が服従する場面もあった。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [28] “And in those frescoes was shewn the great seaport and capital of the almost-humans; proud and pillared betwixt the cliffs and the basalt wharves, and wondrous with high fanes and carven places. Great gardens and columned streets led from the cliffs and from each of the six sphinx-crowned gates to a vast central plaza, and in that plaza was a pair of winged colossal lions guarding the top of a subterrene staircase.”(訳: そしてそれらのフレスコ画には、ほぼ人間であるものたちの大海港にして首都が描かれていた。断崖と玄武岩の埠頭のあいだに誇らかに柱を連ね、高い神殿と彫刻を施された場所に満ちた驚くべき都である。大庭園と列柱の街路が、断崖から、そして六つのスフィンクスを戴く門のそれぞれから広大な中央広場へ通じ、その広場には、地下階段の頂を守る一対の有翼の巨大な獅子があった。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [29] “Then the figured silk slipped a trifle from one of the greyish-white paws, and Carter knew what the noisome high-priest was.”(訳: そのとき模様のある絹が灰白色の前肢の一本から少しずれ、カーターはあの悪臭を放つ大司祭が何者であるかを知った。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [30] “They did not, of course, realise that the black ship had changed hands; for ghouls look much like the horned and hooved almost-humans, and the night-gaunts were all out of sight below.”(訳: 彼らはもちろん、黒い船の持ち主が替わっていることに気づかなかった。食屍鬼は角と蹄を持つほぼ人間によく似ているうえ、夜鬼たちはみな下に隠れて見えなかったからである。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [31] “The almost-humans were by this time all slain, but the last of the toad-like horrors fought desperately with the great spears clutched in their powerful and disgusting paws.”(訳: この頃までにほぼ人間たちはことごとく討たれていたが、最後まで残った蛙に似た怪物たちは、その強力で不快な前肢に大きな槍を握りしめて必死に戦っていた。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [32] “passing the feeble fires of the unwholesome stone villages at a great altitude, and pausing not at all to mark the morbid twistings of the hooved, horned almost-humans that dance and pipe eternally therein.”(訳: 不健全な石の村々の弱い火のうえを高い高度で通り過ぎ、そこで永遠に踊り笛を吹き続ける、蹄と角を持つほぼ人間たちの病んだねじれに目を留めることは一切なかった) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [33] “The sailors and merchants were of the strange-faced race of the gods, but the slaves were squat, slant-eyed folk said by rumour to have drifted somehow across or around the impassable peaks from valleys beyond Leng.”(訳: 船乗りと商人は神々の奇妙な顔立ちの種族だったが、奴隷たちは、レンの向こうの谷から越えられない峰を越えるか迂回するかしてどうにか流れ着いたと噂される、ずんぐりした切れ長の目の一族だった。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive
  • [34] “Mythologists have placed Leng in Central Asia;”(訳: 神話学者たちはレンを中央アジアに置いてきた) — H. P. Lovecraft, “At the Mountains of Madness”, The H. P. Lovecraft Archive(米国で2032年まで著作権が継続するため、引用は最小限にとどめた)
  • [35] “At the Mountains of Madness —Copyrighted in the United States until 2032 Written February–March 22, 1931, published February–April 1936 in Astounding Stories , 16, No. 6 (February 1936), 8–32; 17, No. 1 (March 1936), 125–155; 17, No. 2 (April 1936), 132–150″(訳: 「狂気の山脈にて ――米国で2032年まで著作権継続。1931年2月-3月22日執筆、1936年2月-4月『Astounding Stories』誌に分載(16巻6号8-32頁、17巻1号125-155頁、17巻2号132-150頁)」) — Howard Phillips Lovecraft – Wikisource
  • [36] “the Dhol chants attributed to malign and non-human Leng”(訳: 悪意ある非人間的なレンに帰されるドール・チャント) — Hazel Heald and H. P. Lovecraft, “The Horror in the Museum”, The H. P. Lovecraft Archive
  • [37] “But worst of all was the matter of the unseen rowers. Those three banks of oars moved too briskly and accurately and vigorously to be comfortable, and it was not right for a ship to stay in port for weeks while the merchants traded, yet to give no glimpse of its crew. It was not fair to the tavern-keepers of Dylath-Leen, or to the grocers and butchers, either; for not a scrap of provisions was ever sent aboard. The merchants took only gold and stout black slaves from Parg across the river.”(訳: しかし何よりも悪かったのは、見えない漕ぎ手という一件だった。あの三段の櫂は、心地よいとは言えないほど機敏かつ正確に、そして力強く動いていた。商人たちが商いをする何週間ものあいだ港に留まりながら、乗組員の姿を一度も見せないというのは、船としてまともなことではなかった。それはディラス=リーンの宿の主人たちにとっても、食料品店や肉屋にとっても不公平だった。船に食料が積み込まれることは一度もなかったからだ。商人たちが持ち帰るのは、金と、川向こうのパーグから来た頑健な黒人奴隷だけだった。) — 「未知なるカダスを夢に求めて」, The H. P. Lovecraft Archive
  • [38] “Now and then a small herd of slaves dressed and turbaned like the dark merchants would be driven aboard a galley, followed by a great crew of the slippery grey toad-things as officers, navigators, and rowers.”(訳: 時折、あの浅黒い商人たちのように衣服とターバンを身につけた奴隷の小さな群れが、ガレー船に乗せられていくこともあった。指揮官・航海士・漕ぎ手として、ぬめぬめとした灰色の蛙めいた者たちの一団を大勢従えて。) — 同上, The H. P. Lovecraft Archive

FAQ

Q. 原典に「Men of Leng(レンの男)」という呼び名は出てきますか。 A. 出てきません。「未知なるカダスを夢に求めて」の本文(タグを除いた平文で42,627語)を機械的に検索したところ、Leng は40回現れますが、Men of Leng は0件でした。同じ検索を「セレファイス」「猟犬」「狂気の山脈にて」「博物館の恐怖」「時間からの影」にも掛けましたが、いずれも0件です。原典が使う言い方は「レンの謎めいた民」[4]、「角と蹄と広い口を持つ、ほぼ人間であるもの」[25]、「レンの民」[27]の三通りで、固有の種族名は与えられていません。この英語の呼称が誰の手でいつ定着したのかは、本記事の調査では確認できませんでした。

Q. レンの男とムーンビーストはどういう関係ですか。 A. 主従です。修道院のフレスコ画によれば、月から黒いガレー船が到来し、そこから現れた無定形の存在にレンの民が服従しました[27]。以後、レンの男はその存在を神として崇拝し、最良の肥えた雄が何十体も連れ去られても不平を言いません[5]。月の都市では痩せた個体が操舵・炊事・運搬・商談に充てられ、肥えた個体は木箱に詰められて運ばれていきます[17][18]。なお当サイトのムーンビーストの記事では、同じ種族を「レンの男」と表記しています。

Q. 商人がターバンを巻いているのはなぜですか。 A. 角を隠すためです。ディラス=リーンでは、額の上で二つの角のように盛り上がったターバンが不快がられていましたが[11]、正体は明かされません。カーターに酒をすすめた商人が笑ったとき、そのターバンの膨らみの片方がずれて「まったく口にできない何か」が覗きます[13]。答えが出るのは、はるか後、レン高原の村を上空から見て角と蹄を認めた場面[3]です。原典はこの答え合わせを、作品の三分の二ほど後ろに置いています。

Q. 「言い表せない大司祭」はレンの男の司祭ですか。 A. 原典は正体を書いていません。書かれているのは、黄金の玉座に座るその存在の絹がずれて灰白色の前肢が覗いた瞬間に、カーターが正体を悟ったということだけです[29]。「灰白色」はレンの民が神として崇めた存在を指す語と同じ[5]なので、ムーンビーストと読む解釈は成り立ちますが、原文はそう名指ししていません。本記事では断定を避けています。

Q. インガノクで働く奴隷はレンの男ですか。 A. 原典はそう書いていません。インガノクの奴隷は「レンの向こうの谷から流れ着いたと噂される、ずんぐりした切れ長の目の一族」とされるだけで[33]、同一種族だとは書かれていません。同様に、カーターをレンへ連れ去った切れ長の目の老商人が、レンの男なのか人間の協力者なのかも原典では確定しません[14][21]。

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