禁書 — NECRONOMICON

ネクロノミコン

原典

狂える詩人アブドゥル・アルハザードが記したとされる架空の禁書。宇宙の禁断の歴史を伝える。

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概要

原題は『アル・アジフ』。ヨグ=ソトースなどの外なる神々や、地球の先史文明に関する詳細な呪文と記録が含まれ、解読した者は例外なく精神に異常をきたす。

基本プロフィール

  • 分類: 禁書
  • 欧文表記: NECRONOMICON
  • 初出・出典: 魔宴(1923年執筆/1925年発表)

由来と歴史 / 詳細設定

西暦730年頃にダマスカスで執筆され、後にギリシャ語、ラテン語、英語等に翻訳されたという詳細な架空の書誌史(書誌学)がラヴクラフトによって構築された。ミスカトニック大学や大英博物館などの限られた機関に数冊の写本が保管されている設定である。

翻訳・伝来の経過は、ラヴクラフト自身のエッセイ「ネクロノミコンの歴史」でさらに詳細に年代づけられている。西暦950年、コンスタンティノープルのテオドロス・フィレタスが原題『アル・アジフ』を秘かにギリシャ語へ翻訳し、この時初めて『ネクロノミコン』の書名が与えられたとされる[1]。しかし一世紀を経て、このギリシャ語版は総主教ミカエルによって禁圧・焼却され、以後アラビア語原典は失われたことになっている[2]。1228年にオラウス・ウォルミウスがラテン語訳を作成すると、その4年後の1232年には教皇グレゴリウス9世がラテン語版・ギリシャ語版の双方を禁書に指定した[3]。ラテン語版はその後15世紀にドイツで、17世紀には(恐らく)スペインで再び活字化され、ギリシャ語版も1500〜1550年の間にイタリアで印刷されたが、この版の所在は1692年のセイラムでのある人物の蔵書焼失事件を最後に途絶えたとされる[4]。ジョン・ディー博士による英訳も存在した設定になっているが、印刷されることはなく、原稿から回収された断片としてのみ現存するとされる[5]

性質と影響

作中に登場することで、語り手や調査者が直面している怪異が、太古からの連続した宇宙的真実であるという説得力を読者に与える。

関連する用語

アブドゥル・アルハザード、オラウス・ウォルミウス、アル・アジフ、エイボンの書

出典

  • [1] “In A.D. 950 the Azif, which had gained a considerable tho’ surreptitious circulation amongst the philosophers of the age, was secretly translated into Greek by Theodorus Philetas of Constantinople under the title Necronomicon.”(訳: 「西暦950年、当時の哲学者たちの間で相当ながらも人目を忍んだ流布を得ていた『アジフ』は、コンスタンティノープルのテオドロス・フィレタスによって密かにギリシャ語に翻訳され、『ネクロノミコン』の題を与えられた」) — H. P. Lovecraft, “History of the Necronomicon”(1927年頃執筆), Wikisource
  • [2] “For a century it impelled certain experimenters to terrible attempts, when it was suppressed and burnt by the patriarch Michael.”(訳: 「一世紀のあいだ、それはある実験者たちを恐るべき企てへと駆り立てたが、やがて総主教ミカエルによって禁圧され焼却された」) — 同上, Wikisource
  • [3] “The work both Latin and Greek was banned by Pope Gregory IX in 1232, shortly after its Latin translation, which called attention to it.”(訳: 「ラテン語訳が世の注目を集めた直後の1232年、ラテン語版・ギリシャ語版ともに教皇グレゴリウス9世によって禁書とされた」) — 同上, Wikisource
  • [4] “the Latin text was printed twice—once in the fifteenth century in black-letter (evidently in Germany) and once in the seventeenth (prob. Spanish)…no sight of the Greek copy—which was printed in Italy between 1500 and 1550—has been reported since the burning of a certain Salem man’s library in 1692.”(訳: 「ラテン語版は二度活字化された——一度は15世紀にドイツで黒字体(ブラックレター)で、もう一度は17世紀に恐らくスペインで。……1500年から1550年の間にイタリアで印刷されたギリシャ語版は、1692年にセイラムのある人物の蔵書が焼却されて以来、目撃報告がない」) — 同上, Wikisource
  • [5] “An English translation made by Dr. Dee was never printed, and exists only in fragments recovered from the original manuscript.”(訳: 「ディー博士による英訳は一度も印刷されることなく、原稿から回収された断片としてのみ現存する」) — 同上, Wikisource

▶ 関連する原典読解: 『ネクロノミコン』の歴史 — ラヴクラフト自身が編んだ偽書誌の読解記事。

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